柘榴
もう僕を見ることは無い
白い病室で
全てを放棄した貴方は
以前よりは少し救われたように見えた
窓から見える柘榴の木
貴方はしきりに手にしたいと願っていた
まるで子供のように無邪気に生きた
最期のとき
白い病室
部屋から見える柘榴
赤い実
現実は余りに残酷すぎて
貴方はそれに耐えることが出来なかった
貴方が居ない 今とこれからを
僕はどう過ごしたらいい？
正気の頃の貴方は
いつでも冷たい目をしていた
貴方のこころは
無意識にも
自らのこころを壊して
自らを守っていたね
僕には解っているから
気が違うことの出来なかった僕と
気が違うことで生きた貴方
貴方の瞳はもう僕を見ない
窓から見える柘榴の木
赤い果実を手にすることなく散った
愛しき貴方
貴方は知っていた？
貴方の欲しがっていた果実
「子孫の守護」
貴方の残したこの子を貴方に重ねては
柘榴を与える
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