睡蓮



「別れては生きていけない」

貴方は僕を殺すまいとしていた

貴方は僕を壊すまいとしていた

そうして貴方は自分自身を殺していった

愛していたのに

あんなに愛していたのに

どうして僕は貴方を殺すことしかできなかった?


人形の様な目をして

抱きしめても何処か遠くを視ていた

どうしてどうしてどうして?

貴方を守ると誓ったのに

一生貴方を守ると誓ったのに

貴方は壊れていった

貴方の腕の傷は増えていくばかりだった

僕は貴方を守れなかった

此れは僕の罪

重い重い罪

「ごめんね」

泣き叫んだ声も貴方にはもう届かない

「自分自身を殺すのはもう厭なの」

そう云っていた貴方は

もう此処には居ない

誰より感じやすい心を持っていた貴方

ごめんね

僕を赦して

貴方を守れなかった僕を赦して

今でも愛しくて愛しくて仕方がないのに

痩せてしまった貴方は

もう僕を視ない_

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