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| 作者:J・ラコタ ―セルビア・モンテネグロの南側― ―ドナウ川の下流の近くにある洞窟― ライディスがその洞窟の中へと入っていく・・・。 プラノズ「ライディス・・・。」 ライディス「ガルルル・・・、」 プラノズ「・・・ハハハ、戻って来たか。」 ユーリィ「久しぶりね。」 ライディス「・・・プラノズ様・・・、」 ライディスの獣化が解けた。 しかし、依然として、ライディスの目は赤いままである。 ライディス「兄はまだ奴らのところにいます・・・。」 プラノズ「心配するな。・・・これから連れ戻す。」 プラノズは怪しい微笑みを浮かべた。 ―翌朝― ―ファラスの家― ユリウスとライディスのいた部屋の壁には大きな穴が開いていた。 その穴をカインとユリウスが塞いでいる最中だった。 カイン「それにしても・・・、どデカイ穴を開けて行ったなぁ・・・。塞ぐのが大変だ。」 ユリウス「すまない・・・。」 カイン「俺に謝るなよ。ファラスにだろ?」 ユリウス「・・・あいつは力が暴走すると、冷静に判断が出来ずに暴れまわる。 でも、俺とラルドでなら止められるはずだった。・・・だが・・・、」 カイン「あぁ、聞いた。ウランのあの傷跡・・・。あれは酷い状態だった。」 ユリウス「・・・何故、あいつがあんな風に暴れたのかが分からない。 それに・・・、壁をこんな風に突き破って穴を開けるならともかく、あいつは暴走すれば、家をさらにメチャクチャにしていたはずだ。」 カイン「・・・何が言いたいんだ?」 ユリウス「・・・ライディスは、操られていたのかもしれない。」 カイン「・・・何でそう考えるんだ?すぐに戻って来るかもしれn」 ユリウス「あいつの力を俺が抑えようとした。でも、それがうまく行かなかった。 ということは・・・、あの暴走は故意に誰かがライディスを操って引き起こしたのかもしれない。」 カイン「・・・何だか、ゾッとするなぁ・・・。」 ユリウス「あぁ。俺もだ、カイン・・・。」 カイン「・・・もう1つ聞くけど、普通に暴走した場合と、今さっき暴走した場合とで、どんな違いがあるんだ? 今言ったのを除いて。」 ユリウス「うーん・・・、他には・・・。・・・あいつの目が赤かった。」 カイン「それって・・・、」 ユリウス「・・・普通、俺達が力を使うと、手が爪に変化し、この顔の模様が変化する。そして、信じられないスピードで木々を渡ることが出来る。 それに、目の色も変化するが・・・、・・・ライディスの場合、獣化した時の目は黄色だった。 ・・・何か、嫌な予感がする・・・。」 そういう会話がありながらも、2人は壁を直し続けたが、結局、壁が直ったのは夕暮れ時だった。 ちょうど、ファラスたちが帰ってきて、ライディスの捜索は明日になった。 しかし、実は魔の手が、今度はユリウスに降り掛かろうとしていた・・・。 ユーリィ「プラノズ様。時間です。」 プラノズ「ありがとうユーリィ。・・・さて・・・、恐怖のショータイムの始まりだ。」 ―深夜2時― ユリウス『・・・ここは・・・、・・・アレは・・・、・・・ライディスだ!』 ユリウスの夢の中だ。 目の前にライディスがいる。 ユリウス『ライディス・・・、』 ライディス『兄さん・・・。ごめんね・・・。』 ライディスの姿が薄れていく・・・、 ユリウス『ライディス!』 ユリウスはライディスの手を掴んだ。 と思ったら、掴んだ相手は・・・、 ユリウス『プ、プラノズ・・・、』 プラノズ『久しぶりだな。ユリウス。』 ユリウス『やっぱり、お前だったのか!』 プラノズ『そうとも。ライディスを暴走させた。そして、ライディスは今私の手中にある。』 ユリウス『く・・・、弟を・・・、ライディスを返せ!!』 ユリウスはプラノズに飛びかかろうとしたが、プラノズはいない。 と思ったら、プラノズはいつの間にか、ユリウスの後ろに回りこんでいた。 プラノズ『会わせてやるとも。私の操り人形としてな・・・。』 プラノズはユリウスの左頬。つまり、模様がある方に手を触れた。 ユリウス『や、やめろ・・・、やめろぉぉぉ!』 しかし、次の瞬間、ユリウスの目が赤く光り、獣化した・・・。 そして、それは現実でも起きていた・・・。 ユリウス「ガルルルル・・・、」 ユリウスは獣化し、暴走していた。 