つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2010.10.07
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ユートピア旅行記叢書3より。

アウステル大陸とは要するに南方大陸のこと。北半球に相当する広大な土地が南半球にもあると期待されていたわけだが、実際に見つかったのはちっぽけなオーストラリア大陸にすぎなかった。

主人公のサドゥールは両性具有である。それゆえに両性具有が当たり前のアウステル人の間で生きていくことが許された。彼等は完全なる理性人であり、性の分化に伴う感情に悩まされることが一切ない。

宗教もまたキリスト教的ではない。「生前には人間の方が優れていたからといって、人間の方が死後も卓越していると肯定的に判断することはいささかもてきない」という表明は明らかに異端である。

サドゥールは優柔不断に見えるが、これは作者の態度の反映でもあろう。フォワニーは「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」の人だったらしいから。しかしそれゆえにどちらの世界にも安住できないコウモリでもあった。不具はむしろそういう悲劇乃至喜劇として、この物語を読んだ。付け加えるならば、このアウステル大陸は、ガリバーのフウイヌム国のありように雰囲気が似ている、とだけ覚書として書き残しておこう。





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Last updated  2010.10.14 18:28:01
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