「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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月下美人の語り草
その瞳に映るものは・・・ 第32話
どうやら戦闘が始まったようだ。
(あの娘の言うことが真実なら奴らと仲間のはずだが・・・まぁよい。)
怪しく光る眼を向け、使い慣れた剣を抜刀する。
(共々捕らえて処刑すればよいだけのことだ)
冷ややかに笑い、部下に指示を出す。
サキオス「皆抜刀せよ。山賊共を全て捕らえ、逆らう者は全て斬り捨てろ。」
ギギィンッ!!
擦れ合う刃と刃から火花が飛び散った。
周囲を取り囲む炎が二人の影を揺らめかせ、肌をチリチリと焼く。
しかしお互いに戦いをやめる気配はなかった。
老人が振り回す大振りの刀を掻い潜り、幾度も懐に入ろうと試みる。
だが・・・。
ラクチェ「くッ・・・!」
カウンター気味に蹴りを繰り出し、そうはさせない老人。
二人の力は拮抗・・・いや、やや老人の方が上か。
徐々にだがラクチェは追い込まれていっている。
ラクチェ「(何か注意を逸らしてくれるようなものがあれば・・・!)」
周囲を探ろうとするも、鋭い斬撃に中断させられるラクチェ。
慌てて刀を受け流す・・・が、その途端不安定な足場に足をとられバランスを崩す。
その隙を逃す老人ではなかった。
老人「ここまでだなwなかなか楽しかったぜww」
ラクチェ「―――――ッ!!?」
ラクチェは振り下ろされる刀から眼を背け、来たる痛みと衝撃を覚悟した。
・・・眼を瞑る瞬間、何かが老人にぶつかるのを見た気がする。
ザンッ!!!
音と共に激痛が走り抜ける!
ラクチェ「くぁ・・・ッッ!!!」
左腕に深い裂傷が刻まれ、鮮血がほとばしる。
傷口を押さえ、痛みを堪えながらも老人の方へと目を向けた。
目の前には老人と・・・何故ここにいるのか、蜘蛛の姿があった。
彼が老人に体当たりをしたことにより狙いが逸れ、この程度の怪我で済んだのだ。
老人「テメェ・・・何の真似だッ!?」
蜘蛛「こ、殺すことはないだろ!?」
老人「戦場で人の生き死には常だ。剣を向けた以上、殺されても仕方ねぇんだよ!」
蜘蛛「それでも・・・殺させないッ!!」
言い放ち、蜘蛛は剣を抜いて老人へと向ける。
老人は目を細め、蜘蛛が本気だと感じ取ると刀を構え直す。
老人「・・・大将が言ったよな?逆らったらどうなるか。。」
蜘蛛「・・・わかってる。。」
ラクチェ「く・・蜘蛛ちゃん、ダメだよ。。逃げなさい・・・!!」
蜘蛛「ラクチェさん、今のうちに逃げて。。あんまり時間稼ぎできないかもしれないけど。。(苦笑)」
引きつった笑顔を浮かべつつ、剣を握り直して老人を睨み返す。
そう言われても逃げられるものではない。
第一この老人が逃がしてくれるはずが・・・。
そう思い老人へと目を向けると、驚いたような、考え込んでいるような様子が見て取れた。
不可解に思っていると、老人が口を開こうとする。
老人「おい、今・・・―――――ッ!?」
突如、怒号と共に多数の兵が雪崩れ込んできた!
兵装から察するとドラッヘンバルトの軍隊のようだ。
周囲に控えていた山賊たちは混乱しつつも応戦している。
だが旗色が悪いようだ。
ラクチェ「ドラの軍!?後方に控えていた奴らか・・!!」
蜘蛛「ちょ。。!?何これ何これッ!!?」
老人「チッ・・・やっぱ絡んでやがったか・・・!!」
兵士の一人がこちらに気付き、ラクチェへと斬りかかる!
