趣味暴走爆発の間

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共通点,2

共通点,2








コート中に響く音が消えていく中で、誰かが甲高い声で叫んだ。

「アンタ!!生意気なのよ、1年のくせに!!レギュラーになったからっていい気になってんじゃないわよ!!」
「・・・・・試合を言ってきたのは、先輩だったと思うんですが。」
「うるさいわねっ、ほんと生意気!!いい!?今後もそんな風に生意気な態度とったら承知しないからね!!」

どうやら、大谷は2年の先輩と試合をし6-0で勝ったようだ。
負けた2年の女は、逆ギレし大谷の頬を引っ叩いた後、散々怒鳴り散らして泣きながら出て行った。
その様子を見ていた周りの者は、皆黙っている。

「あ・・・あゆみ?大丈夫?冷やしてきたら?」
「・・・ん、そだね。水、行ってくるね。」

大谷は顔色1つ変えずに、落ち着いた様子でコートから出て行った。

「・・・女の子は、怖いね。。。」
「・・・っスね。」
「大谷さん・・・右の頬、凄く腫れてたね。」
「・・・っスね。」

思い出すだけでも痛々しい、大谷の右頬が脳裏をよぎった。

「じゃ、僕らも練習に戻ろうか。」
「・・・すんません、俺、水飲んでくるっス。」

俺は何となく大谷が気になって、水飲み場に向かった。
後ろで不二先輩が笑っているような感じがした。



ザーーーーッ、パシャパシャ・・・・・・・・

水飲み場では、大谷が頬を冷やしていた。
元のピンクがかった頬とは正反対の、赤く腫れた頬。

「あら・・・越前君、どうしたの?」
「・・・水飲みに来たダケ。アンタこそ・・・そこ、大丈夫なの。」
「あ・・・、見られてたかな?こんなの全然ヘーキ!冷やしてたら治るし。」
「・・・あの相手、2年だよね。」
「そう、ほんっと低レベルよね!自分から試合しろって言ってきたくせに。負けたら逆ギレよ?嫌んなっちゃう!」
「そーいう奴、絶対1人はいるよね。」
「あら、越前君も経験済み?」
「逆ギレも、引っ叩かれたりもしなかったけどね。」
「勝つために努力しない奴に、エラそうに言われたくないわ。さっきの先輩だって、よく部活サボるのよ。」
「・・・言ってやったらいいじゃん。アイツらより、努力してるってこと。」
「・・・越前君がよく分かってると思ったけど。
 努力なんて自分からひけらかすモノじゃないの。1番注目されるのは結局は結果のみなんだから。結果を残すダケ。」
「ふーん、よく分かってんじゃん。」
「・・・貴方もやっぱり、そう思ってたみたいね。」
「まぁね。」
『越前は、どこに行った!!!???』
「ゲッ・・・部長・・・。」
「ほら、越前君お呼びみたいよ?練習に戻ったら?」
「・・・はぁ。。。それじゃ・・・」
「うん、頑張って!ばいばい!!」

強い、と思った。
殴られても、何をされても1人で立ち向かう大谷あゆみ。
赤く腫れ、見るだけでも痛い頬を抑えながら、彼女は笑顔で俺に手を振った。

――――― 守りたい ―――――

そう思った。
女子テニス部の中で、誰よりも強く反感をくらうのは当たり前だろう。
辛いはずなのに、誰にも頼らず1人で解決する。
否、誰にも頼らないのではなく、【頼れない】のだろう。
自分が強すぎる、この事が彼女を閉じ込めている。

そんな彼女を解放できるのは・・・俺なのかもしれない。
共通点が多い、俺と大谷あゆみ。
全てとまではいかないけれど、大谷のことを分かってやれる気がした。

――――― 守ろう。

新たな決意を胸に秘め、俺はコートへ戻った。


・・・部長にグラウンド20周走らされたのは言うまでもないけど。。。





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