|
---|
作者 倉麻るみ子(PN&HN) ・・・グサッ・・・! その刃物は、迷う事無くラルドの腹に突き刺さった。 ラルドの口から、血が流れる。 そして、吐血する。 周りが悲鳴やら何やらで騒がしくなる。 カイン「ラルド!」 カインは、ラルドの元へ行こうとした。 だが・・・、 ラルド「来るな!カイン!」 刃物が突き刺さったまま、ラルドはカインを止める。 ラルドは、目の前に居る男を勢い良く押し退け、自分の腹に刺さった刃物を抜き取る。 ラルド「・・・こんなものを使って、・・・自分が勝った気になっているとはな・・・。 ・・・貴様、・・・弱い・・な・・・。」 息の荒い呼吸をしながら、ラルドは男に向かって言う。 ラルドの腹からは、夥しい血が流れている。 そして、男に向けて片手を翳し、真空波のようなもので男を吹き飛ばす。 飛んで行った男を走って追いかけ、そしてジャンプをし、男を殴り付け地面に叩き付けた。 ラルドは、ストッと着地をし、倒れている男に近付き、胸倉を掴む。 ラルド「貴様!今度あんなことして見ろ!こんなものでは済まさんぞ!!」 男はおびえて、盗んだ財布をラルドに手渡し、そのまま走って逃げて行った。 ラルドは、一息付いてそのまま倒れる。 それを、カインが支える。 カイン「大丈夫・・・じゃねぇよな。待っていろ、今病院に連れてってやるからな・・・。」 カインは、ラルドが取り戻した財布を「これ持ち主に返しておいてくれ」と言いミラルに渡し、この商店街から一番近いと言われる病院へと走った。 ミラルも、財布を持ち主に返し、カインの後を追った。 ―数分後― ここは病室。ラルドの部屋。 ベッドでラルドが小さな寝息を立てて眠っている。 そして、ようやくラルドは目を覚ました。 ラルド「・・・ここは?」 ラルドは起き上がり、辺りを見回す。 ラルド「ぅ・・・、」 腹の傷が、多少痛むのか、ラルドはうずくまる。 と、そこに花瓶の花の水を換え終わった、カインとミラルが病室に入ってきた。 うずくまっているラルドをみて、慌ててそばによるカイン。 カイン「馬鹿!まだ寝ていろよ!!」 ラルド「・・・すまないな・・・。」 再び横になるラルド。 ラルド「お前が、私をここまで連れて来てくれたのか・・・?」 カイン「あぁ・・お前さ、身体軽いから、すぐに着いたんだ」 ラルド「・・・そうか、・・・ありがとう・・・。」 カイン「良いって事よ♪」 そして、ラルドはもう少し寝ると言い、再び眠りに着いた。 その寝顔を見つめる、カインとミラル。 ミラル「寝顔も可愛い~(≧∀≦)」 カイン「ミラルって、ホント可愛い物好きだよな。」 ミラル「な、何よ。・・・いけない?」 カイン「フフ・・・、別にww」 ミラル「もぅ・・・カインって訳わかんない・・・」 しばらく沈黙の時間が流れる。 すると、ラルドが突然目を覚ます。 ラルド「お前たち・・・家に帰らなくて良いのか?」 カイン「ぅ・・・ぅえ?」 ラルド「家の鍵、かけていかなかっただろう・・・?」 カイン「え!?・・・あ、そうだった!早く帰んないと!」 ミラル「でも、盗られる物なんてないじゃない。カインの家。」 カイン「って、もしかしたら、空き巣とかに遭っているかもしれないだろ?」 ミラル「考えすぎ。空き巣事件なんてこの辺起きてないでしょう?」 カイン「・・・確かに・・・。」 セルビアの治安が少しずつ良くなっているという印だが、カインに今のミラルの一言は少しグサリと行った。 ラルド「そういえば、カインの家の中、まだ見たことないな。」 カイン「そっか、あん時のまま、商店街に来ちまったもんな。」 ラルド「退院したら、中を見せてもらうぞ。」 ミラル「見ても、得するものはないけどね。」 カイン「あ、こら。それは言わない約束だろ!?(´□`;)」 ミラル「だって、カインの家、入ったらいろんな物が散らかっているんだもの。 この前片付けてあげたのに、その次の日になったらもう散らかっているのよ!」 ラルド「・・・。」 ラルドは、その様子を頭に浮かべる。 そして、すこしあきれた顔をする。 ミラル「ラルド君、きっとあなたの想像通りかもしれないわよ?」 ラルド「・・・少し、入りたくないような気がする・・・。(--;)」 カイン「何だよそれ!!(`Д´)」 ラルド「ははは・・・じょ、冗談だ・・・(^^;)」 冗談ではないのに、焦ってその言葉を取り消す。 すると、病室に医師が入ってきた。 カイン「あ、先生!どうなんですか?」 医師「大丈夫。あと一日休めば完治しますよ。」 カイン「そうですか・・良かったな、ラルド。」 ラルド「・・・ぁ、ああ・・・。」 カイン「どうしたんだ?」 ラルド「いや、こんな傷を受けておいて、あと一日と言うのは、少しおかしいと思って。」 医師「ぼくも驚きだよ。普通なら、あと1、2ヶ月ほどかかるんだけど、君の場合、回復力が非常に高くてね。 ・・・傷を塞ぐ時には、傷が小さくなりつつあったんだ。 さすが、ドナウ川のダムを崩壊させる程の力を持っているだけの事はある。」 それを聞いたカインは、「え?何でラルドのことを!?」と、驚きつつ医師に問う。 医師「当たり前だよ。その時に僕は現場にいたんだからね。」 ラルド「カイン、1つ聞きたいんだが・・・、何故、お前は私のところへ来たのだ?」 カイン「そりゃ、最近行方不明の人がいるからさ、ホントかなぁって。」 ラルドは大きくため息をついた。 ラルド「(馬鹿馬鹿しい・・・。)」 医師「とにかく、明日一日休めさえすれば、退院は確実だよ。」 医師はそういって「それじゃ」と言って、病室を出て行った。 カイン「そんじゃ、俺らもいったん家に帰るからな。明日になったら迎えに行くからな。」 ラルド「あぁ・・・、わかった。」 ミラル「それじゃね、ラルド君(^o^)」 二人も、病室から出て行った。 ラルド「・・・はぁ、・・・また一人か・・・。・・・ん?そこに居るのは誰だ?」 ラルドは、ある気配に気づく。 ???「ラルド・・・、せっかく封印が解かれたんだ・・・。また僕らと一緒に行こうよ。」 ラルド「断る。私は、世界など壊そうとは思わない。・・・というか、そこに居るのはわかっているんだ。隠れてないで出て来い。」 ???「それはお断りしとくよ・・・、どうせ出て行ってもボクの事は覚えてないだろうしね。」 ラルド「・・・?」 ???「まぁいいや、とにかくまたどこかで会おうよ。じゃぁねぇ~。」 その気配は、消えていった。 ラルド「一体・・・・あいつは、何者なんだ・・・?」 ラルドは一人ポツリと、呟いた。 第4話に続く |