切願症


斬った。

大丈夫
まだ痛みを感じることが出来る。
それでも
独りぼっちだと呟いて
斬った。

桃色のカミソリを持ち
何も聞こえない
何も要らない
只、欲しいのは
痛みだけ

誰にも気付かれないように斬った左腕は
何も答えては呉れないけれど
救いのない世界より
救いが在る気がして

たった2本の浅い傷は
何も教えては呉れないけれど
独りぼっちのこの世界から抜け出せる気がして

でもね
何も変わらないの。
底に在る心の痛みは
独りぼっちだと泣く心は
何も変わらないの。

それでも私は斬った。
救いを求めるかのように

独りぼっちだと確かめるかのように

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