ユリウス「ガァァァァッ、」 ドォンッ、 そして、夕方までにやっと塞いだ壁を、また突き破って行った。 最初にその物音に気付いたのは、ファラスとラザロだった。 ラザロ「何だ・・・?」 ラザロはベッドから起き、リリスを部屋に残して、サブマシンガンと弾倉を持って、外に飛び出した。 ファラスも外へ飛び出し、近くにあった角材を握り、剣に変化させた。 プラノズ『さぁ、ユリウス・・・、こっちへ来い。』 ユリウス「ガルルル・・・、」 木から木を渡っていくユリウスを追いかけるラザロとファラス。 ラザロ「ユリウス!」 ファラス「待てっ、逃がさん!!」 ユリウス「ガルルル・・・、」 ユリウスは木から飛び降りてきた。 そして、爪を立てた。 ラザロ「な・・・、」 ファラス「伏せろ!」 ファラスはラザロを突き飛ばし、ユリウスの爪を剣で受け止めた。 ファラス「くっ・・・、」 ギィーンッ、 ファラスはユリウスを突き放した。 だが、反動が強い。 ファラス「(どういうことだ・・・?ユリウスの攻撃が、こんな反動の強いものだっただろうか・・・?)」 ユリウス「ガルルッ、」 ファラス「はっ、」 ユリウスが、不意を突かれたファラスに爪を立てて飛びかかろうとしていた。 ラザロ「危ない!」 ラザロはサブマシンガンをユリウスの腕に向けて撃ったが・・・、 ユリウス「ガァッ!」 ・・・外れた。 というか、避けられてしまった。 プラノズ『2人に構うな。こっちへ来い。ユリウス。』 ユリウス「ガルルッ・・・、ガァッ!」 ラザロ「ぐぉっ!?」 ユリウスはラザロのお腹に膝蹴りを咬まして、木に飛び乗り、猛スピードで森を駆けて行き、消えた。 ファラス「大丈夫か?」 ラザロ「ゲホッ、ゲホゲホッ・・・、・・・ど、どうにか無事。でも・・・、・・・見失った・・・。」 ファラス「ライディスに続いて、ユリウスが暴走か・・・。何か、嫌な何かがある気がする・・・。」 ―プラノズの洞窟― ユリウスがその洞窟へ入って行く・・・。 ユリウス「ガァァッ、」 ユーリィ「ライディスに続いてユリウスも。フフッ、」 ユリウス「ガルルル・・・、プラノズ様・・・、」 ライディス「ハワード兄弟・・・、ただいま戻りました・・・。」 プラノズ「よくぞ戻った。2人とも。」 ライディス「・・・プラノズ様・・・、我ら兄弟に指示を・・・。」 ユリウス「力が有り余っていて仕方ありません。プラノズ様・・・。」 プラノズ「・・・良かろう・・・。どこかで好きに暴れて来い。」 ライディス&ユリウス「分かりました・・・。」 2人は洞窟から飛び出し、森の木々を渡って行った・・・。 ―翌日― ―ブルガリア共和国― ブルガリア共和国といえば、あの売店で売られている「ブルガリア・ヨーグルト」の産地であり、2007年にEUに加盟する予定となっている。 2006年現在では、ヨーロッパ25カ国がEUに加盟している。 だが、この世界でのブルガリアについて語ろう。 悪いことに、2006年現在、EUは「拡大疲労症候群」を起こしていた。 「拡大疲労症候群」とは、この場合、加盟受け入れに限界が来たということ。 2007年に、クロアチア、ルーマニア、ブルガリアの3国が加盟するはずだった。 しかし、EUに加盟申請をする国が次から次へと増えたり、労働者への賃金の配給率などが原因で、その3国の加盟申請は一時、却下されてしまった。 2012年にはアルバニア、マケドニアが加盟申請をした。 さらに、「後に続け」といわんばかりに、2016年にはセルビア、ボスニア、ウクライナまでもが続けて加盟申請を出した。 その直後、ブルガリアとルーマニアの賃金の制度が変わり、EUへの加盟申請を満たす条件が整った。 結局、2020年代に入り、徐々にではあるが、加盟申請を出した国々のEU参加が認められるようになり、2022年にはセルビア・モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェコビナ、アルバニア、ルーマニア、ブルガリアを含めた30カ国がEUに参加している。 他のマケドニア、トルコ、ウクライナ、クロアチアは未だに検討中である。 ここはブルガリアとセルビア・モンテネグロの国境沿い。 舞台となるのは、このブルガリア側の農村だ。 男性「やぁ、ニィナ。調子は?」 店の店主である男性は、黄緑色の髪をしている少女に言った。 ニィナ「ありがとう。お陰で良くなったわ。・・・薬草はある?」 店主「何だって?」 