勝手に最遊記

勝手に最遊記

HAPPY BIRTHDAY!―4



「・・・・・・・・・・・?」何か、嫌な感じがする。

新聞を置き、立ち上がる。

「また何か起きそうだな・・・。」その言葉通りになりそうな予感に、顔を顰(しか)めた。


「・・・次は・・と。」最初の目的の物はすぐに手に入ったのだが、もう一つが見付けられず、
桃花はどんどん山奥へと入って行くが・・・足を止めた。


自分の方向音痴を自覚しているので、無理は禁物と判断したのである。

『こんな山の中で迷子になったりしたら・・・それこそ八戒ちゃんがマジギレしちゃうよ。』 辺りを見回す。

「あっ!あったっ・・!!」山道から外れた場所に、目的の物を見付けた桃花。

草むらをかき分け・・・「良かった~!キレイ・・・。」手に取り、踵を返したが――「きゃっ!」足を止めた。

ボゴボゴオッ―――――足下の土が盛り上がっている。

『何?もぐら・・?』見るとアチラコチラから土が蠢いている・・・ボゴンッ!!土から顔を出したのは・・・・

「みっ・・みっ・・蚯蚓(ミミズ)っ!?」桃花が顔面蒼白になった。それもその筈で。

蚯蚓と言っても、その大きさが胴回り30センチは有ろうかという―――巨大蚯蚓。それらがウネウネと
地中から顔を出している様は、桃花でなくても・・・「きゃあああああっ!!」悲鳴を上げるだろう。

一目散に桃花は逃げ出した。『よりにもよってー!爬虫類はキライなんだってばぁぁ!!』
己の不運を呪いながら・・・・。


「・・・確か・・この山から・・・。」八戒は神経を集中させた。

結界を張ってあるはずの山から妖気を感じた――――――慌てて桃花を探したが、部屋に居なかった。
『絶対、巻き込まれてますね。』妙な確信と不安を抱き、全力疾走で裏山にやってきたのだ。

「キューッ!!」ジープが肩から飛び上がる。
「ジープ!?・・・桃花を見付けたんですね?行きましょう!!」ジープの後を追い、八戒が走り出した。
『全く・・・桃花はどうして・・・。』トラブルを引き寄せる達人ですね、八戒が結論づけた。


「うわああぁぁ・・・こっ、こんな死に方は嫌だぁぁ・・・っ!!」もはや半泣きの桃花。

背後は断崖絶壁―――――――そして桃花の目の前には、ウニョウニョと迫り来る蚯蚓の大群・・・。

『蚯蚓の化け物に喰われるぐらいなら・・・崖から飛び降りて死んでやるっ!』悲壮な決意を固めた桃花。

武器と言えば、悟浄から貰った―――メリケンサックを持ってはいるが、
殴ったとしても効果が有るのかどうか・・・期待出来ない。

「っっっっつーか、蚯蚓なんて殴れないって言うのっ!!気色悪いっ!!」やけに怒鳴り散らす桃花。
その怒りに触発されたのか、蚯蚓達が一斉に桃花に迫って来た―――「いっ・・嫌ぁ!!」叫んだ瞬間、

――――――バングルが、光を放った――――ゴオオオォォッッ・・・火炎が次々と蚯蚓に襲いかかる。
呆気にとられる桃花の目の前で、蚯蚓が消し炭と化した・・・。

目の前の蚯蚓を一掃した火炎は、瞬く間に消え去った。桃花がバングルを見ると、青いターコイズが
赤く変化していた・・・それも僅かの間に元の青い色に戻る――――『そっか・・紅君が言ってた・・。』

          “コレが、お前を守護するだろう” その言葉の通りに。

守ってくれた――――『ありがとう、紅君。』気が抜けて・・・その場に座り込む桃花。

「キューッ!」頭上をジープが旋回している。「ジープッ!?」・・と言う事は。
「桃花っ!!」「・・八戒ちゃん。」予想通りに現れた八戒の顔を見て――『ヤバイ』嫌な予感のする桃花。

「大丈夫ですか!?怪我は・・・!?」桃花に駆け寄り、怪我した場所はないか確認する八戒。
「大丈夫!怪我してないよ?紅君に守ってもらって・・。」桃花の言葉に目を丸くする八戒。
「理解出来ません。桃花、大体こんな山の中を・・・「だからっ!説明すると・・・。」そう、言いかけて。

「はっ・・八戒ちゃんっ・・・う、後ろっ!!」「キューッ!!!」

またもや土が―――――――盛り上がり始めている・・・「にっ逃げようっ!!」桃花の言葉より早く。
八戒は桃花を抱え、崖に背を向け・・・顔を出し始めていた蚯蚓達の上を、飛び越した。
そのまま、山の中へ逃げ込む。背後が崖では、戦いにくいと言う事を考慮して。 


「何なんですかっ!?アレは一体・・・!?」八戒が走りながら桃花に聞く。
「あ、あたしに聞かないでよっ!とにかく・・気持ち悪いんだからっ!!」八戒に怒鳴り返す桃花。
必死に八戒と共に山を駆け下りる。次から次へと、土から巨大蚯蚓が顔を出してくるのを感じながら。

『あの巨大蚯蚓が・・・封印されていた妖怪・・でしょうか?』なぜ、封印が破れたのだろう?
逃げながらも冷静に分析する八戒。

その横では、死に物狂いの(恐ろしい)顔をした桃花が、必死に走っていた。
「絶対っ・・・蚯蚓なんかに喰われて死にたくないいぃぃ!!」―――――絶叫しながら。      

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: