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異次元からの侵入者が、腹話術師の人形「クルコちゃん」を媒介にして、この世の支配をもくろんだ。男たちは次々と彼女の支配下に置かれ、腹話術師はなすすべもなく追い込まれていくが…『声の網』よりもハッピー・エンドの分だけ、この長編の方が好きである。【中古】 夢魔の標的 / 星新一
2014.08.05
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新井素子さんイチオシの連作短編集。ということで図書館から借りて手にしてみたのだが、感想はううむ、というところ。確かに作品としての完成度は星さんの長編の中では一番高いと思うのだが、世界中に張り巡らされたコンピュータが人間社会の神になるという話はシニカルすぎてついてゆけない。アシモフでもここまで書かなかったし、ハインラインなら構想の段階で唾棄するだろう。まあ小説の好みは人それぞれだから、とお茶を濁して筆を擱く。声の網 角川文庫 / 星新一 ホシシンイチ 【文庫】Voice Net(声の網 英語版)-【電子書籍】
2014.08.03
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普通に分類すれば、ミステリーか犯罪小説ということになるのでしょうが、そこは星新一節。一応、仏像盗難事件とか、株券詐欺とか、にせ仏像造りとか、犯罪めいた出来事があるのですが、当事者四人の男女二組がだれも被害に遭わず、しまいには気まぐれにも結婚までしちゃうというお話。短編の名手が一人でつなぎ合わせたリレー小説といった趣もあり、あちこちにちりばめられたシニカルなアフォリズムが魅力でもあり。警察が前面に登場しないどころか、まったく出てこないミステリー。星さんにしては登場人物に固有名詞が出てきたり、赤電話とか小道具が多少古めかしくて時代を感じさせますが、今読んでも十分に楽しめるドタバタ喜劇であることは保証いたします。10500円以上お買い上げで送料無料【中古】afb_【単品】_気まぐれ指数 (新潮文庫) 新一 星
2014.07.18
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星新一のショートショートはほとんど読んだ。しかしこうしてあらためて編纂されたものをみると、ううむと唸ってしまう。お洒落で、ドタバタで、ブラックで、ニヤリとさせられ、シニカルで、ペーソスがあり、エスプリがあり、ユーモアがあり、アイロニーがあり。「殿さまの日」なんかはいかにもお勉強しましたという感じの「時代小説」だが、星新一にしか書けないルポでもある。「ボッコちゃん」はじめ星新一の代表作が載っていて、入門書としては大部ながら結構いいのではないか。何より編者の新井素子さんのエッセイと、「星くずのかご」が読めるのがお薦め。もっとも「ある夜の物語」など大好きな話が載っていないのは少々不満だが、致し方なかろう。そんなら自分でアンソロジーを組めばいいのだ。宿題。『星新一 1001話をつくった人』最相葉月『気まぐれ指数』『声の網』『夢魔の標的』『人民は弱し 官吏は強し』『祖父・小金井良精の記』『明治・父・アメリカ』『天国からの道』『ふしぎな夢』『きまぐれ星のメモ』『きまぐれ博物誌』『きまぐれ体験紀行』【中古】 ほしのはじまり 決定版 星新一ショートショート /星新一【著】,新井素子【編】 【中古】afb
2014.07.09
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これもブックオフで単価80円でまとめ買いしたうちの1冊。星さんのフィクションはすべて読破したつもりでいたが、ジュブナイル・ファンタジーがあるとは知らなかった。体裁は一応長編小説だが、長さ的には中編であり、オムニバス形式だから実際は短編小説の積み重ねと言っていい。『不思議の国のアリス』を連想させる冒頭から、主人公の少年は夢の国へと誘われる。お父さんの夢、病気の少年の夢、子どもを交通事故で亡くした母親の夢、人生に挫折した中年の夢、自殺を図った女性の夢…と他人の夢を転々とし、やっと現実の世界に戻ってくるというのが粗筋。個人的には、いろんな理想的なものを彫ってきて、完成させようとして挫折し、最後に道の穴をふさぐための石を刻んでいる老人の夢が好きだ。一隅を照らすとはまさにああいうことをいうのだろう。子どもがいないので処分本NO.216。【中古】 ブランコのむこうで (新潮文庫)
2012.03.16
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著者最後の短編集。そのせいか、構成がちょっと凝っている。<はじまりの神話>はラファティ風ほら話。<もしかしての物語>で語られる源義経、マルコ・ポーロ、豊臣秀頼異伝。ハーンがまとめ損なったような<お寺の昔話>。漱石を意識したような<夢20夜>。個人的には伝説だか民話だかわからない<ささやかれた物語>中の「海」が好み。あれは本当にタコだったのだろうか。1500円以上送料無料!通常24時間発送!【中古】【文庫】つねならぬ話 星新一