ニィナ「・・・ハーブとミントよ。」 店主「あぁ、ちょっと待ってろ・・・、・・・参ったなぁ・・・、」 ニィナ「どうしたの?」 店主「在庫が確かここら辺に・・・、あっ、あった!」 店主は店の奥からハーブとミントの入った箱を持ってきた。 店主「いやいや、すまん。やっと見つけたよ。」 ニィナ「じゃぁ・・・、」 ニィナという少女は、財布から2ユーロを出した。 店主「まいどありー。」 彼女の名前はニィナ・レミエス。 家は農家で、父親は畑仕事。母親は家事をし、その一人娘である彼女は、町で買い物をしている。 これがいつもの日課だ。 今日ニィナは、ミントとハーブがなくなり、町へ買出しに行っていた。 ニィナはその店から遠ざかり、道を歩いて行った。 ニィナは村から出、小高い丘を登り、一軒の家へ向かった。 その家が、ニィナの家族の住む家だ。 だが・・・、畑に人影がなく、踏み荒らされた跡があることにニィナは気付いた。 でも、とりあえず、家の中へ入った。 その直後に悲劇が降り掛かるも知らずに・・・。 ニィナ「ただいま。」 しかし、家の中は静まり返っている。 ・・・返事が無い。 ニィナ「・・・母さん?父さん?」 ニィナは台所へ行った。 しかし、そこには・・・、 ニィナ「父さん!!」 ニィナの父親だった・・・。 胸に大きな引っかき傷があり、刺したような傷が多数あり、・・・死んでいる。 片手にはショットガンを持っていた。 ニィナは咄嗟に、父の持っていたショットガンを手に取った。 台所の奥で、何か音がする・・・。 ズバァッ、 ・・・生々しい、嫌な音だった。 ニィナは、そっと隣の部屋を覗いた。すると・・・、 ライディス「ガァァァァッ、」 ユリウス「ガルルルッ、」 ニィナ「(な、何、あれは・・・!?)」 しかし、ニィナはあることに気がついた。 ニィナ「お、お母さん!!」 しかし、その声に気付いたライディスとユリウスは、ニィナに飛び掛った。 ニィナは必死で避け、台所から走ったが、2人はニィナを追う。 ニィナは裏口から家の外に出た。 だが、それを窓から見つけたライディスは、ニィナの背中に飛び掛った。 ニィナ「きゃぁっ、や、やめて・・・、」 ライディス「ガルルルッ、まだ満たされない・・・、」 次の瞬間・・・、 ズバァッ、 ライディスはニィナの背中を引っかいた。 しかも、その爪痕は半端ではなかった。 ニィナの背中には、長さが15cmはあろうかという細い傷が3つあり、それが斜めに走っていた。 その上、さらに背中を引っかく ニィナ「い、痛い・・・、痛いよ・・・、いやぁぁ・・・、やめて・・・、」 ニィナは痛みのあまり泣き出した。 そして、ライディスは右手を振り上げ、ニィナにトドメを刺そうとした。 だが・・・、 プラノズ『ライディス、ユリウス。もういい・・・、・・・やめろ。』 そのプラノズの声がライディスとユリウスに聞こえた瞬間、ライディスはニィナに振り下ろそうとした爪を地面に置いた。 ニィナ「・・・!?」 ニィナはその事に驚いていた。 その直後、彼女が見たのは、逃げていく2人の姿だった。 それを最後に、彼女は気を失った・・・。 ―数分後― 店主「払う金額を間違えていたな・・・。あれは2ユーロでいいのに、何故か3ユーロもあった。か・・・。」 しかし、店主はすぐに異常に気がついた。 ニィナが倒れていたのだ。 店主「お、おい!?ニィナ!!何があった!?」 だが、ニィナは意識を失っている。 店主「なんて傷跡だ・・・。すぐに医者を呼ばないと・・・、」 店主は慌てて村に戻り、村にいる医者を連れてきた。 その直後に警察が来た。 医者がニィナを発見して応急処置をする以前に、ニィナの両親は残念ながら死んでいた。 医者「出血が酷い・・・、誰か!救急車を!」 店主「だが、この村から近くの町まで、往復1時間は掛かるぞ?」 医者「それなら・・・、誰か!車を貸してくれ!」 医者にとって、患者の命を救うとなると、1分、1秒を争う。 その1分や1秒が患者の生死に繋がるからだ。 男性「わかった。すぐに車を用意する。」 医者「担架を!」 ―5分後― 男性は車を用意してきた。 そして、医者はニィナを担架に乗せ、車に乗った。 医者「酷い傷だ・・・、・・・だが、悪化もしていない・・・?」 男性「何か変なことなのか?」 医者「普通、数分何もせずに置いておくと、細菌などが傷から侵入してきて、傷を悪化させる。 