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脳脊髄液減少症:画像判定導入から1年 診断、治療法の向上模索
http://mainichi.jp/select/news/20121119mog00m040003000c.html
激しい頭痛を引き起こす脳脊髄(せきずい)液減少症を巡り、「髄液の漏れ」を画像で判定する診断基準を、国の研究班がまとめてから1年。研究班は「髄液は漏れる。交通事故による発症もまれではない」と結論付けたが、研究は終わったわけではない。より確実な診断と治療の方法を追究しようと、議論は続いている。【渡辺暖】
「脳と脊髄の周りを循環する脳脊髄液が硬膜から漏れる」のが、この病気の基本的なメカニズムだ。運動や交通事故などの衝撃が原因になるが、原因に思い当たらないで発症する人もいる。典型的な症状は「頭を上げていると頭痛がひどくなり、横になっているとよくなる」(起立性頭痛)。これは発症から時間が経過すると明瞭でなくなることもある。吐き気、背中の痛み、めまい、耳鳴りなど多様な症状を伴うことが少なくない。
数年前から「多くの患者が見逃されてきた」と注目されてきたが、「硬膜は硬く、髄液が漏れるわけがない」と考える医師が整形外科を中心に多かった。診断基準も、国際頭痛学会(04年)▽日本脳神経外傷学会作業部会(07年)▽日本の専門家たちの「 脳脊髄液減少症 研究会」(07年)--による3種類があり、混乱してきた。
07年度にスタートした国の研究班には、脳神経外科、整形外科、神経内科、放射線科などの専門家が参加。研究班は、脳と脊髄のMRI(磁気共鳴画像化装置)、「CTミエログラフィー」と「脳槽シンチグラフィー」を使い、どんな画像が映れば「確実に漏れている」「漏れの疑いがある」といえるかの基準を作った。この診断基準は、関係する日本の学会に承認され、昨年10月にあった日本脳神経外科学会で発表された。
そして10月17日にあった今年の同学会でもシンポジウムのテーマとなり、6人が発表した。
まず研究班の事務局を務める山形大の佐藤慎哉教授が、議論が分かれている脳槽シンチグラフィーの使い方を今後も検討していくことや、治療法「ブラッドパッチ」の安全性と有効性を研究していくことを紹介した。
最も豊富な治療経験をもつ篠永正道・国際医療福祉大熱海病院教授は、自身の患者57人がそれぞれの基準にどれだけ当てはまるかを調べ、発表した。
結果は、(1)国際頭痛学会2%(2)日本脳神経外傷学会10%(3) 脳脊髄液減少症 研究会52%(4)国の研究班30%--だったといい、大きな開きがあった。また、国際頭痛学会の主要なメンバーが昨年4月に公表した国際頭痛学会の基準の改定案には、50%が合致したとした。
この他の発表者からは、「研究班の基準に合致しなくてもブラッドパッチの効果がある患者はいる。多くの患者をいかにして救済するかが課題だ」などの声があった。新たな画像診断法を提案する意見も続いた。
この疾患に関するセッションでは、国際頭痛学会の基準に当てはまる患者が日本で年間に5000人前後発症していると推計されることや、小児例の特徴や脳内出血を合併した症例が紹介された。さらに、新たな診断基準も提唱された。
セッションの司会を務め、研究班の班員である喜多村孝幸・日本医科大准教授は、研究の現状について、「研究班の診断基準がまとまったことを受けて、今春、ブラッドパッチが先進医療に認められたことは大きな前進だ」と解説する。そして「国の研究班の診断基準は、典型例を確実に診断するためのもの。この基準に合致しない症例が存在することが数多く報告されている。典型例でない人の診断には、今後も十分な研究が必要だ」と語る。
今月16日にあった日本頭痛学会でも、 脳脊髄液減少症 はシンポジウムのテーマの一つとなった。
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