2010.05.03
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京都大学の山中教授に捧げたい表題作。『どんぐり民話館』に収めてもよさそうな「ひとつのドア」「想像のなか」「山の出来事」「ある古風な物語」「枕」「森での出来事」「男と王妃さま」。「海の老人」のパロディのような「救いの声」「木の下での修業」。しかし、アンソロジーに収録するなら「満開の季節」か。これからの出来事
2010.05.01
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わかったようなわからないような落ちの表題作を含め、民話的な話が多い。「親切」「お寺の伝説」「王さま」「小さなお堂」「出現」「双眼鏡」「音色」「さもないと」「来訪者たち」「領主の館」「青年とお城」「行事」など。個人的には「旅の人」が一番の傑作だと思う。 どんぐり民話館
2010.04.30
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落ちに二番底のあるお話が多い短編集。個人的には「はだかの王様」を大胆に裏返した「王さまの服」、「痣」を思わせる「夏の女」、「宇宙戦争」と「創世記」を繋ぐ「捕獲した生物」あたりが好み。凶夢など30
2010.04.28
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種もしかけもある手品集。ただし結果が思惑通りになるかどうかはお立会い、そんな本。「風と海」「レラン王」は、架空の歴史物語(種)として 興味深い。幽霊を見ない「異端」の社会的恐怖。あるいは本人が幽霊だったのかもしれない…。おもしろいのは他にもあるが、まぁこのあたりが傑作というところだろうか。 【中古】文庫 ありふれた手法【PC家電_146P10】
2010.04.26
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騙されたことに最後まで気がつかない「地球から来た男」。「改善」は手塚治虫の『ザ・クレーター』に似たような話が。「もてなし」の狂気。以上のほかにも、男が「騙された」というタイプのお話が多い(騙されるのはいつも男だ)のが本書の特長だが、「ある種の刺激」人体にツボがあるように、会社組織にもツボがあるという発想はおもしろい。実際、神社は日本国のツボかもしれぬ。集中一の傑作は「包み」だろう。案外作者の創作の源泉も、こんなところにあったのかもしれないと思った。地球から来た男改版
2010.04.20
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怪奇小説に始まり怪奇小説で終わる短編集。心霊・幽霊ものよりブラックユーモア的効果を狙ったオチの作品が多い。キレがあってこれぞ星新一の真骨頂という感じもするが、暗転するような結末ばかりで読後感は爽快さに欠く。わずかな救いは「やつらのボス」くらいだろうか。なるほど神様は人間のボス的存在ではある。…
2010.04.04
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星さんの本もたまに読むと新鮮だ。表題作はSFだが、収録されているのは怪奇・幻想・心霊的なものが多い。「頭痛」「親友のたのみ」「過去の人生」「めぐまれた人生」「会員になって」「雷鳴」「あの女」「ポケットのなかに」「問題の部屋」「メモ」「声が…」と大半がそうだ。もっともどこかしらユーモラスで、後味は必ずしも悪くないものが多い。個人的には、心霊等とは関係のない、会社人生を諷刺した「業務命令」や、読んだあとクスリと笑える「幸運な占い師」が好みである。1500円以上送料無料!通常24時間発送!【中古】【古本】【文庫】安全のカード 星新一
2010.03.28
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心霊小説というか、怪奇小説というか、そういう色合いの濃い短編集。誰かの想いを受信してしまう表題作の他、「林の人かげ」「お願い」「特殊な能力」「その女」「となりの住人」など。個人的には死刑囚の夢をたどる「経路」、愛する妻のために結婚詐欺をする男の「職業」、自分の運命を占えない占い師の「運命」が好みである。どちらにしても星さんの小説は軽文学というか、スナック菓子程度のおつまみなんだけれども、そういうお話もないと、肩が凝りますからねえ。【新品】[本] どこかの事件 / 星新一
2009.12.02
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「逃亡の部屋」は現代のおとぎ話。星さんにしては珍しいハッピーエンド。「うけついだ仕事」が悪人を殺す死神の役だったとは。「ひとつのタブー」無人島に流れ着いた男女は、愛し合うようになる。だが二人とも秘密諜報員だった…。「知人たち」テレビの有名人。あなたは私を知ってるが、私はあなたを知りません。「少年期」お酒でいつもその時代に還れたら、いいね。「頭のいい子ども」スマートな離婚調停人。「悲哀」マイダスが女性で、妊娠したら…「きつね小僧」現代版ねずみ小僧の真相。「タロベエの紹介」霊に取りつかれた男の喜劇。まだまだありますが、総じて、タイトルどおり「秘密の真相」をモチーフとする作品が多いのが特徴です。たくさんのタブー 1巻たくさんのタブー 2巻たくさんのタブー 3巻
