勝手に最遊記

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Family ―8―



「いやーーん!怖い~!!」「でしょ~?それでさー・・。」

「あの~スミマセン・・。」八戒がひょっこり顔を出すと、
「キャアーーーーーーッ!!」女性達が飛び上がる。

「あ、驚かしちゃってスミマセン。」八戒も驚いたのだが、人当たりの良い笑顔を浮かべる。
「いえ、お客さん・・ごめんなさい。何かご用ですか?」
悟空と同じくらいの年頃の女性が、慌てて取り繕う。

「僕の連れに食事を作ってあげたいんですけど、厨房お借りできますか?」

「それなら私達がお作りしますよ?」もう一人の年輩の女性が愛想良くいう。

「他のお客さんの食事も作るんでしょう?
お手を煩わしたくないので、僕に作らせて下さい。」

八戒がにっこり笑うと、つられて女性達も笑う。
結局、八戒は厨房を借りることに成功した。

『僕にはこういう事しかできないので・・。』

気功術も外傷にしか有効ではない。桃花の具合が悪くなっているのも
気付けなかった自分を責めている。

「あの・・妹さんなんですか?」若い女性がおずおずと聞く。
「ええ、まぁ・・。」
『やっぱり年上には見えないんですね・・。』隠れて苦笑した。

それに妹に思われているのなら、その方が良い。
男4人と旅をしているのだ。自分達はともかく、桃花の事を何と言われるか分からない。

『嫌な噂話の種にはさせたくないですからね。』

あまり関係を聞かれるのもマズイと思い、八戒が女性達に話し掛けた。
「さっきは何のお話をしていたんですか?」

女性達が顔を見合わせる。
「言っても・・いいのかしら?」「ウチの宿には関係ないし?」「でも・・。」
そう言いながらもウズウズと話したそうだ。

「僕は口が堅いから、大丈夫ですよ♪」
八戒の言葉をキッカケに、女性達が話し始めた。

―バタンッ―
三蔵達が部屋で思い思いに過ごしていると、八戒が慌てて入ってきた。

「どうしたんだよ?」
「悟空は?悟空は戻ってますか!?」
普段、物事に動じることのない八戒だけに、三蔵達は立ち上がった。

「何かあったのか?」怪訝な顔で三蔵が問う。
「まだ戻ってないんですね?・・・やはり・・コレは・・。」
「何だよ、分かるように説明しろって!?」苛立ちを隠さず悟浄が言った。

「今、ココの宿の人達に聞いたんですけど・・。」八戒が話し始めた。

「数十年前、この町に裕福で大きい家があったそうです。
その家には優しい旦那さんと、美しいと評判の奥さんが暮らしていたのですが、
なかなか子供に恵まれず・・・夫婦二人で暮らしていたそうです。
そして何年か経って、やっと子宝を授かった二人は大喜びしたそうなんですが・・。」

「駄目だったのか?」三蔵がマルボロに火を付ける。

「ええ・・。もうすぐ生み月という時に、押し込み強盗に襲われて・・。
旦那さんは殺され、奥さんは身重の体で陵辱されたうえ・・腹を切り裂かれて
殺されたそうです。」

「・・・・ヒデェーな。」悟浄が灰皿を取る。

「家は火を付けられ燃えてしまったそうなんですが、奥さんの遺体は見つからず
捜索すると、この町はずれの沼地に沈められていたそうです。
遺体を引き揚げ、供養もしたそうなんですが・・。」

「異変が起こったか。」三蔵は紫煙を吐き出した。

「はい。夜な夜な沼地に現れるとか・・。色んな噂があるんですが、
自分の子供を探していると言われています。
この町では、子供が死ぬとその子の魂がすぐ成仏できるように、
わざわざ隣町に運ぶそうです。
そうでないと、死んだ奥さんに子供の魂を取り込まれるからと・・。」

「・・・それがココに居ないバカ猿が引っ掛かってると?」

「分かりません。・・噂の域を出ない話ですし・・。」

「メシ時に帰って来ないんだから、可能性は高けーよな?」

「・・・チッ。仕方ねぇ、迎えに行くか・・。」三蔵がマルボロを押しつぶした。

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