まずはボクのサマソニ歴を簡単に振り返ると17回中フル参戦が12回、大阪での1日参戦が2001年。ガンズの年に行っていないというメタルファンとしては致命的なミスを犯しているのがいまだに心が痛むんだけど、2004年以降は皆勤。それが今年の2日目に行かなかったことで途切れてしまったんだけど、理由としては、ラインナップにも一部よるところがあるのと、年齢的にも40を目前にして過渡期に来ているのかなあと。パンスプの皆勤も今年途切れたし。まあ毎年行ったら行ったでやっぱり楽しめるので、特に皆勤にはこだわらずこれからも自分なりの楽しみ方をしようとは思ってる。 ということで今年のラインナップ。前半の発表では全くもって興味のないメンツだったのでどうしたもんかなと思っていたところに、THE OFFSPRING, BULLET FOR MY VALENTINE, THE STRUTSあたりが入ってきて初日は行くことを決めた次第。以前RIJの映像を観てその全力投球ぶりに心を打たれたLiSAが入ってきたのも良かった。そんな感じのスタンスの今年だったので、逆にゆったり観ることができたというのもある。
そんなボクの今年の観戦リストは ALDIOUS(最初の数曲のみ), THE STRUTS, COLDRAIN(最初の数曲のみ), LiSA, BILLY TALENT(最初だけ見逃した), PANIC! AT THE DISCO(最初の数曲のみ), ANDY BLACK, BULLET FOR MY VALENTINE, THE OFFSPRING だった。
で、これから時系列的にレポっていこうと思うが、今回初めて体験したのがサイン会への参加だ。LOUD PARKでは以前3 INCHES OF BLOODのサイン会に参加したことがあったが、今回、THE STRUTSのサイン会があるということで参加することにした。このバンド、まだ日本盤が出ていないがかなり注目されているバンドで、MOTLEY CRUEのフェアウェルツアーのオープニングアクトにも抜擢されている。音楽的にはQUEENやTHE DARKENSSあたりを彷彿させるところがあるが、グラムロックをベースとした、キャッチーなサウンドに見事にハマった。このバンドはきっとまだまだデカくなるだろうと確信した。ということでサイン会などという滅多にない機会を逃すわけにはいかなかった。
8時半頃に会場に到着した後、コインロッカーを確保して9時の開場を待った。前述の通り雨が降ったりやんだりの天気だったが、幕張メッセ内での開場待ちだったので雨の被害はなかった。サイン会の参加にはオフィシャルグッズかHMVブースでのCD購入が必要ということで、開場後はそこまで列の長くなかったHMVのブースに直行。30分ほど並んでCDを購入した。そしてそのまま次は整理券配布の列へ。整理券配布は、その日にサイン会を行うすべてのバンドの列が同じ列に並ぶため、PANIC! AT THE DISCO, ANDY BLACK, CHARLIE PUTH目当てのファンとも一緒に並ぶことになった。揃ってイケメンのバンドのサイン会であるせいか、若い女性がほとんどを占める中、外から持ち込んだ缶ビールをかっくらいながらiPod聴きつつ並ぶ40目前のおっさんは異様であっただろう。まあサインをもらいたい情熱は周りの人間とも変わらないはずなのでそこはおいておこう。当然ながら整理券の枚数には限りがあり、どの程度の数がTHE STRUTS目当てか把握できないこともあり、入手できるか若干不安だったが、開場からCD購入、そして整理券配布までの流れが割と早く行ったこともあり、無事20番で整理券をゲットすることができた。開場到着からここまでに要した時間は約2時間。なかなか有意義に使ったもんだ。 先にサイン会のことだけ全部書いてしまおう。 サイン会は14:00からだったので30分前に会場に行くと既に20人ほどが列を作っていた。開始前にスタッフからサインする物の確認や、名前や日付は入れられない等の注意事項が幾度となく説明され、いよいよメンバー登場。