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作者:倉麻るみ子 ―ファラスの家― ―夜― 皆は、眠りにつく。 その中で、起きているあの双子・・・。 ユリウスとライディスだ。 ユリウス「ライディス・・・、そろそろ寝ないか?」 ライディス「・・・まって、もう少し起きてる。」 ユリウス「何でだよ?特にやることないだろ?」 ライディス「う、うん・・・。まぁね・・・。」 ユリウス「じゃ、早く寝ろよ。」 ライディス「そう言う兄さんこそ、僕なんか待ってないで、先に寝ちゃえば良いのに。」 ユリウス「俺は弟想いなだけだ。」 ライディス「あぁ、そうですか。」 二人は、そう言葉を交わしつつ、その数分後に眠りについた。 その真夜中・・・。 ライディスは夢を見る。 ・・・そう、もしも自分がこの力を持っていなかったらという夢・・・。 ―2007年 9月2日― イギリスのとある病院。 そこで、元気な男の子の双子が生まれた。 とても元気な産声を上げている。 一人は、髪の毛が灰色の子で、その子の名前をユリウスと名づけ、もう一人の髪の毛がクリーム色の子は、ライディスと名づけられた。 二人はすくすくと育っていった。 何の問題もなく。二人は元気に育っていった。 そんな、二人がちょうど5歳になったある日・・・。 ライディス「兄ちゃんのばか!ばかばかばかぁ!!うわぁぁん!」 何やらハプニング発生。 詳細はこうだ。 自分が大切にとっておいたおやつを、ユリウスが勝手に食べてしまったのだ。 それを見たライディスは、「ばか」を連呼して、泣いてしまうという始末。 ユリウス「ライディスが、ちゃんとしとかないからだろ?」 ライディス「ちゃんとしておいたもん!!それなのに、食べちゃうなんて、ひどいよ~!うわあぁん!」 ユリウス「また買えばいいだろ!?」 ライディス「うわあぁぁん!」 ユリウス「泣くな、ばか!!」 ライディス「・・・っ!!あぁぁぁぁあああぁん!!ママ~。」 ユリウスに怒鳴られた事により、ライディスはさらに泣き、母親の元へ。 母「ユリウス、謝りなさい。」 ユリウス「や、やだよ・・・。なんでおれが・・・。」 母「おやつはまた買ってあげるけど、あなたはお兄さんなんだから、ライディスに優しくしなさい。」 ユリウス「・・・。」 ユリウスは数分そっぽを向く。 そして・・・。 ユリウス「ごめんな・・・、ライディス。」 ライディス「・・・・ぅん・・・、ぼくもごめん・・・。」 ユリウス「なんでおまえが謝るんだよ・・・。おれが悪かったんだぜ?」 ライディス「わかんない・・・・。でも、これからは一緒におやつ食べよ。」 ユリウス「うん^^」 ことは一件落着。 やはり、双子は仲がよくなくては。 そんな普通の生活が、何年か流れた。 ・・・しかし、ここでライディスの夢が覚めた。 時計を見ればまだ2時15分。 ライディスは部屋のテーブルにあったボトルのフタを開けて、それをコップに注ぐ。 そして、もう一度ベッドに入る。 だが、今度の夢は、ライディスが過去に味わった現実を直視させるものだった・・・。 ―2007年 9月2日― ライディス『こ、ここは・・・?』 ここは、イギリスのとある病院。 そこで男の子の双子が生まれる。 一人は、灰色の髪の毛で、もう一人はクリーム色。 二人とも、狼の耳がついていた。 ライディス『あれって、兄さんと僕・・・?』 ライディスが暫く見ていると、生まれたばかりである、クリーム色の髪の毛の子に異変が起きた。 髪の毛の色が黒くなり、爪をたて自分の周りにいる者を襲い、両親を殺害した。 それを静止しようと、何人もの人たちが、その赤ん坊を追い詰めた。 そして、一斉に麻酔銃から麻酔矢が放たれた。 その麻酔銃を撃った人物たちの中には、金髪の青年がいる。 青年は、自分の持っていた首輪のような銀色のリングを、その赤ん坊の首に掛けた。 ライディスは、その光景を見て、自分の目を疑った。 ライディス『・・・も、もし、あの子供が僕なら、僕が・・・、両親を・・・!・・・そ、そんなはずないよ・・・。これ、夢だもん・・・。』 ライディスは、自分にそう言い聞かせた・・・。 ライディスの夢は、ここで途切れようとしていた。 だがそこに、ある声が紛れ込んできたのである。 それも、聞き覚えのある声が・・・・・・。 謎の声『フフフフ・・・。夢なわけがなかろう・・・。これは現実だ。現実に起きたことなんだ・・・。』 ライディス『・・・!』 