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伊坂幸太郎



★ストーリー★
学生というのは「近視眼型」と「鳥瞰型」に分けられるそうだ。

仙台の大学に進学した僕が、同級生の鳥井からそう言われた。
「北村はどうせ鳥瞰型だろ」

大学生活には期待していない。淡々と授業に出て、きっちり4年で卒業し、いずれは田舎の岩手で公務員として働きたいと思っている。友人も少しはできるだろうが、それほど刺激的な日々ではないだろう。
そんなふうに想像していた。あいつらに出会うまでは__

絶世の美女だがつかみどころのない「東堂」
「平和」で上がることが遠く離れた戦場の平和のためだと語る「西嶋」
4年に一度は車を飛ばす能力を持つ「南」
そして僕「北村」
麻雀しようと誘ってくれた鳥井。僕が「北」村だからだという理由で。

春夏秋冬、僕たちの生活。青春と呼ぶには苦く、こそばゆい、たくさんの思い出。



伊坂作品。
もちろん自分の好みなんだけど、5本の指には入る好きな作品。
(ほかは「アヒルと鴨~」「重力ピエロ」「魔王」「死神の精度」らへん)
言葉のひとつひとつが、砂漠に降る雨水のように、
わたしの心にしみ込んでくる。
「冬」そして別れの「春」ここらへんはたまらない。
泣くほどではなかったけれど、とても感動した。
うまいよなあ。

そして、西嶋はずーっとわたしの中でサンボの山口君だった。



『グラスホッパー』角川書店刊

★ストーリー★
「人は誰でも、死にたがっている」
「世界は絶望と悲惨に塗れている」
でも僕は戦おうと思うんだ。
君との記憶だけを武器にして―待望の書き下ろし長編。
第132回 直木賞候補作。

妻を理不尽に殺され、その復讐を誓う「鈴木」。
女子供も躊躇なく、一切の無駄もなく、やってのける、
ただし愚痴の多い殺し屋__「蝉」。
巨体。依頼を受けると、対象者を確実に自殺に追いやる「鯨」。
ひっそりと、影のように、車道へとターゲットを押しやる「押し屋」。

そんな「主人公」たちが、《令嬢》という
インモラルな組織を中心に交差していく。

こういう構成の仕方は、伊坂氏のお家芸というか、
「いつもの感じ」なのだけれど。
今作品は、『アヒルと鴨のコインロッカー』とか
『陽気なギャングが地球を回す』とか
『ラッシュ・ライフ』なんかに比べると
軽妙なセリフたちも、
キレが不足しているように思う。

「蝉」が一番人間らしく、魅力的に感じた。
「鈴木」はヘタレ過ぎて、好きになれないし。

ところで。
なんだか、「死人」が多過ぎる。
そういうストーリーは気が重いし、
カラっとした軽さが全体を通して感じられるんだけれど、
内容としては、「悪意」や「諦観」や「暴力」や
そんなマイナスのエネルギーに満ち満ちていて。

痛みの残る作品。

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