2009.11.19
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を手に入れられたのは、おそらく表題作のジャックポット信者だけ。ロバート・シェクリイを連想させる「あの男この病気」の主人公は見事「鬼」を出し抜けただろうか。「現実」は藤子・F・不二雄の「気楽に殺ろうよ」を極端にしたような短編。私欲に走るものは「親しげな悪魔」の罠に陥る。「わが子のために」「ある占い」の落ちは皮肉だ。皮肉といえば、死んだほうがせいせいするという乗客ばかりの飛行機が墜落するとわかったときの、スチュワーデスの運命やいかに(「空の死神」)。おのぞみの結末
2009.11.15
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ドッペルゲンガーに自分をのっとられる「自信」は藤子・F・不二雄の短編のよう。「はじめての例」は、フレドリック・ブラウンの「至福千年紀」ほど痛快ではないが、ニヤリとさせられる話だ。「一家心中」はゲッペルズの苦悩を描く。「うすのろ葬礼」は「つきまとわれる男」と対を成して面白い。「ご用件は」は手塚治虫のフースケもののようで、怖い。
2009.11.15
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文庫では多分角川。ただ全集で順番に読んでいるので。悪くないけど、ここまでくるとどうということもない短編集。マンネリというところか。スラプスティックな表題作のオチは、第三次世界大戦前夜を思わせる。ごたごたを事前に感知する装置というのも、ここまでくればもてあまし物を越えて世界の迷惑だ。他「追究する男」「すなおな性格」が笑える。ただ一作を選ぶとなると、人間より家が主人公の「門のある家」か。確かどこかの少年文庫のアンソロジーにも収録されたはずである。ごたごた気流改版
2009.11.12
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タイトルから連想されるように古今東西の童話や民話のパロディ集かと思ったら、それはごく一部だった。美人と不美人の間を軽妙に綱渡りする表題作のほか、一寸法師をネタにした「ご要望」、機械による身分証明を風刺した「確認」、爆弾を落とされて全滅した日本人が逆に幽霊となって世界を徘徊するに至る星流『火星人ゴーホーム』の「大転換」、現代版『都会のねずみと田舎のねずみ』ともいうべき「子供の部屋」、多重人格をパロった「交代制」あたりが興味深い短編。
2009.10.24
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『殿さまの日』に続く星新一流時代劇中短編集第2弾。表題作は豊臣秀頼の一生を描いたもので、どちらかというと太宰治がよく似合うモチーフのところを、例によってスマートにそつなく仕上げている職人芸。これと比べたくなるのが「はんぱもの維新」。時代設定こそ江戸時代の初めと終わりと対照的であるが、幕府の要人小栗上野介忠順は行動的でエネルギッシュな人物である。それでも時代の流れには逆らえず、はんぱものの下級武士のために滅びてしまった。それを象徴するかのようにお「うう」しか言えない五助が、新しくできた皇居前で死んでいく様はまさに「はんぱものの死」である。『リア王』の道化にあたるのが五助だとすれば、小栗もまた…「春風のあげく」は江戸時代版『源氏物語』いや『偽紫田舎源氏』というべきか。コミカルな結末が因果応報的で笑える。「正雪と弟子」は『出家とその弟子』のパロディのよう。稀代の詐欺師として扱われる由井正雪の心境や如何。草葉の陰から声を拾ってみたいものだ。「すずしい夏」は江戸時代の冷夏→凶作→飢饉の悪循環の中で、侍が領民ともどもいかに生きながらえていくかを克明につづったフィクション。最後の結末がやはり笑える。角川文庫版↓城のなかの人改版
2009.10.23
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星新一流時代小説集。時代考証がしっかりしていて、そこに架空の人物を外挿する手法はSF的といえないこともない。「江戸から来た男」「薬草の栽培法」「元禄お犬さわぎ」はスラプスティック。「ねずみ小僧次郎吉」「ああ吉良家の忠臣」のむなしい結末。「かたきの首」を読むと敵討ちの実態がよくわかるし、「藩医三代記」は「陽だまりの樹」よりもリアルだ。「厄除け吉兵衛」は江戸時代の庶民の迷信的信仰のよろず屋で、「道中すごろく」のあがりは勘定奉行の裏話だった。「島からの三人」は「悪いやつほどよく眠る」の犠牲になったけれども、「紙の城」の主人公は贋書屋として江戸の官吏を欺き、世の中をうまく渡った。まこと表題作の殿さまがのたまうように、昔の人たちはそれなりに精一杯生きていたのだ。それに対して今現在の考えをあてはめられ、あれこれ批判されては迷惑にちがいない。