ちなみにサイン会場の隣にはサイレントディスコのエリアがあり(通常のDJプレイを聞くクラブのようなものなのだが、観客はヘッドフォンを装着するので傍から見ると無音状態でダンスしている集団がいるという異様な光景。個人的には一度もやったことはない)、何人かが“うぉううぉううぉううぉ~”と叫んでいたのでベビメタのRoad of Resistanceがかかっているのが分かったり、LINKIN PARKのIn The Endがかかっているのも分かった。そう考えると周りの人間としてはイントロクイズみたいで楽しい時もあるが、歌う人間はほとんどいないので基本的には異様なだけである。 話が逸れたが、いよいよメンバーが登場し順番に購入したCDにサインをもらう。ひと言ふた言はしゃべることができ、(サイン会の時間はライヴ後だったので)ライヴが良かったことを伝えたり、次回の単独公演を期待することを伝えたが、メンバー一様に日本を気に入っていたようでよかった。どうやら1月にまた来る予定があるとのことだが、ガンズの前座だろうか。ついでに単独公演もやって欲しいところだ。そんなこんなで今年は総計3時間近くをサイン会のために費やしたことになったが、それなりの価値はあるものだった。ちなみにサイン会前にWikipediaで検索し、詰め込みで覚えたメンバーの名前だったが、実際は使うことはなかった。だいたいよほどの大物でなければ、バンドが好きでもメンバーの名前や顔まではなかなか覚えられないものだ。でも今回で覚えたよ、Thank you, Luke, Adam, Joe and Gethin!(フルネームは覚えてない)。
ということで既にかなりのスペースを使ったが、ここからようやくライヴレポだ。まず、サイン会後にチラッと見たのはALDIOUS。彼女たちは一度、大冠祭で観たことがあった。嬢メタルの一番手として相変わらず精力的に活動を続けており、その結果が今回の出演にもつながったのだろう。ちなみにこのステージはソニックステージだったのだが、本来、というか今までのサマソニではソニックステージってのは割とソフトなロックバンドやダンス系が出るイメージがあったので、このステージでメタルバンドが出ていることに多少の違和感を覚えた。ステージの名前には特にコンセプトはないってことが今回はっきりしたね。まあ別に気にしなければ気にならないことなのだが。で、彼女たちのステージは場数を踏んできているだけあって堂々としたものだったし、今回初めて観てファンを掴んだ可能性は充分にあると感じた。今後の活躍にも期待したいものだ。ま、何回か書いているが個人的にはMARY’S BLOODの方が好きである。 わりとゆったりした時間割で会場内をふらふらしたあとに、いよいよ今回の本命であるTHE STRUTSを観るためにマウンテンステージへ。ステージ最初のバンドであり、知名度もまだ低いということでそこまで多くの観客は集まっていなかったが、そんなことは関係ない。前線へ移動して開始を待った。まずは毎年恒例のDJ Booが登場。30キロ痩せたとかで風貌は確かに変わっていた。ただ相変わらずの微妙な空気をつくるMCは健在で、まだ活動できていることに疑問をもちつつ苦笑しながら流し聞く。 そしていよいよバンドメンバーが登場。ヴォーカル以外のメンバーが登場し、イントロを奏でる。そしてRoll Upからスタートすると同時にヴォーカルのLukeがキラッキラの衣装で登場した。正直音はあまりクリアではなかったが、これはこのステージのトリであるTHE OFFSPRINGの時も感じたのできっとステージの問題なんだろう。しかしこのバンドには音の善し悪しなど取るに足らないと思わせるヴォーカルの強烈なキャラクターとキャッチーな楽曲群がある。それは日本での初ステージであるこの舞台でもいかんなく発揮されていた。シンガロングパートがいたるところにちりばめられている楽曲が多いので曲を知らないと若干戸惑うが、それ以外にもウォーやらイェーやら、一回聞けば合唱できるパートも至る所に存在するし、観客とのコールアンドレスポンスも手慣れたもので、会場の一体感が曲が進む毎にどんどん増していくのを感じた。