つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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はじめての『次郎物語』




第一部は「教育と母性愛」をテーマにしている。三人兄弟の真ん中に生まれた本田次郎は幼い頃から乳母のお浜に育てられ、実家に戻ってからもしばしば母親のお民や祖母から自分が不公平に扱われている、もっと有体に言えば愛されていない、と感じていた。

やがて本田の家が傾くとともに、次郎は養子に出されるようにお民の実家、正木の家にご厄介になる。手狭な新家で祖母と角つきあわせるよりはその方が教育上よろしかろう、という周囲の配慮でもあった。

次郎がお民と和解したのは、第一部の終わり近くなってからである。結核を患ったお民は、孫(長男の恭一と三男の俊三)に病気が感染するのをおそれた祖母のはからいによって、その死まで実家での日々を過ごすことになった。

お民「子供って、ただ可愛がりさえすればいいのね」

いよいよ母子の永遠の別れのシーンでは涙したような気がするが、はっきり覚えていない。ただその頃の自分は愛されなかった子供としての次郎、つまりは「被害者」としての次郎にかなり同情的だったのではないだろうかと思う。 自分の境遇に重ね合わせて読んでいたのである。


それが、どうして朝倉先生登場の場面で挫折したのか?

おそらく、当時の自分には朝倉先生があまりにも「期待される教師像」に近すぎて、本当のこととは思えなかったのだと思う。うそ臭く感じてしまったのだと思う。…


今回、当時の年齢の倍以上の年になって初めて、『次郎物語』を読了した。
まだ通して一読しただけでもあるので、感想はそのつど違ってくるかもしれないが、ただ日記に書き付けてそれで終わりにしてしまうのは自分にとってもったいない。気がついたことや感想などを、あとで検索などしなくてすむように、またいつでも書き足せるように、覚書のような形で記録しておきたい。



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