★A lion & a witch★

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■救い■

■救い■




夫と出会ったのは、今から8年前のことだった。


再就職した会社で1番に挨拶してくれたのが彼だった。


私には、彼のくったくのない笑顔が太陽みたいに眩しかった。


当時、私には結婚を考えている彼氏がいた。


夫も、自分の家庭を持ち、まだ小さい娘が一人いた。


しかし、夫婦仲は既に崩壊寸前だった。


私は、自分が世間で言う「不倫」をするとはその時は夢にも思っていなかった。


その頃も、鬱の波は時々私を襲った。


その事はつきあっている彼氏には告白していなかった。できなかった。


外に出るのが怖くなると、彼氏には嘘をつき、家に閉じこもった。


夫はそんな時でもおかまいなしにやって来た。


理由を話し、私なんかとは付き合わない方がいいと牽制してもやっぱり来た。


仕事帰りにコンビニで食料を買い「玄関に置いたから食べな」とだけ言って帰る。


慣れないワープロで一生懸命手紙を書き「読んでね」と言って帰る。


何なんだ、この人は!?


そんな人は初めてだった。


肉親の姉でさえ、私との間にはいつも一枚の壁がある。


それなのに、この人は何の魂胆もなく、ただ笑って両手を広げて


「こっちへおいでよ」と待っていてくれる。


私は、心の一方では、「いけない、いけない…」と思いながら


もう一方では、もう夫なしではいられない程、彼が大きな大きな心の支えになっていた。


結婚までは長い道のりだった。


夫の前妻との調停、離婚。親戚のバッシング。説得。


でも、二人でなんとかここまでこぎつけた。


夫は、良いときも悪いときも、いつも笑って


「人生そんなに捨てたもんじゃないよ。悪いことの後には必ず良いことがあるよ」


と言ってへこたれなかった。


私がこうして欠陥だらけではあっても人生を生きていられるのは


まちがいなく、夫がいてくれたから。


また一つ、死ぬまで背負っていかなければならない罪が増えた。


それでも、私は夫と結婚してよかったと思う。



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