冷凍庫物語。

冷凍庫物語。

02.そこなしの


    02.そこなしの 
  一体ボクは何分・・・何時間気を失っていただろう。
 そして未だにボクはこの人生で二度と体験したくない感じ
 ワースト1位の浮遊感 を味わっている。流石に、こうも
 ずっと落ちつづけていると逆に冷静になれた。
 きっとあの時掴んだ赤い紐はどっかの誰かが仕掛けた罠で、
 間抜けなボクはこの 永遠に続くんじゃないかと思うような
 穴に落ちつづけているというわけだ。
 上を見ても光が見えない事から、かなりの深さを伺える。
 いい加減にしてくれよ、と思った矢先、ボクは水の中に居た。
 正確にはそこなしと思われた穴の底に着いたらしい。 
 行き成り、何も身構えずに水中に落ちたため鼻に水が入った。
 因みにボクはこの「つーん」とした感じが、二度と体験したく
 ない感じワースト 二位だ。
 呼吸が段々辛くなってきたので急いで水面を目指して泳いだ。
 水中から顔を出して、深く呼吸をし肺に空気を送った。
 ぶるぶると顔に貼りついた髪の毛を振り払いながら、周囲を
 確認した。
 そこは洞窟のようだった。あれだけ落ちれば当たり前だが。
 よく見ると、壁側には松明のようなモノが掛けられていた。
  誰か人間・・・いや、生き物が住んでいるらしい。
 ボクはその生き物を探し出す事を目標にひとまず水中から
 ざぶざぶと上がった。
 何本もの松明で照らされた廊下は不気味だった。
 まるで某RPGゲームのダンジョンのようだった。
 そして濡れた身体のまま、ペタペタと歩くボクの姿は
 まるで化け物の様でこの場 所によく似合っていたと思う。
 そんな自分に苦笑。
 しばらくすると、薄暗い松明で照らされた赤い扉があった。
 ・・・・・・・・・赤い・・・・・扉?
 赤・・・?ボクは疑問に思った。赤といえばあれだ、あの赤い紐だ。
 あの赤い紐にさえ触れていなければ、ボクはこんなところには
 居なくて、暖かい 布団の中でぬくぬくと眠りについてる
 はずだったのだ。
 今更とは思うが、やっぱり後悔している。
 ため息まで出てきた。




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