け・せらー、せらー♪

太陽と月 Part IV



太陽  と 




部落の人々が、太陽の活躍を知り、彼は一躍ヒーローとなり

皆、太陽を持て囃しました。



恋人が、自分の父親を助けたことを知った月は、困惑しました。

太陽が今にも増して高慢になり、自惚れるのではないかと思ったのです。

月は想像しただけでも、不愉快に思い、イライラしました。

自分の怒りを静め、落ち着くために散歩に出かけることにしました。




部落の周辺には、とても深い谷に通じる崖がありました。

誰も、どれだけ高さなのか分からない崖でした。

月がその崖に近くを歩いていると、か弱い叫び声が聞こえました。

恐る恐る崖の端へ行き、覗いて見ると、なんと言うことでしょう!!!

直ぐ下に、太陽の母親が一生懸命岩にしがみ付き助けを求めているではないですか!

もう、力尽きてしまいそうでした。



太陽の母は、散歩に来て景色を眺めているところ崖に近づきすぎて足を踏み外したのです。



月は、びっくりしました。



ああ、なんということでしょう!

どうしよう!!!




月は、部落へ人を呼びに行っている間に彼女は力尽きて谷底へ落ちてしまうと思いました。



落ち着きを取り戻し、辺りを見回してしっかりした蔦を探しました。

蔦を見つけだし、片方を近くの大きな木に縛り、もう片方を持ち、

彼女がつかまっている岩場まで降りました。



そして、蔦を彼女の腰にしっかり巻きつけて縛り、力を振り絞って、引き上げようとしていました。

なんとか崖の淵まで上ったとき、太陽の母も、助かることに確信を持ち、

一生懸命、使えるかぎりの爪や歯を使い、岩肌にしがみ付き月の助けを借り、

崖を上り、助かりました。




その頃、太陽は部落の若者に囲まれ、月の父親を助けた時の話をしていました。



月と太陽の母は、なんとか無事に部落へ帰り、太陽の母はすぐさま息子の所へ行き

数分前に起ったことを、語りました。

もちろん、すぐにその話は部落中に知れ渡り、月は皆に褒められ持て囃され、

得意になり、太陽に   「これで、おあいこね!?」

と、言いました。


 lua 小



<つづく>



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