2009.10.06
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スラプスティックオンパレード。ここまでくるとソフィスケーテッド筒井康隆だ。とくに「倒れていた二人」なんかは。なにようわからん? そりゃわからんように書いてるからね。まあこのなかではブラックなオチの表題作と、情報中毒社会を諷刺した「ふーん現象」が佳作だろう。そういえば旧ソ連で星新一が人気だったと聞いたことがあるが、どんな紹介のされ方だったかわかるような気がするな…
2009.10.05
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タイトルどおり、捕らぬ狸の皮算用のような短編集。軽妙な作品が多い中、大岡裁きの時代劇「名判決」と、サイボーグの悲哀を描いた「凍った時間」が印象に残る。
2009.10.02
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スラプスティックとコントもそろそろマンネリになってきた。コントでは忠臣蔵の裏話風の「町人たち」、スラプスティックではアシモフのもじり風の「過渡期の混乱」がおもしろい。この過渡期が終わったら人間はロボットに支配されるのだろうか、それとも延々とこの過渡期なるものが続くのだろうか。
2009.10.01
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表題作は『王子と乞食』の後日譚で、白雪姫と裸の王様と赤頭巾とシンデレラとハンメルンの笛吹きとロビン・フッドとピーター・パンがごっちゃになったスラプスティック。著者はスラプスティックと「ミイラ取りがミイラになった」お話が得意で、「死体ばんざい」「流行の鞄」「エスカレーション」は前者系、「ミドンさん」「新しい政策」「善良な市民同盟」「魅惑の城」は後者系である。「ミドンさん」など、安部公房なら前衛小説にするだろうが、星新一だと軽文学になる好例だろう。「そして、だれも…」と「収容」は宇宙SFコント。どちらもオチが暗くないのがいい。「ものぐさ太郎」は現代のデイ・トレーダーを言い当てて予言的だし、「合法」も臓器移植問題の解決を言い得て妙だ。【新品】[本] なりそこない王子 / 星新一
2009.09.30
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寓話や童話のパロディ集かと思ったら、はじめだけだった。「シンデレラ王妃の幸福な人生」はよくできているが、シンデレラがまるで青山光子のパロディのようだ。「ふしぎなネコ」は未来ネズミ経で、「不在の日」は作者が登場しない前衛劇のもじりかとも思える。となるとやはり一推し(語源的に一押しは間違い)は「ある夜の物語」だろう。作者のクリスマスストーリィの中でも五指に入る傑作である。未来いそっぷ改版
2009.09.28
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表題作はないが、タイトルどおりひねったユーモアが多い。だれかさんの喜劇はだれかさんの悲劇、という具合。おもしろくないことはないのだが、いささかマンネリの感がある。しいて佳作を挙げるとすれば、「敬遠」「亡命者」「歳月」あたりか。だれかさんの悪夢改版
2009.09.24
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スラプスティック絶好調。まるで筒井康隆のようだ。表題作の他、「女難の季節」「はだかの部屋」「殺意の家」「ああ祖国よ」。登場人物の固有名詞のあるものとないものがあるが、あるとメロドラマになり、ないと寓話的になる。作者もそのあたり計算しているのだろう。個人的には「キューピッド」、運命論的な「手紙」、「古代の神々」あたりが多少なりともSF味があって好みである。
2009.09.23
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SF、ミステリーいろいろあるが、このあたりになるとマンネリ感が漂う。また二番煎じも少なくない。それはそれでサザエさんをみるような安心感がなくもないのだが…ドライなコントやブラックなユーモアが多い中、スラプスティックな「涙の雨」「犯罪の舞台」「番号をどうぞ」が印象に残る。「愛の作用」はレスター・デル・リーの短編「愛しのヘレン」を逆手にとったパロディか。
2009.09.22
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これも元ハヤカワ文庫。表題作は星新一版『華氏451度』。「特殊大量殺人機」は核拡散状況をスラプスティックスに予言した佳作。「時の渦」はラファティばりのほら話。
2009.09.20
