放浪の達人ブログ

宿題



夏休みといえば子供にとって最もウキウキの40日間である。
そして親にとっては長くツラい40日間だ。
ガキというのは夏休みにはどこかに連れて行ってもらって当然と思っており
家庭の財政事情は全く考えていない。
出校日にクラスの子がどこかに家族旅行に行ったと聞けば
これはうちの親にも尾ひれ背ひれを付けて報告し
我が家もどこかに旅行せねばならない、そんな考えが浮かぶのである。

ガキにとって2学期の始業日におみやげをクラスのみんなに回し、
みんなの羨む姿を見るというのが1番の誇りなのである。
いや、誇りというにはキレイ過ぎる。
我が家はクラスの中で最も恵まれており、時間もカネもふんだんに使って
旅行を楽しめるほどに裕福なのだから、そんなワタクシに服従し仕えなさいという、
政治家のように醜い覇権争いに近いものがあるのだ。
おみやげを配る時にもチョイとした精神的なかけ引きが存在する。
「どーだ!こんな所に行って来たぞ!」と威張り過ぎてはいけないのである。
あくまでもサラリと言ってのけねばならない。
威張り過ぎたら「我が家には滅多にやって来ない一生に一度のビッグイベント」
というのがバレてしまうからである。
おみやげを貰う側もネタミや敗北感、挫折感、時には軽い殺意を心の奥にしまい込み、
あくまでも「え~、いいなあ~」と笑顔である。

親の方も子供の頃にその「おみやげバラ撒き票獲り合戦」を少なからず体験した事があるので、
うちの子にはあんまり惨めな思いをさせたくないという思いがある。
観光地から帰る時はおみやげご購入タイムとなるのだが、
その時家族の思惑は見事に一致するのである。
安いわりにパッケージがいい、安いわりに量が多い、安いわりに・・・と
コストパフォーマンスの良い物を一家でケモノのように探すのだ。

ちなみに一家4人で東京ディズニーランド(本当は千葉だけどな!)に1泊で行った場合、
交通費、ガソリン代、ホテル代、食費、入場料、おみやげ代など
全て含めて使う金額は20~30万円が相場という。
お母さんのパート代が時給¥700として、300時間分が一瞬で消えて飛ぶのである。

で、キミたち、今月号で俺の書きたいのはそんな事ではないのだよ。
もう1回このエッセイのタイトルに戻って読んでほしい。何て書いてある?
宿題だよ、しゅくだい。
今年もまたお母さんの「何でもっと早くやらなかったの!」という雷に打たれるのか?
子供は勉強が仕事じゃい。泣きながら徹夜でやれ!ざまーみろっ!

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