「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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帰り道
早智子は正志とたのしい一日をすごして、帰りの電車のなかにいた。かなり時間も遅くなっていて、帰宅ラッシュをすぎた電車のなかは空いていた。電車は郊外まですすんでいくと、車両の乗客の数もまばらになっていた。
昼間、正志は早智子に気をつかって、早智子に似合いそうだと以前から目をつけていた、かわいい洋服をいくつか、いっしょに見に行った。そして、早智子にそれらの試着を強くすすめ、その試着した姿を目の当たりにして、あらためて正志は早智子の愛らしさに目をうばわれた。
デパートの各ショップをひとまわりして、正志は早智子にたずねた。
「たとえば、どれが欲しかった?」
「えっ、あれかなぁ」
「うん、あれだろうね」
「でも、ちょっと高いからぁ」
「ホントに気に入ったんなら、そして今度ぼくと会うとき着てきてくれるなら、思い切って買ってあげてもいいよ」
「ん?! だめよ! あんな高いのは!」
「ぼくを見くびらないでくれよっ! その程度でおたおたする男じゃないっ!」
「だってぇ」
ふたりのココロにはふたりのやりとりしかなかった。買い物客の姿も、ショップの店員も、各ショップの飾りつけも、すべて景色でしかなかった。
「もう一度だけあれを見に行こう」
「う~ん」
「どう、もう一回だけ試着して見せて、頼むよっ!」
「じゃ試着だけ」
目ざすショップにもどった。さっきの店員が、さっき早智子が試着した洋服をすぐに差し出して、また試着室に案内した。そして、そこのカーテンが開いた。
「どうだい、自分で見てもかわいいと思わないか? 洋服との出会いもぼくとの出会いと一緒で、一期一会だよ! 人生は後悔しちゃいけない」
「ぷっ」
「ちょっとクサかった?」
「うん、ちょっとぉ」
「(そばにいた店員の女性に)あっスミマセン! これ、お願いしまっす!」
「えっだけどぉ悪いよぉ」
「男に恥かかせないでくれよ!」
「う~ん、ごめんなさぃ」
店員はふたりのやりとりを気にするふうもなく、正志から代金を受け取ると、早智子が返したその洋服をてきぱきと包装し、すばやく早智子に手渡した。
2人はきょうの出来事を電車のなかでかみしめていた。正志はちょっとゴウインだったけど、早智子はホントは嬉しかった。早智子は図々しくなかったのが、正志にはますます好ましく感じられた。正志は早智子との距離がこれでずっと近くなったと確信した。早智子は正志を頼もしくやさしく感じていた。ところで、実は、正志は気づかなかったが、早智子には、さっきからこちらをちらちら見ている中年男性の酔った目つきが気になっていた。
正志が早智子に、遅くなったから家まで送ろうと言ってくれたのに、早智子はきょうはそこまで正志にメンドウをかけたくなかった。つい、ダイジョウブ、と言ってしまった。正志は電車を降りて、ホームでシンパイそうに早智子を見送った。早智子はバイバイと笑顔で返した。
あの背広でネクタイをゆるめた男が、正志が降りたとたん、遠慮せずに、じいっと早智子のほうを見るようになった。酔ってるからか、電車のゆれでか、顔と肩を大きく揺らしながら、上目づかいだったり、横目だったり、あごを突き出し薄目だったり、早智子のほうばかり見ていた。
早智子の降りる駅が近づいてきたが、早智子は本能的に、ここで降りてはいけない、と思った。男はその駅で早智子が降りるかどうか見張っていた。電車が動き出すと、男はほかのまばらな乗客を気にして、辺りをキョロキョロ見回した。
そして、なが~ぃキンチョウの時間がすぎて、次の駅が近づいた。電車がホームにすべりこんでも、停車してドアが開くまで、早智子はじっとしていた。ドアが開いてすぐ、座席からはね上がり、ドアからホームへと駆け降りた。すぐにドアが閉まってほしいと思ったが、ドアはしばらく開いていた。男はニタニタ笑いながら、ホームにゆっくり降り立った。早智子は後ろを気にしながら、小走りにホームを階段まで急ぎ、階段のところで一度ふり返った。男は早智子を指差しながら、にやけた紅い顔で大またに一歩一歩を速めた。
「やだよぉ~あたしはライオンのえさっじゃないよっ!」
階段を下りるとき、早智子はショウガッコ時代のように一段飛ばしで急いだ。そして、改札口を前にして、そこから出ても男の早足にきっと追いつかれると直感した。とっさに、改札口の手前の女子トイレに駆け込んだ。次の瞬間、男のダダダッという足音が響いた。そぉっと女子トイレから見てみると、改札口を前に男はキョロキョロしていた。改札口を出て追いかけていくか一瞬迷って、すぐ改札口を通って駆けだしていた。それに対して、他の客も駅員もいっこうに関心を示すようすはなかった。
それを確かめ、すぐ早智子は女子トイレから出て階段を駆けのぼると、さっき乗ってきた電車と反対方向の電車がホームに到着し、ドアが開いてすぐ、飛び乗った。ドアが閉まった瞬間、ふり返ると、ホームにあの男が立っていた。男はドアをこじ開けようとしたが、ドアは固く閉まり、男は早智子を指差してニタッと笑った。電車が出発して座席にすわったら、急にドキドキしてきた。
「きょうはチョ~楽しかったのにぃ、なんでぇこんな目にあわなきゃいけないのぉ?!」
「これって恋愛映画とアクション映画の二本立てじゃん!!!」
「ったくぅ★」
正志に買ってもらった花柄ワンピの入った袋を、早智子はしっかり抱えていた。いまは、電車のなかで目をつぶらなかった。
最終電車が夜の街の闇のなかを光のすじとなって駆け抜けていった。
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