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昔ハヤカワ文庫に収められていただけあって、SFとファンタジー色の強い短編集。シェクリーやブラウンやフィニィを連想させる作品が多いが、やはり地球生物の挽歌を壮大なパノラマ現象として描いた表題作が一番の傑作だろう。
2009.09.19
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表題作はなかなかエスプリが利いているが、個人的には運命に立ち向かう「ねむりウサギ」の方が好きだ。「服を着たゾウ」も寓話的。だが一番余韻が残るのは「友情の杯」にちがいない。
2009.09.17
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不具はショートショートに風刺を求めるので、どうしてもそういう作品を評価してしまいがちだ。「最初の説得」はアダムとイヴ、「助言」は代理戦争、「時の人」はマスコミをそれぞれターゲットにしたエスプリが利いていて興味深い。だか一番哀れで忘れ難いのはSFならではの不幸物語、「善意の集積」ではなかろうか。
2009.09.15
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風刺の利いたコント集。トリを占める表題作の他、「大黒さま」「住宅問題」「信念」「陰謀団ミダス」「繁栄への原理」「黄金の惑星」「宇宙の英雄」など。「海のハープ」「鍵」はファンタジー。だが一番の傑作はオー・ヘンリー風の「古風な愛」だろう。
2009.09.12
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ミステリーから打って変わってSFコント集。変な発明品ものが多い中、しいて佳作をあげるなら風刺的な「ネコ」、童話的な「花とひみつ」「鏡のなかの犬」くらいだろうか。
2009.09.09
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星さんといえばショートショート。ショートショートといえばSF。ただ『ノックの音が』でもそうだったが、このころになるとミステリー仕立てのコントがほとんど。例外は「夕ぐれの車」で、「赤い酋長の身代金」のパロディかと思いきや、手塚治虫の「ミッドナイト」だったという名編。もっとも大トリはSFミステリーコント「臨終の薬」で、このあたりいかにも星さんらしい茶目っ気である。単行本は講談社。エヌ氏の遊園地
2009.09.08
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「ノックの音がした。」で始まる短編集。ほとんどがミステリー仕立てのコントで、星氏の作品には珍しく、固有名詞の登場人物が多いのが特長。唯一固有名詞の登場人物が現れないミステリーが「唯一の証人」、固有名詞の登場人物が現れる唯一のホラーが「金色のピン」、そして固有名詞の登場人物が現れない唯一のホラーが、トリをしめる「人形」。こうして書いてみるとややこしい話である。【新品】[本] ノックの音が / 星新一
2009.09.07
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マンネリにはマンネリの味がある。なにより安心して読める。表題に該当するタイトルの作品はないが、有難迷惑、災い転じて福となす、大きなお世話、という慣用句や諺が思い浮かぶ。全体として藤子・F・不二雄のSF短編集のような趣である。R万能サービス会社とかアール氏とか、R関連の登場人物・法人も多い。RiddleのRだろうか。また、星さんの落ちにはよくあることだが、行動の連鎖、というか「はてしない物語」が多いのもこの本の特長だ。「そそっかしい相手」はロビンソン・クルーソーのパロディで、「箱」は浦島太郎を逆手にとった掌編。高橋葉介の初期のタッチに相応しい佳作である。
2009.09.06
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タイトルに相応しく、超自然的存在や超自然的現象を扱ったものが多い。表題作は自分に向けられた「肩の上の秘書」とでもいうべき作品で、地球人をおだててだらしなくさせるために宇宙人が送り込んだものらしい。そのことに気付いたのはある耳の不自由な老人だったが、彼にも事態を打開するために行動する気力はなかった。…「ある戦い」は特攻隊を逆手にとった落ちの中に、もうひとつ落ちがあったという二重構造の作品。「銀色のボンベ」は病院における生と死を扱った詩的な掌編。「友だち」は読書を愛するすべての人に。けれど集中一番の傑作は「ひとつの装置」だろう。核戦争と人類への挽歌といえば、…ああもう語りすぎてしまった。
2009.09.02
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宇宙のあいさつというより地球のあいさつのようなアンソロジー。ただ「宇宙の男たち」はまさしく表題どおりだし、集中随一の佳作である。また「その夜」の、聖夜を裏返しにしたアイディアも興味深い。「適当な方法」は高見順の詩を連想させて恐ろしい。「運の悪い男」は「警官と賛美歌」の逆をいくコメディー。「夜の流れ」は小泉八雲調。
