勝手に最遊記

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Blind Date ―12―



それを見送って、「あー・・・行っちゃった・・・。」クルッと桃花が振り向くと
「・・・はぅあ!」もの凄い・・・嫌ぁ~な雰囲気が・・桃花を取り囲んでいて。


「ひでぇーよ桃花あぁ!!」悟空が飛び付いてくる。「ご、悟空ちゃんっ・・苦しっ・・重いってば!」
身長がさほど変わらないとはいえ、かなりキツイ。しかも悟空は力持ちなので、とても振り解けない。

「っっとーに、心配かけやがって!!」悟浄が桃花の頭をガシガシと掻き回す。
普段なら、髪が乱れるから絶対にイヤ!・・と言ってさせない行為である。

「わぁ~っ!髪がグシャグシャになるううぅ~っ!!」

さんざん、悟空と悟浄に弄ばれ(?)、やっとの事で二人から抜け出した目の前には、
「さ・・・・さん、ぞぅ・・・。」・・・・・顔面蒼白である。

そこには“激”とか“超”とか“バリ”などの単語をいくつ付けても足りないほど
不機嫌な・・いや、青筋を立て、眉間に皺を寄せまくった怒りに歪む三蔵の顔が、

『・・・恐っ・・・!!』思った瞬間、「このっ・・・くそバカ女ああぁぁ!!!!」

バシイイィィンッッ・・火花が飛びそうな勢いで、ハリセンが炸裂した。

「いいい痛いぃぃ~っ!なっ・・いつもの3倍は痛いって!!」
「当たり前だっ!てめぇのせいで、俺がどれだけ・・・!!」バシイイィィッッ!!
「キャアー!・・何度も叩かないでよっ!」「まだ足りんわっ!」バシイイッ!!「痛いって・・・わーんっ!」

鬼のような形相で、桃花を追いかけ回す三蔵。

桃花は一番安全圏だと思われる、八戒の背後に隠れた。「八戒ちゃん!助けてぇ~!!」

八戒は背中に隠れている桃花の腕を、そっと自分の腰に回させた。そしてシッカリと手を握る。

       「・・・桃花。」「・・はい?」

「マサカ・・・僕が怒ってないなんて・・・思ってませんよねぇ。」八戒が桃花の手を、ますます強く握る。
「それにこのバングルは?自分で買ったんじゃないでしょう?紅孩児に買ってもらったんですか・・
イイですねぇ人の気も知らないで。」

おずおずと上を見上げた桃花の目に、それはそれは恐ろしい八戒の笑顔が見えた。
「ヒッ・・・。」手を掴まれて居ては、逃げることは叶わない。

「・・・教育的指導が必要ですねっ。」「いやああぁっ・・!」

―――――――――――夜空に、桃花の絶叫が響き渡った。


「つっ・・疲れた・・。」桃花が宿の自分の部屋に戻って来て、「ふわぁ~・・。」ベッドに倒れ込んだ。
宿に帰ってきてから八戒の“教育的指導”をみっちり受け、悟空と悟浄の機嫌を取るのに忙しく・・・。

「あ・・三蔵。」ハタと思い付く。
怒りまくった後は、いつも以上に不機嫌な顔をして、部屋に行ってしまった。

「・・まだ寝てないよね。」紙袋を抱え、部屋を出た。


「ま、桃花にはたっぷり“教育的指導”をしておきましたのでもう大丈夫だと思いますよ。」
三蔵の部屋で、八戒が話していた。

「フン。・・・もう、真っ平ゴメンだからな。」苦々しくマルボロを吸う三蔵。
「あはは・・・で、紅孩児の言った事、どう思います?」
「そうだな・・。」紫煙をくゆらす。『桃花から目を離すな・・・そう言ったな。』

「アイツが狙われているのか?」
「そう考えるのが妥当でしょうね。僕らと行動して居るんですから。弱いヤツから片づける
・・戦闘の基本ですし。」
「なぜ、紅孩児がワザワザ言いに来るんだ?」

「さぁ?案外、桃花の事、気に入ったんじゃないんですか?不本意ですけど。」
「チッ・・。アイツを旅から外しても・・もう、関係ないか。」

「ですね。桃花のことは敵方に判ってしまってますから。一緒に行動していた方が、安全ですよ。」

「安全・・か。」ドコが安全なのか・・。しかし、今さら放り出せない。放り出したところで、
一人でも西に向かうだろう。そう言う女だ。


―――コンコン、ガチャッ・・「三蔵ー!起きてる~?」

「・・・お前な、返事を聞かずに開けるんじゃねぇよ。」
「だって、三蔵はいっつも返事しないじゃん!ノックするだけマシって思ってよね。
・・八戒ちゃんと話してたの?」やや、怯え気味の桃花。カナリ教育的指導が効いたらしい。

「僕の用事は済みました。・・・お休みなさい。」八戒が立ち上がる。
「うん!・・お休み~。」距離を取ってバイバイと手を振る桃花に、苦笑しながら出て行った。


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