「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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はらぺこぐんだん2~殴りBISの破砕日記~
10章
10章
【信じる心】
《シュトラセト》
「やはり納得がいかないな・・・」
そう呟きながら1人のシーフが
フィッシュ&エッグという店の前で佇(たたず)んでいる
そんな彼に、店から出てきた女性が声を掛ける
「浮かない顔ね、蒼炎」
艶やかな緑色の髪を控えめに掻き揚げながら
女性はシーフに歩み寄る
「芽羅さ・・・緑魔さん」
蒼炎は彼女の本名を呼びそうになったが
以前、ゲーム内では緑魔と呼ぶように言われていたので
慌てて訂正した
「僕はやはりジグが敵になったとは思えません
彼は作られたデータではありますが
高性能な人口知能を持ったほぼ人間に近い存在ですし・・・
何より彼の事は僕が一番知っています」
蒼炎は記憶を探るようにしながらそう言う
「・・・そうね、私もそう信じたいわ」
蒼炎とジグが互いに手を取り合い
RSN(レッドストーンネクスト)を作り上げてきた事を
近くでいつも見ていた緑魔にはよく解っていた
また彼女自身もジグの事を信用していた為
蒼炎と同じく今回の事には納得がいっていなかった
「よし、決めたよ緑魔さん、僕は彼を探し出して
直接話を聞くことにするよ。場合によっては
僕が自らの手で・・・他のEMには任せられない」
間髪入れずに緑魔は頷きながら言う
「ええ、私もそのつもりだったわ
私も蒼炎に付いて行くわ」
そして軽く蒼炎にウィンクをする
「・・・いつもありがとうございます」
【仕事上のつきあい】という言葉があるが
彼らには、それ以上の何か、結びつきがあった
EM蒼炎・EM緑魔共に24歳と同年代だが
蒼炎にとっては親しみの湧く頼れる姉
緑魔にとってはかけがえのない弟
それに近い感情が芽生えていた
そして蒼炎・緑魔の2人は
ジグの事もそれと似通った程に信用している
仕事の関係者・・・でもなく
只のデータ・・・としてもなく
彼らの間には、分け隔てない信頼が存在していた
表向きには裏切ったように思われるジグの行動
その真意を問うべく
2人は動き出そうとしていた
_____________________
____________
______
《荒廃都市ダメル》
【メカレオン】のアジトから出たジグ一行は
今後どうするかを決めるべく
人が少なく、身を隠しやすい荒廃都市ダメルに来ていた
皆さんの中には
人が多いほうが紛れ込み易いと思われる方も居ると思うが
このゲームには
巡回NPC
がMAPを監視しており
EMと直結ではないもののゲーム内を警備するNPCである為
この巡回NPCに見つかってしまうとその情報もEMにリークされてしまう
その巡回NPCは人の多い所ほど多く配置されている為
ジグ達はそれを避けるように人口の少ないダメルへと来たという訳だ
荒廃都市とはよく言ったもので
その名の通り、そこかしこに倒壊した家や
今にも崩れそうな家が点在している
そのうちの1件に一行は潜り込んだ
「ふぅ・・・ここなら幾分かは安全かな?」
「そうであるな、今思えばよくアリアンを
私達は平然と歩けていたものだ」
何故か必要以上にジグに近寄りながら
紅覇はそういってため息を吐く
(最初に会ったときから思ってたけど
紅覇ってキャラがブレてるな・・・)
最初もそうだったが
自分の事を【拙者】と言ったり【我輩】と言ったり
言葉の最後に【~であるな】とか【~じゃな】等と付けたりしている
(本人の好きなのでそこは気にしなくていいか・・・)
そんな事を考えながら
僕は気が付いたら紅覇の顔を凝視していたようで
「ん、どうしたのだ?」
と、紅覇に至近距離で言われ
「あっ、いや、はは・・・」
僕は顔が熱くなるのを感じながら笑ってごまかした
「えーっと、そろそろいいかな?」
向かいに座っていたクランツが
少し苦笑いしながら僕達を促す
「う、うん」
僕が少し慌てたように返事をすると
クランツは真面目な顔になる
「さて、とりあえずジグの事はなんとなくだけど
把握しつつあるね。今までの経緯からすると
多分僕らの元に定期的に刺客が来ると思うんだ」
「そうだな、この間はEMなんちゃらが来たが
次はアレより強いのが差し向けられると思って良いだろう」
紅覇は相槌をうちながら腕を組む
「Lv888の僕ならまだしも、2人は辛いかもしれませんね・・・」
2人のレベルは今のところ
紅覇がLv342
クランツがLv136である
能力を付け加えて考えた場合、紅覇はなんとかなりそうだが
クランツは正直足手まといになるレベルであると言える
「そう、だから俺と紅覇はとりあえず
強くなることを優先したいんだが、ジグはどう思う?」
「僕もそう思っていた所です」
僕の返事に
クランツは頷きながら僕の顔を見てくる
「他力本願になってしまうけどさ
レベル上げをジグに手伝って欲しいんだ」
申し訳なさそうな顔をしながら
クランツはそう言って頼み込むように手を合わせる
「もちろんだよ、僕たち仲間なんだから」
それを聞いて2人は笑顔になる
「ん~!さぁ~て、忙しくなるぞ~!」
クランツは伸びをしながら
少し嬉しそうにそう言う
「ジグが居れば安心だな!」
そういって紅覇が僕の腕に抱きついてくる
「く、紅覇さん・・・くっつきすぎ・・・」
_____
_____
_____
こうして僕らの絆はまた少し強くなった
そして
これから僕らは心も体(キャラクター)も強くなる為
ダンジョン攻略へと歩みを進める
~10章完~
続きは→
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