限られた時間でのセットではあったが、最後の座ってからのジャンプのWhere Did She Goまでの5曲で締めた彼らのステージは、“鮮烈な日本デビュー”という表現がずばり当てはまるステージだったと言える。いかんせんこういう衝撃的なデビューをしたバンドは尻すぼみしてしまう傾向にあるので、なんとか長い間活動を続けて欲しい。とりあえず次は単独公演しかないでしょ。 素晴らしいステージを観たあとはまたウロウロしながら次は何となくcoldrainを数曲観戦。フェスではお馴染みの彼らなので何度か観ているが、これはまったくもってこの日のボクの気分だったのだが、何となくギャーと叫んで奥行きのあるメロディアスなパートがあって、またギャーとなるといったお決まりの展開になんかさめた。というか。そこでいきなりの「かかってこいよ!」のセリフ。ああ、もう聞き飽きたよ。みたいな。繰り返すがこれはたまたまボクの気分がこの日そうだっただけで、彼らが悪いわけではないことは書いておく。ということで数曲で退場した。 次に観たのはLiSA、とその前にチラッとお笑いステージで2組ほど観たが、超絶につまらなかった。名前は言わない方がいいだろう。で、LiSA。前述の通りテレビで観たライヴ映像に感銘を受けたので、今回生で観られるのを楽しみにしていた。そしてそのライヴは期待を裏切らないものだった。歌唱力はさすがであり、それはアカペラで歌い出したシルシ(多分その曲だと思う)で顕著だった。さらに動きも、振り付けがあるわけではないが、体全体を使って表現する姿はエロさとかわいさが同居していて、とにかく魅きつけられる。中でもボクが一番好きなのは、激しい曲の一瞬空いた音の隙間で「LiSAです!」とか言うヤツ。これ何回かやるんだが、あのかわいさは5億点by宇多丸。伝わってるかなコレ。MCに関しては初々しさがちょっと出過ぎていて、もうちょっと頭整理してしゃべれよ、と正直思ったりもしたが、サマソニ初出演の興奮度が溢れ出たということでよしとしよう。割と後の方で観ていたのでファン層がイマイチ掴めなかったが、横アリ2Daysも完売させているらしいのでかなりの固定ファンがいるのだろう。個性派のアーティストとして、音楽的な路線はあまり変えずに突っ走っていって欲しいものだ。 終了後ソニックステージへ移動し、ちょうど始まったばかりのBILLY TALENTを観戦。ま~これが良かった。恥ずかしながら名前だけは知っていたものの音楽はほとんど聴いたことがなかったカナダのバンド。パンクというくくりになるのだろうが、THE LIVING ENDのようなロカビリー色がありながらもDROPKICK MURPHYSのような骨太さも持っているような印象を受けた。多くの曲で楽器隊も一緒に歌うシンガロングパートがあり、メロディもキャッチーで覚えやすい。そしてこれはこのステージだからだったのかも知れないが、音が非常に良かった。ボクの好きなタイプのエッジの効いた輪郭のある音だった。前回の来日が10年前だったようで、次回は10年たたないうちにまた来たいと言っていた。そのキャリアからしてもヴェテランの域に達しているようだが、また何かの機会があれば是非チェックしたいバンドだ。 PANIC! AT THE DISCOとANDY BLACKが被っていたが、前者の方がやや早いスタートだったのでマウンテンステージへ。このバンドはデビュー時はFALL OUT BOYのようなタイプだったイメージがあったのでチェックはしていたし、パンスプでも観た記憶がある。その後なんとなくチェックしなくなってしまったが、紆余曲折ありつつ本国ではかなり売れっ子のバンドのようで素晴らしいことだ。この日は最初の数曲を観たのみであったが、ヴォーカルの変幻自在の声とトリッキーでありながらもポップでキャッチーな曲はなかなか魅力的だった。ANDY BLACKに興味がなければこのまま観ていたいと思わせるライヴ展開だったが、彼に興味があったので移動したのだが。。。 