勝手に最遊記

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SURPRISE―2




ジープが走行しているのは細い山道。 さほど険しい道ではないが、右手には岩肌。左手は崖。
八戒はジープが崖から転落しないよう、注意深く運転していた。


悟空は桃花の肩に凭れ。桃花は悟浄の胸に頭を預け。
・・・・・悟浄は、ジープの縁から頭を出すような感じで肘を付きながら、少々苦しそうな表情を浮かべつつ寝ている。

その様子をミラーで見た八戒が、「悟浄は苦しそうですねぇ。二人分の重みがかかって。」苦笑しながら言った。
「・・・フン。静かで結構だ。」金糸を掻き上げ、三蔵自身も眠りに入ろうと目を閉じたとき・・・

―――――――ブルンッ・・・静かにジープが停止した。


「・・・何でしょうか・・三蔵。」「俺に聞くな・・・。」 呆気に取られた二人の言葉。 ソレもそのハズ。


狭い道の真ん中に。  箱が置いてある・・・・・・・一メートル四方の白く、大きな箱。ご丁寧にピンクのリボンが結んである。


「大きなプレゼントですねぇ。」「アッサリ受け入れるな。アッサリと。」そう言いつつ、周りを注意深く観察する。

「・・・敵の気配は無いようだな。」この狭い山道で、戦闘になれば分が悪い。
「とにかく、あのプレゼントをどうにかしないと動けませんしね。」八戒が後ろを振り向き、
「悟空!肉がプレゼントされましたよ!」「ふぇっ!?肉っ!!?」悟空が飛び起きた。

「ドコドコドコドコドコドコっ!?肉はっ!?八戒!!」急いで辺りを見回す悟空へ、
「あそこですよ、悟空。」にっこり微笑みながら指さす。「でっけーっ!!」嬉々として、ピョンッと飛び降りて行く。
「さて、悟空だけでは危ないですし・・・。」

「悟浄っ!綺麗なお姉さんがプレゼントされましたよ!」「ぉあっ!?オネーサンっ!!?」悟浄も(桃花を放りだして)飛び起きる。

「ドコドコドコドコドコドコっ!?オネーサンはドコだよっ!?八戒!」「あそこですよ、悟浄。」
「うおっ!?箱入り娘かっ!?・・悟空に先越されてなるかって・・。」慌てて悟浄もジープを飛び降りて行く。
その後ろ姿を見送り、「・・・・・・・・・・・・。」「どうかしましたか?三蔵。」哀れな奴らだ、と思ったのは三蔵だけだったりする。


「・・ね・・どうしたの・・?」(悟浄に放り出されて)眠りから覚めた桃花に、「ああ、何でもありませんよ。」微笑みつつ、
「桃花は危ないですから、ココに居て下さい。」八戒がジープを降りた。「三蔵、お願いしますね。」

「お願い・・って脅迫だろうが・・・。」小声で三蔵が毒付いた。「三蔵?皆、降りてんの??」後部座席から身を乗り出した桃花に、
「オラ。顔出してんじゃねーぞ。」【ベシッ】と、ハリセンで顔を叩いた。
「にゃっ!・・・にゃんだって~の~!?」ハリセンの横から桃花が顔を覗かせば、

「よっ!・・ぁあ゛!?」「今度は俺が・・ほっ!なぁっ!?また箱かよっ・・!」悟空と悟浄が必死に箱と格闘している。

「・・アレ、何?三蔵。」「だからっ・・俺に聞くな・・俺に。」流石の三蔵も呆れ顔だ。

大きな箱は、箱を開けても開けても・・・・また箱が出てくる。その度に一回りずつ小さくなって来ているのだ。
一メートル四方あった箱は、今や30センチ角の大きさになってしまっていた。

「おりゃっ!」「とりゃっ!」「ぬおっ!」「うりゃあっ!」悟空と悟浄が(漫才のように)次から次へと箱を開けている。
それでも八戒は用心深く、ジープの前で集中を欠かさない。


もし、何か爆発物が仕掛けられていた場合――――すぐに結界を張る為だ。尚、悟空と悟浄の身の安全は・・・保証していない。


・・・・・・「こ・・コレが最後だろ・・・。」息の荒い悟浄。 悟空と二人して、すっかり疲れてしまっていた。

すでに箱は10センチ角。この大きさでは肉もオネーサンも入っていない事は確実なのだが、ココまで来た以上。
『・・・・このままじゃ帰れねぇっ・・・!』無意味な意地が、二人の間を固く結束させている。

「開けるぜ?悟空。」「おうっ・・・!」真剣な眼差しで見つめ合う、悟空と悟浄。

「「・・・っせーのーでっ・・・!」」・・・・バッ・・・と思いっ切り、箱の蓋を投げた・・・・


「「・・・ぁ。」」・・・・中は・・・・「空っぽ・・・?」ガクッと膝を付いた悟空。「ひ・・酷ぇ。」悟浄も力無く、項垂れた。


「――――・・・ま、危険物じゃなくって良かったですよね。道も開いた事ですし、出発しましょう。」
爽やかに笑う八戒に、「「~~~~~~八戒ぃ~・・・・。」」為す術もない、二人であった。



・・・・そう。誰も、気付いては居なかった。

こっそりと。  悟浄の胸ポケットに。     




小さな


小さな



“人形”が プレゼントされていたことなど・・・・・・・


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