かわして反撃しようとしたが、怪我が思ったよりも深手のため動作が遅れた。
代わりに蜘蛛が剣を払い落とし、蹴りを入れて昏倒させる。
ラクチェ「ごめん、ありがと・・!」
蜘蛛「このままじゃやられちゃうよ。。早く逃げよう!」
老人「・・・お前、軍とツルんでるんじゃないのか?」
ラクチェ「お互い利用してるだけよ。向こうにとっては用なしになったから処分するつもりなんでしょ。」
老人「・・・そうか。」
そう言っている間にもまた数人の兵が向かってきた。
だが老人の一振りであっけなく斬り捨てられる。
老人「よし、わかった!お前らついて来いw」
ラクチェ「は?」
蜘蛛「へ?」
老人「だぁーら逃げ道に案内してやるっつってんだw黙ってついて来いってww」
突然の言葉に目を白黒させる二人。
しかしこの状況では信じるより他ない。
二人は顔を見合わせ、老人の後を追っていった。
周囲にはドラッヘンバルト兵と山賊たちの戦いが繰り広げられている。
だが・・・酒姫と少女の戦いは未だ終わる様子はなかった。
少女「ハハッ、これはおもしれぇwwここまで手練だったとは思わなかったぜwww」
酒姫「フッ・・山賊にしては良い動きだ== この戦い、負けたら酒を奢るってのはどうだ==b」
少女「いいねぇwwよぉし、乗ったッ!!!」
衝いてきた剣を反射神経でかわし、前に出ると同時に回し蹴りを放つ!
その蹴りを左肘で叩き落し、そのまま剣の柄で側頭部を狙い打ち据える。
紙一重で掻い潜り、懐に潜り込んで左拳を脇腹に繰り出した。
少女「もらったぁッッ!www」
酒姫「・・・甘いッ==w」
少女「ンなッ!?」
瞬間・・・左手で少女の手首を掴み、剣を放した右腕で相手の腕を絡め取った!
その勢いのまま押し潰そうとするが上手くいかず、抵抗する少女の蹴りの衝撃によって解かれる。
少女は急いで距離を取った。
少女「危なッ!!関節技も使えんのかよ!?」
酒姫「んぁ・・見様見真似じゃ上手くいかんなぁ。。==;」
酒姫は以前蒼き太陽の神々国にてロゼがゴーエンと手合わせしているのを見て、合気に興味を持っていた。
それ以来自分の体術に盛り込んだ戦いをシミュレーションしていたのである。
しかしぶっつけ本番ではなかなか上手くいかないもの。やはり修練は必要である。
これで迂闊に近づけなくなった少女は、正直歯噛みしていた。
少女「んー・・・どうすっかなぁ。。リーチはあっちが上だし、近づいて関節取られたら面倒だし。。」
思案に耽る少女。
・・・実はこうしている間にもドラッヘンバルト兵が襲ってきていたりする。
だがほとんど条件反射的に攻撃範囲に入った者を一撃粉砕して地に沈めていた。
少女「こういう時の為にさっき拾った奴隷を盾に・・・ってちょwwアイツ居やしねぇww逃げやがったなwww」
キョロキョロと見回しても蜘蛛の姿はない。
仕方ない、と他の方法を考えていると突然背後に殺気が膨らんだ。
少女「―――――ッ!?」
咄嗟に前に跳んで転がる。
その直後、先程まで立っていた場所の地面が大きく抉り取られた!
濛々と粉塵が舞う中、姿を現したのは血のように紅い髪をした一人の男。
少女「挨拶もなしに斬りかかるたぁ、将軍ってのは大した礼儀作法をお学びのようだなw」
サキオス「山賊に言葉が通じるとは思っていなかったのでな。以後気をつけよう。」
少女「勉強不足にも程があるぜ。小学校からやり直せwww」
酒姫「邪魔するつもりなら相手になるよ?==」
サキオス「好きにしろ。一人だろうが二人だろうが結果は同じことだ。」
酒姫は剣をサキオスへと向け一歩踏み出す・・・と、少女がその手を掴み引き止めた。
少女「ちょww待てってwwww」
酒姫「何?==」
少女「『何?』じゃねぇw逃げんぞ!」
酒姫「・・・?==」
少女「今は勝てねぇから逃げろっつってんの!さっさとしろって!!」
酒姫「でも・・・==;」
少女「酒なら好きなだけ奢ってやるってwww」
酒姫「よし、行こう==b」
言うが早いか、踵を返して駆け出す酒姫。
虚を突かれたか一瞬出遅れる少女だったが、慌てて後を追った。
少女「・・・テメェ・・・まさかそれが狙いだったんじゃ。。」
酒姫「さてね==」
澄ました顔して脱兎の如く走り去る。
サキオスは逃がすまいと部下に命じつつ、自身も追撃を開始した。
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