2009.08.22
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タイトル通り、悪い夢や殺人、死に関するブラックユーモア的なものが多く、幸せそうに見える家族の裏側を暴露する、というオチの短編も少なくない。その中で、星さんにしては珍しい固有名詞のドラマ「顔の上の軌道」はオー・ヘンリー調で後味がよかった。一方で文明批評は冴え渡る。「友を失った夜」は絶滅動物と環境問題、「むだな時間」はコマーシャリズム、「乾燥時代」は全自動的機械文明、「囚人」は人口爆発と食糧危機、「宇宙のネロ」は視聴率本位のテレビ番組に対する諷刺として楽しく読ませていただいた。
2009.08.21
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もし人間が骨の髄まで合理的にできていたら、誰も小説など読まないだろう。天国に悪魔がいるからあの世は人間的なのだ。疑う者はブラウン調の「エル氏の最期」を見よ。相変わらずコントやミステリーが多く、二番煎じのようなアイディアも散見されるなかで、「ピーターパンの島」はエスプリが利いている。「薄暗い星で」にはロボットの臨終が簡潔に描かれ、「帰路」はペーソスに満ちた短編。失明した宇宙飛行士が向かう地球は天国か地獄か。「この世だよ」と星さんからハガキが来た。送り主の住所は「悪魔のいる天国」となっていた。
2009.08.19
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タイトルのとおり宇宙をテーマにした短編が多い。もっとも印象に残るのは「処刑」で、これは集中もっとも長いお話でもある。ミステリー仕立ての作品も含めて概して軽妙なコントが基調のなか、いくつかの例外もある。「たのしみ」はホラーだし、「セキストラ」は前衛的で、「蛍」は教科書に載ってもおかしくない。また「小さな十字架」は一編の美しい童話である。「テレビ・ショー」を読むと性教育で悩むのがバカらしく思えるし、トリを飾る「殉教」は科学もまた宗教たりうることを示唆し、機械の語る死者の声を信じて、嬉々としてレミングよろしく自殺していく人々の群を描く、まことに忘れ難い佳品である。
2009.08.17
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『星新一 ショートショート1001』を他の読書の合間合間に順番に読んでいく。表題作の他に、「肩の上の秘書」「おーい でてこーい」が印象に残る。とくに後者は環境問題関連からか国語の教科書にもとりあげられたので、なかば現代の古典と化した感がある。あらためて読み返すと、ショートショートとはひとつの器てあることに気がつく。ミステリーもスパイ小説もファンタジーもスリラー小説もある。たいていがコント仕立てだが、「なぞの青年」のような風刺小説もあれば「生活維持省」のような反ユートピア的味わいのあるものもある。「月の光」は、「太陽の光」たる男性とセットで生きる女性の哀愁を描いた佳作といえるだろう。SFは本書では宇宙人絡みのものが多いが、「おーい でてこーい」は次元ものだし、「闇の眼」はミュータントもの、「肩の上の秘書」や表題作などはロボットものだ。まさに百花繚乱である。さて第二短編集はこれいかに。星新一ショートショート1001ボッコちゃん改版
2009.08.02
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星新一は小説家ではない。説話文学者である。氏のフィクションはほとんど人間の内面を書かず、外面的事件だけを述べる。その語り口と内容は、SF的思考に慣れてしまった読者にとってあるいは物足りないかもしれない。不具も、氏のフィクション作品をフレドリック・ブラウンやロバート・シェクリィの短編集と一緒にとうの昔に手放してしまった。物足りないとこそ思わないが、図書館から借りるならともかく今更買ってまで読む気もしない。現在手元にあるのは『人民は弱し 官吏は強し』などのノンフィクションだけである。それでも不具は、氏の<千夜一夜物語>はSFの形を借りた現代の説話文学として当面の間新しい読者を獲得し続けるだろう、と確信している。
2007.01.06
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星さんは天性のストーリーテラーだと思う。社会風刺ありホラーありサスペンスありファンタジーありしみじみしたお話あり。日本のフレドリック・ブラウンあるいはロバート・シェクリィというところだろうか。この本はたまたま図書館の児童書コーナーで見かけたもの。風刺やホラーの効いた短編はひとまずおいて、『見失った表情』『包み』『宇宙の男たち』『顔の上の軌道』なんかは今読んでもとてもいい話だと思う。『ある夜の物語』は日本を代表するクリスマス・ストーリー。昔手話劇で見た記憶がある。
2006.12.25
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