これが見事に失敗した。もともとBLACK VEIL BRIDESも聴いていなかったので事前情報は何もなしで観たのだが、何ともフックのない曲ばかりというか。途中BILLY IDOLのカヴァーも入れていたが、まさにそのような楽曲が多かった。コレがよいという人も当然いるのだろうがボクには合わなかった。中盤に来て疲れもあったのでそのまま惰性で滞在してしまったが最後の曲だけちょっと良かった以外は特筆すべき部分はなかった。あ、ただ、彼のカリスマ性は感じることができた。細身の体にびっくりするくらいのイケメンだったので、アイドル的人気も獲得しそうな感じではあった。MCも落ち着いたもので貫禄充分ではあった。 BULLET FOR MY VALENTINE。前回観たのは昨年のOZZFEST。彼らは最近頻繁に日本にやってきてくれるのでありがたい。そして毎回飽きさせないライヴを展開してくれる。それは今回も例外ではなかった。これは毎回書いているとは思うが、近年のメタル界の旗手というと真っ先に思いつくのがこのBFMVとAVENGED SEVENFOLD, TRIVIUMの3組だ。個人的にはTRIVIUMがひとつ抜けたかと思った次期もあったが、今回のBFMVのアルバムで彼らがまた抜き返したイメージだ。メタル界も若手の大物不在が叫ばれているが、彼らのようなバンドが地道に切磋琢磨し続けてくれていることは将来への希望のひとつだ。今回のライヴもNo Way OutからWaking The Demonまで徹頭徹尾メタルのパフォーマンスを繰り広げてくれた。特に何回聴いても飽きないScream Aim Fireでは個人的にこの日唯一となるガチヘドバンをした。本当にいい曲だと思う。バンドの演奏も隙がないし、非常にいい状態であると感じた。今後もメタル界を引っ張っていって欲しい存在だと改めて感じた。 ということで今年のサマソニ最後の観戦はメロコア界の王者THE OFFSPRING。フェスを中心に彼らのライヴは何度か観ているが、ヒット曲の多さには本当に驚かされる。これをコンスタントに出し続けているのが本当に凄い。今回割と後の方から観ていて、音の悪さとバンドのキレの衰えが正直気にはなったが、これだけのヒット曲を立て続けに連発されて盛り上がらないはずがない。もはやKISSの領域に入ってきたのではないかとも思えるほどだ。実際ほとんどMCを入れず、淡々と演奏をしていくのが彼らのライヴの特徴だが、今回は初めて日本に家族全員を連れてくるほど日本を好きであるとの発言があった。既にライヴでは披露しているComing for Youという新曲は今回も披露されたが、オフスプ節がしっかりきいた曲であった印象だ。1時間ちょいで19曲をぶちかましたが、それでもまだSelf EsteemもBad HabitもGone Awayも(大阪ではやったらしい)Motaもやっていないというセットリストだ。次回はそろそろアルバムを発表してもらって、もう少し音の良い小さいハコで思いっきり暴れながら観てみたい。Green Dayと共にまだまだシーンを牽引していって欲しい存在である。
そんなこんなでいろいろあった今年のサマソニ参戦記だったが、終わってみればやはり“行って良かった”の一言に尽きる。実際去年の2日目も目当てのバンドがひとつもないにも関わらず楽しむことができたし、会場の雰囲気を味わうというのも当然ながらフェスの醍醐味である。そういう意味でも体がいける限りは行っておこうと認識を改めた次第だ。そしてセーソクさんが毎回言っているように“ライヴは情報量の宝庫”である。バンドの最新の状態が見られるのはその場のライヴにおいて他にない。そこから感じ取れるものは多くあるはずだ。音楽が好きであることを確認し、バンドの最新の状態を楽しみ、空間を共有し、明日への糧にする。月並みな言葉ではあるが、それだけ純粋に楽しむのが一番正しい楽しみ方なのだと思う。今年もありがとうサマーソニック。See you next year!!