放浪の達人ブログ

実家の売却



碧南市に独りで住む親父が大阪の姉と同居することになった。
86歳の独り暮らしは何かと不便ということでの判断である。
ということで築100年以上の平屋の古民家を解体することになった。
土地の買い手はすぐに決まり、建売住宅3軒と道路が出来るらしい。
売却で得たお金は後々あちらで入るかもしれない介護施設の費用だとか
姉に苦労をかけさせてしまうので生活費として親父が大阪に持って行く。

1年半前に長い介護生活の末に他界した母の全遺産は353円。
母が自分で貯めておいた貯蓄は介護費用できれいに消え失せた。
介護費用は症状が重くなる度に高くなり、母の場合は月20万円の出費だった。
年間約250万円、4年で1000万円。健康であれば残るはずの金額だ。
健康=お金というのを実感した出費だった。

親父も母も生命保険には加入していないので死んでもお金は入らない。
親の遺産は最初から当てにしていないからお金のことはどうでもいいのだが
問題は解体する実家の片付け作業である。
料亭だった屋敷を戦後まもなく買い取っただけあってデカいのだ。
離れ座敷と蔵があって膨大なガラクタが残っているのである。
料亭時代のお膳や食器類は2階建ての蔵の中にどっさりとあって
庭まで運び出して処分した量はトラック5台分+軽バン10台以上あった。
碧南市の処分場には俺と妹達で何度も往復したのだが
処分業者の見積もりと比べたらそれだけで100万円は費用が浮いた。

さすがに庭の石灯篭や大きな庭石数十個は自分達での処分は無理だし
十数本ある松などの庭木もショベルカーで掘り起こしての処分だ。
専門業者にやってもらうのだが庭の整地だけで数百万の出費である。
後から請求される土地売却税みたいな税金も高額だろう。
世の中には資産として土地を買っておく人達もいるようだが
売却時の諸費用を考慮しているんだろうかと疑問に思う。

母の着ていた服を大きなビニール袋3つ、リサイクル店に持って行ったら
「はい、全部で40円です」往復のガソリン代で赤字である。
蔵の中に段ボール20個分のお歳暮の固形石鹸が出てきた。
ミツワ、バスボン、エメロン、牛乳石鹸、ルビアン、オリーブなどなど。
実家の片付けで出て来た物、つまりこれが資産というか遺産だろうか。
まさに「泡と消える」遺産だ。
高齢読者の皆さん、身の回りの物は今のうちに処分しておいて
子供達に片付けの迷惑をかけさせないようにしといた方がええぞ。

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