小人

小人

オウム



ある森に一羽のオウムが住んでいました
とても物まねが上手く
他の鳥はもちろん、ライオンや猿の声まで出すことができました

もちろん、他の動物たちは全く物まねができません
しかたないので、一生自分の声を出すしかありません

あるとき、猿がオウムに言いました
「君はいろんな声が出せていいね。でも、どれが本当の声なんだい」

そこでオウムは自分の声を出そうとしたのですが
いつもあまりに物まねばかりしていたので
自分の本当の声を忘れてしまっていました

そんなある日のこと
森が急に騒がしくなりました
上空に大ワシが現れたのです
翼を広げると2メートルはあろうかという空の王者です
小鳥やリス、猿やヘビたちまでもが急いで身を隠し
森は水を打ったようにシンと静まりかえりました

とそのとき、オウムがライオンの声で吠えました
大ワシをおどかしてやろうと思ったのです
しかし大ワシは空の王者、ライオンなど全く恐くありません
それどころか、大変目のいい大ワシは
声の出所にライオンならぬオウムがいるのを見つけました

さあ大変です
大ワシはオウムめがけて急降下
それを見たオウムはライオンの声を出そうとするのですが
怖くて声が出ません
恐ろしくて体も動きません
そんなわけで
オウムは簡単に捕まってしまいました

大ワシの鋭い爪が体に突き刺さった時
オウムは久しぶりに自分の本当の声を聞いたのでした

それはギャーギャーガーガーと
聞くに堪えない悲しい声でした

大ワシがオウムを捕らえて飛び去った後
助かった動物達は、しみじみと言い合いました

「ぼくら、物まねできなくて良かったね」

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