ライディスは、声のしたほうに振り向くと、目の前に声の主がいた。 ライディス『プ、プラノズ様!!』 プラノズ(=謎の人物)『ライディス・・・。お前が、自分で両親を殺したんだ・・・。』 ライディス『そんな・・・、う、嘘だ・・・!そんなはずない!!』 プラノズ『なら、何故捨てられていた?』 ライディス『・・・・・・!』 プラノズ『そうだ・・・、現実を受け入れるんだ・・・。』 その人物は、ライディスの肩に触れ、耳元で囁いた。 ライディス『嫌だ・・・、嫌だああああぁぁあああぁ!!!』 ユリウス「ライディス・・・?」 ライディスの唸る声に最初に気付いたのは、ユリウスだ。 ユリウスは、ライディスが獣化しかけているのを見て、慌ててライディスを抱きしめた。 ユリウス「やめろ!!何を見たのかわかんないけど、ここで獣化するんじゃない!! まだ早い!!!」 ライディス「うぅぅぅ・・!!!」 プラノズ『ちっ・・・、邪魔者め・・・!そいつなど、吹き飛ばせ!!』 ライディス「うぅぅぅ・・・、がぁああぁあぁ!!!」 ライディスは、完全に獣化し、ユリウスを糸も簡単に吹き飛ばした。 吹き飛ばされたユリウスは、壁に激突した。 そして、ライディスはそのまま外へ行こうとした。 ユリウス「ま、待て・・・、ライディス・・・・!!」 ユリウスが声をかけたが、ライディスは振り向いただけで、そのまま外へ飛び出して行ってしまった。 ユリウスが壁に激突した音に気付いたほかのメンバー達、ラルド、ウラン、そしてファラスだ。 ラルド「ユリウス、一体どうしたんだ!?」 ウラン「ライディスの姿がないよ!?」 ユリウス「・・・俺の事はいい・・・、その前に・・・、早く・・・、ライディスを・・・、止めて・・・、くれ・・・。」 ユリウスはそう言って、気を失った。 ウラン「ユリウス!」 ファラス「ラルド、ウラン。とにかくライディスを追うぞ。」 ウラン「うん。」 ラルド「判った。」 3人は気配をもとに、ライディスを追った。 走る事5分。 木から木へ移る、ライディスを発見した。 ラルド「ライディス!!」 ラルドが、彼の名を呼ぶ。 ライディスは止まり、そして振り向き、こう言った。 ライディス「・・・デス・・・、クラッシュ・・・。」 と、突然ライディスの姿が消え、ラルドの目の前に現れた。 突然の出来事に、何も動作が出来なかったラルドは、立ち尽くすしか他なかった。 やられる・・・!そう思い目を閉じた・・・。 ―ザシュッ!― 目を開けると、ウランがラルドを抱いていた。 そして、ウランの背中から、ブシャッと夥しい血が吹き出た。 血は、地面に音を立てて落ちた。 雨が降っている所為で、血はすぐにウランの服に滲んでいき、服が真っ赤に染まった。 ラルド「ウラン・・・、おい、しっかりしろ!」 ウラン「・・・ぅ・・・、ラル・・ド・・・、よかっ・・た・・・、無事・・で・・・。」 ラルド「何やってんだお前は!」 ウラン「・・・だって・・・、ラルド死んじゃったら・・・、カイン・・・、悲しむじゃん・・・・。」 ラルド「馬鹿か!あいつは誰が死のうと、必ず悲しむ奴だ!!だからお前が死んで良いなんてことない!!」 ライディスは、ウランの背中を切り裂いた後、後ろに引いていた。 そして、睨んだ先はファラスだった。 ファラスも、ライディスを睨んでいる。 ファラス「ライディス・・・、どうしてこんな事をした・・・?」 ライディス「うぅぅぅぅ・・・。」 ファラス「質問に答えろ。」 ライディス「うぅぅぅぅ・・・。」 ライディスは唸るだけで、ファラスの質問に答えようともしない。 ファラス「まともに応えられないほど、暴走しているのか・・・、お前は・・・。」 ライディス「うぅぅぅぅぅ・・・。」 ファラスは、その辺りにあった木の棒を刀に変え、ライディスに向ける。 ファラス「いい加減に目を覚ませ・・・、この軟弱者・・・!」 そう言い、刀を手に、ライディスに突っ込んだ。 ライディスもファラスに、ウランの血のついた爪を構え突っ込んできた。 と、ライディスにまたプラノズの声が聞こえてきた。 プラノズ『そいつの相手はいい!奴はまた後で始末すればいい・・・。』 ライディスは動きを止め、すばやく姿を消すかのように、その場を立ち去った。 ファラスが「待て!!」といった時には、そこにはもう、ライディスの姿はなかった。 雨は、まだ降り続いていた・・・。 第18話へ続く ※この話はフィクションです。実際の、国名、団体、都市などには関係ありません。 |