だが、悪化していないとなると・・・、・・・ニィナにこんな免疫力は無いはずだ・・・。」 ―30分後― ―ブルガリアの首都ソフィア― ニィナはソフィアの中央病院に運ばれた。 医師1「急げ!早く、手術室へ!」 医師2「酷い傷だ・・・。出血は・・・、・・・収まっている!?」 医師3「だが、失血があるはずだ。消毒薬も!」 ニィナは手術室へと運ばれた。 そして、緊急手術が始まった。 だが、ニィナの傷の治療をやっている時に、医師はその傷の回復力に驚く。 なんと、長さは最低でも15cmはあった3つの爪痕が、その5分の1の大きさになっていたのだ。 ニィナは意識を取り戻した。 看護婦1「患者が意識を取り戻しました!」 医師2「・・・気がついたか・・・、大丈夫だ・・・、少ししみるぞ・・・、」 ドクターはニィナの背中の傷跡に、消毒薬を塗った。 ニィナは苦しくて叫び声をあげる。 だが・・・、 ニィナ「(どうして・・・、こんなことに・・・、・・・体が・・・、何か・・・変・・・。)」 プラノズ『獣化が始まったな・・・。』 ニィナ「(誰?・・・誰なの?)」 プラノズ『私の名前はプラノズだ。』 ニィナ「(「獣化」って何なの・・・!?)」 プラノズ『フフフッ、じきにわかる。さぁ・・・、思う存分暴れるがいい!』 ニィナ「うぅぅぅぅ・・・っ、」 ニィナの耳の形が、徐々に変化していく。 看護婦2「・・・ドクター!」 その変化に気付いた看護婦。 そして、変化していくニィナの姿を見る医師たち。 ニィナの手の形も変化し始めた。 医師1「どうなっているんだ・・・!?」 ・・・ズバァッ、 手術室の窓に赤い血痕が飛んだ・・・。 ニィナ「うぅぅぅぅっ、」 プラノズ『さぁ、いいぞ・・・、力を解放するがいい。』 ニィナ「うぅぅぅぅっ、うあぁぁぁぁっ、」 医師3「マズイッ、逃げrぐあぁぁっ!」 今のニィナの姿は、手は翼に変化し、耳も羽のように変化していた。 髪も獣化する前よりも伸びていた。目は赤く、暴走している。 ニィナは獣化し、手術を行おうとした医師たちを、翼に変化した手で引き裂いた。 プラノズ『それでいい・・・。さぁ、私のもとへと来るのだ・・・。』 バリーンッ、 そして、ニィナは手術室の窓を突き破って、飛んで行ってしまった・・・。 ―ファラスの家― カイン「せっかく直したのになぁ・・・。」 ファラス「すまない。ユリウスを止められなかった・・・。」 ラルド「お前が謝ることではない。どっちみち、この壁には穴が開いていたはずだ。」 ウラン「ユリウスたち・・・どこへ行っちゃったんだろう・・・。」 カイン「ウラン!?お前、動けるようになったのか?」 ウラン「うん。ラルドのお陰で。」 ラルド「・・・すまないが、寝かせてもらう。」 カイン「あぁ・・・、わかったよ。」 ミラル「でも、ライディスくんに続いてユリウスくんも・・・。」 ファラス「あぁ・・・。」 セラ「・・・確かに何か引っ掛かりますよね・・・。」 ・・・皆、ユリウスとライディスが突き破っていった壁から見える夕日を見ながら言った。 一方、ニィナは、プラノズのいる洞窟の中へ入って行った・・・。 ニィナ「プラノズ様・・・、ニィナ・レミエス到着しました。」 ライディス「君は・・・、さっきの・・・、」 ユーリィ「よく来たわね。ニィナ・・・。」 ユリウス「だけど・・・、どうして・・・、」 プラノズ「ニィナにも、どうやらお前達(ライディス達)のような能力が備わったようだな・・・。」 ユーリィ「でも、彼女の力は、もしかしたら、あなた達単体での戦闘力より上かもしれないわね。」 ユリウス「どうしてそう言える?」 ユーリィ「その証拠に、ライディスが彼女につけた傷跡は綺麗に消えているわ。」 ニィナ「・・・でも、服は血まみれでボロボロ・・・。」 プラノズ「・・・それならば、新しい服をやろう。」 プラノズはさっと手を振ると・・・、あっという間に、ニィナの服装を変えた。 ニィナの服は、ライディスたちと同じような服になっていた。 プラノズ「もう過去の自分は捨てろ、ニィナ。お前はもう「猛鳥」なのだから・・・。」 ニィナ「えぇ・・・、分かりました。プラノズ様・・・。」 プラノズ「・・・さぁ、「あの時」まであと少しだ。それまで待とう・・・。」 「あの時」とは一体何なのか・・・。 その謎はいずれ明らかとなる。 第19話へと続く ※この話はフィクションです。実際の、国名、団体、都市などには関係ありません。 |


