勝手に最遊記

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HAPPY BIRTHDAY!―2



――――――何はともあれ・・・・桃花が天界に来てしまった以上、事態を収拾させる為に金蝉が天蓬を呼び出していた。

「それで、悟空は?」自分を呼びに来たのは悟空なのだが。部屋には金蝉と桃花しか居ない。
「ナタク太子の様子を見に行った・・。」苦い顔で金蝉が答える。「まだ、牛魔王討伐から帰ってないのでは?」
「それでも気になるんだろう。」正直、金蝉にしてみれば悟空とナタクが、これ以上仲良くするのは気が進まない。
ナタク、が。と言うよりも・・・ナタクの背後にいる、李塔天の存在が・・・・。

「ナタク、牛魔王討伐に行ってるの?」「ええ・・。桃花はナタク太子をご存じでしたよね?」
前回、天界に来た時に・・・桃花とナタクが出会ったのを、天蓬は悟空から話を聞いている。

「うんっ!すっごい、可愛い子だよね!?」そう言った桃花の顔を、天蓬と金蝉が複雑な面もちで見た。


―――――――【殺人人形】――――――――そう、称されるナタクの存在。


とても・・・“可愛い”なんて、天界の誰もが口にする事など無いだろう。


金蝉と天蓬の表情に、「・・・・あたしは、子供を利用する“汚い大人”の方が悪いって思ってるわよ?」そう言って腰に手をあて、
「大体、この天界っつーのは、下界より性質(たち)の悪いのが揃ってるんじゃないのー!?」ズバリ、言ってのけた。


・・・ポカーン・・・と。思わず金蝉と天蓬が口を開けたまま、固まった・・「・・っくっくっくっ・・。」笑い声が扉の影から漏れてきた。
「あっ、捲ちゃん!久しぶりっ。」ハッと金蝉と天蓬が振り返れば、腹を抱えながら捲簾が部屋へと足を踏み入れた。

「・・お前・・相変わらずってか、前よりキツクなったんじゃねーの?」さも、面白そうに捲簾が桃花の顔を覗き込む。
「自分でも・・そう、思うよ。」真面目に頷く桃花に、捲簾が吹き出した。「あっはっはっはっはっ・・やっぱ変わってるわ!お前っ!!」

『・・・あのなぁ。』ゲラゲラ笑う捲廉の姿に凹み気味の桃花。『・・・だって事実だモン。』
三蔵達と旅を始めてから・・・・キツイとか、強気とか、女じゃ勿体ないとか(恐いとか)とかく、言われがちなのだ。
オマケに言葉使いまで乱暴になって来ているのは、【朱に交われば紅くなる】のを地で行っているのだと・・自覚せざるおえない。

「・・捲簾。貴様を部屋に呼んだ覚えは無ぇんだが?」冷たい視線を放つ金蝉に、
「悟空が俺んトコに飛んで来たんだよ。桃花姉ちゃんが来た!つってな。」ニヤリと笑った。

「これ以上・・事態を悪化させるつもりか・・・。」思わず額に手をあてる金蝉。騒がしくなる事この上ない。
「大体、どうやって来たんだ?」「捲ちゃん・・あたしが聞きたいんだってば。」捲簾が天蓬を見ると、苦笑しながら首を振った。
「原因が判らない事には・・・帰す方法も判りませんし。」尤もな天蓬の意見。

派手な溜め息を付きつつ、「この女を置いておくのか?俺はこれ以上の面倒はご免だぞ?」金蝉が桃花を睨めば
「わ、悪かったわね?だって、しょーがないっしょ?来たくて来た訳じゃ・・・。」いつものクセ(?)で臨戦態勢を取る桃花。

バチバチと火花を散らす二人の間に、捲簾が割って入った。

「この間、帰った後・・大変だったんだゼ?悟空のヤツ、“寝てる間にお姉ちゃんが消えた!”って泣き喚いて。
金蝉の髪は引っ張るわ、暴れて部屋は破壊するわ・・・。」その後を引き継いで天蓬が、
「“誰かアイツを連れて帰って来いっ!!”って叫んだんですよねぇ?金蝉v」

「あっ・・アレは、悟空が煩ぇからっ・・!」グッと詰まった金蝉に対して、「いやーんv来てくれて嬉しいって素直に言えばいいのにぃ♪」
両手を頬にあて、クネクネと体をくねらす桃花。

「・・・っ・・いい加減にしろっ・・!」青筋を立てながら握り拳を固めた金蝉を見て、爆笑する捲廉。
「あのー。いつまでもバカ話をしてても進行しないんで・・。」とにかく落ち着きましょうと、天蓬が皆を椅子に座らせた。

「・・・で、今回は妖怪が絡んでないんですね?」天蓬がもう一度確認する。それに頷き、
「ただ、桜の木の根本で・・・昼寝、してただけなんだけどなぁ。」首を捻って、「桜が咲くには早いって思ったんだけど。」

一本の大木だけ、狂い咲のように満開だった・・・・。


「と、すると・・・。」ふむ、と顎に手をあてながら「後は・・・天界人が絡んでる可能性が高い、ですね。」
その天蓬の言葉に、「マジかよっ!?んなコト、そんじょそこらの天界人にヤレる訳、ねーだろっ!?」
「その通りだ。第一、下界の者に不干渉と言う、大原則を破る天界人など・・・」珍しく同調する金蝉と捲廉に、

「・・・・露出狂で、オカマの神様になら心当たりがありまーす・・・。」はーいと手を挙げた桃花。



『菩薩かっ・・・!』金蝉と 捲簾と 天蓬の脳裏に、不敵に微笑む観世音菩薩の顔が・・・浮かんだ。



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