「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ヴァティカン博物館(前編)
ローマ訪問は今回で3度目で1度目2度目を使って博物館はたっぷり時間を取って観ていたこと、
「ボルジアのアッパルタメント」のピントゥリッキオ作のボルジア一家の絵が
布で覆われてコンテンポラリーアートの展示室になってしまっていること、
何より今回ヴァティカン、というよりローマを訪れた目的が前回サンピエトロ大聖堂に入ろうとしたら
信者のためのミサがあるから一般客は入れないと言われてピエタ像や聖ロンギヌス像との再会が叶わずひどく落胆し
必ずここに戻ってきて次こそは大聖堂に入ると誓ったことであったから。
それに足腰が言うことを聞くうちにミケランジェロのクーポラに上りたいという思いが強かった。
そういうわけでたっぷり半日はかかる博物館の方は入らないという選択肢もあったのである。
しかし日本でたまたま目にしたニュースのおかげでやはり駆け足でも博物館の方も行こうということになった。
そのニュースというのは・・・
システィーナ礼拝堂は1982年から1994年の修復の結果見事に天井画や壁画が蘇ったが
早くもまた傷み始めているらしい。
連日大量の見物客が訪れて予想以上に汚れが付着しているという。
今のまま公開を続けていたら取り返しのつかないことになるという意見もあるとのこと。
こうなってはいつ公開の中止や極端な制限が実施されるかわからないのがイタリアである。
入場料さえ払えば自由に観られる今のうちに観ておこうとなるのは当然の成り行きであった。
しかもここには私が幼少の頃から心奪われ続けている「ラオコーン像」もあるのだから。
前置きが長くなってしまった。
いかにも観光客向けのバールでピッツェッタ(切り分けたピッツァ)とフレンチフライポテト、ソフトドリンクで7ユーロのセットを頼み(観光客向けにしては良心的な値段)
クーポラ登りで空いたお腹を満たし(味は求めてはいけない)博物館の入館の列に並んだ。
長蛇の列。「お昼まわったらはけてるんじゃないか」という淡い期待は夢と散った。
城壁沿いに並んでいるのでさらに進んで左に曲がらないと入り口が見えない。
ここにこんなに行列が出来てるのは見たことがないが今まで来たのは1月10日前後だったのでもうみんなヴァカンスも終わり
閑散期に入っていたからさほど並ばずに入れたのだろう。
列に並んでいると「自称ガイド」の人達が声をかけてくる。
「並ばなくて済むよ」「しかもガイドつきだよ」と呼び込みをしているのだが料金が40~45ユーロ。
博物館の入場料は15ユーロ、日本語もあるオーディオガイドが7~8ユーロで借りられる上
公式ガイドツアー(日本語の対応あり)もありそれは入館料込みで27ユーロ。
どう考えてもぼったくりだが並ばずに入るにはそれなりのコネが必要なはず。
あの非公式ガイドたちは博物館の職員にコネを持っていて融通を利かせてもらっているに違いない。
これも繁忙期ならではの光景かと興味深く見ていた。
並ぶこと約1時間、ようやく入館。
昔はダメだったけど今は入場料の支払いにクレジットカードが使えます。
2年ぶりに博物館を訪れて一番驚いたのは順路らしきものがなくなっていること。
以前ならエジプト博物館から順に観て一方通行だから戻るなと言われていたのだがいきなり「ピーニャの中庭」に出る。
以前は古代彫刻を一通り見てから出ていたところ。
ピーニャとは松ぼっくりのことで中央に見えるのがそれ。
今までここに来たときはずっと雨だったがこの日は本当に快晴。
緑のある広い中庭は気持ちがいい。
少し散策してから建物内に戻りエジプト博物館は横目で流しながら見ていく。
もったいないがそうしないと時間がいくらあっても足りないしエジプトコレクションは前回、前々回とかなりじっくり観たので今回は軽くで。
キアラモンティ美術館も所々立ち止まって知ってる皇帝に「どうも」と声をかけつつ歩いて通る。
塩野七生氏の著書を通じて「知り合いのおじさん」になった皇帝がたくさん。
新回廊(ブラッチョ・ヌオーヴォ)まで行くと帝国の礎を築いた有名人が登場。
初代皇帝アウグストゥス。
ローマといえばこの人、ユリウス・カエサル。
派手な女性関係でも有名であったカエサルが兵士たちの前に姿を現すと
彼らは「ローマ市民よ、女房を隠せ!禿の女たらしがやって来た!」と堂々と叫んだという。
時の権力者に向かって何ごとかと思われるかもしれないがローマの人々はそれだけカエサルを慕っていたのであり
またカエサルの方も「何だとこの」ぐらいは言ったかもしれないが市民の自分への親しみの気持ちはわかっていた。
エトルスコ美術館も非常に面白いのだが今回は時間の関係でカット。
まっすぐピオ・クレメンティーノ美術館に向かう。
長くなったのでここで小休止。次に続きます。
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