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終章1 阿蘇山 (530年)
★・ 阿蘇山噴火
倭王は汰爾利子(さきりこ)妃が入れた、寧波の茶葉を使った茶の湯を
飲んでいると、突然地震を感じた。
地震の少ない国から嫁いだ妃には不安だが、倭王はさほど驚かない。
ところが、阿蘇の噴煙は数千mもあがり勢いが止まらない。
調べると、阿蘇谷では悪臭が立ちこめ、田畑は壊滅状態で、
これが10日以上続いた。3千人が死滅したのだ。
阿蘇の噴煙、火山灰は北北東に流れたので、佐賀関、佐多岬、遠くは
吉備の塩飽から噴煙の流れが届いたとの報告があったが、
太宰府にはさほどの被害は出ていない。
★・ 吉備の下道家から倭国へ救援願い
宇佐大社(大分県宇佐市)から倭国・司令官の五百手に書簡が届いた。
吉備・下道家の使いとして吉備津神社の神官が大社に来ており、
倭国との関係も薄いので、地元出身の五百手様をお待ちしている、との内容。
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五百手は故郷でもあるので、倭王に「老母を見舞うため」として
出立した。話を聞くと、「吉備の国は東部と西部に大和が姻戚関係を結び
両端に楔を打ち込んだ格好になっており、大和の王の交易船には
徴税免除の密約が結ばれているので、中間地の下道家は困惑し、
倭国(=「日本国」と称している)との同盟を結びたく、下道家の長女織り姫を、
倭王の子に嫁がせるべく、労を執って欲しい。
また、先の「児島水軍VS塩飽水軍」の戦いにおいて我が水軍が壊滅的被害を
受けたのでその再建の間、物部水軍に守って欲しい」。
・・・
倭王磐井は、下道家と組めば吉備は分裂し、倭国は大和と直接対立すると読んだ。
大和の男大迹王に断りなく下道家と婚姻を結ぶのは拙いように思われて、
物部の本家から、大和の物部の分家に書簡を送らせて調べることとした。
★ ・ 大和の磐余玉穂宮
西国の動静探索を父から申し渡されて、出立し、二年後に腹心を
太宰府、吉備に残して、帰国した蘇我稲目は、父が二年前に死亡した
ことを知らされた。
稲目は、国見、山木などの四道の長官の上に立つ蘇我一族の族長として
迎えられて、また、王家の家宰として父の仕事を継承している。
・・・
倭国の物部本家から大和の物部分家に送られた書簡が大迹王に届き、
それを稲目が読んでいる。素晴らしい漢文であり、高安茂が書いたらしい。
内容は「大和のせいで倭国は下道家と婚姻を結ぶことになった」との苦情
のようなものである。大和は、返事をする代わりに、大和の大王に書簡を
渡したとだけ、物部分家から物部本家に伝えることとした。
★ ・ 安羅日本府の崩壊
新羅は金海に進駐したものの、倭国との交戦を恐れて、金海王、王妃、
三人の子供を軟禁しながら、政務を金海王に任せて、武力に拠らない
降伏法を模索していた。百済は、新羅の暴挙を問責し、新羅が金海から
引かねば帯沙に進駐すると脅している。この混乱の中で、なんと新羅、百済
の軍が合流、臨時連合軍6千人が、日本府から脱出し、馬山に逃げ込んだ府長と
倭軍3千を包囲する事態が発生した。倭軍本部が直轄軍を派遣したところ、
新羅、百済軍ともに兵を、金海、帯沙に引いた。日本府の長は帰国途上の対馬で
病死した。倭王達の「話し合いの試み」は水泡と帰した。
★ ・ 太宰府側の大和についての情報・・・下道津父子の話
1. 吉備で大和に通じているのは三野家のみ
同盟という固い関係ではなく、加古川開墾の担保として男大迹王が
茨田大娘を人質として差し出したもので弱みは大和にある。
三野家は上道家の衰退をついて吉備東部を押さえている。
吉備の鉄は三野家と下道家がほぼ半分づつ保有している。
下道家は吉備津大社の宮司を兼ね、吉備五家の本家筋に当たり、
大和から嫁を迎えている笠家は分家だから下道家の指示に従わざるをえない。
2. 下道家の塩飽水軍が児島水軍に負けた
ために、立ち直るのに
時間を要するから物部水軍の力を借りたい。
3. 大和の人口、兵力など
・ 人口は40年前に200万。現在は250万か。
・ 最大の豪族:物部 30万、大伴 20万、 王家 15万 か。
・ 常備軍: 物部兵2千、大伴兵1500, 諸豪族が警備兵を100位ずつ
・ 水軍:ないと言っても良く。あっても川舟が主。
4. 大和の王の情報
・ 男大迹王は傍流の出であり、王家の血流は絶えて、古志の三国から呼び寄せ。
・ 王の本業は交易商で三国船を操り、三国船の指揮で塩飽水軍は敗れた。
・ 奥丹波に新羅軍が入り軍事指導したことで奥丹波討伐を1日でおこなった
事(20年前)を見ても、「勇猛果敢な人物」
・・・・・
・
これまでの下道家の説明を聞いて、その情報が古すぎており、
倭王磐井と司令官は嘘とは思えぬが自分たちで調べる必要を感じた。
ただ、物部一族には調査がばれないようにしよう、となった。
また、磐井の嫡男・伽那太子と下道の長女・織姫の婚姻が成立した。
(もちろん、大和からの密偵は「婚姻や下道家との密談」も大和側に報告した。)
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