還暦ばあばあの日常

還暦ばあばあの日常

支援どうしたら?(3)皆に認められたい



T君が6年生の時に(2年前)担任をされたそうです。
初めての経験でした。

T君は、なにかをきっかけに、パニックになり手がつけられないほどに暴れだしたり、友達に暴言や暴力をふるうのでした。
皆と同じように授業は受けられず自分の好きなアニメの絵を描いて1日を過ごし、中断をされると暴れだします。

先生は、まず1日の出来事を記録する事から始めました。

学級活動でも、斑名決めや斑カードつくりのときも自分の好きな絵を描いているだけのT君に一人の女の子が『斑カードに絵を書いて」と言うと自分の書いていた柄の手を止め、にこやかに絵を描きました。

自分の好きなことしかしないT君が友達とかかわり、参加できたのです。
「皆に認められたことを感じ取れたのかな」と先生は思いました。

待つことの大切

給食の時間になっても自分の文は誰かが持ってきてくれるものと思い込んでいるT君。
先生が自分手とって来るように行ってもなかなか行きません。
そこで先生も『取りに行かないで待ってるよ』とT君を待ちました。
10分が過ぎてもなかなか取りに行きません。
しかし、一言「おなかがすいた」と言いました。
先生が『一緒に行こうか』と声をかけると、
「しょうがないなあ」と言いながら取りに行ったのです。

先生自身この経験から『学級の流れからすれば、起こりそうになる。でも、少し待つことが大事なんだ』と思いました。

T君はパニックにおちいるまえには、必ず、暴言と暴力があります。
暴言や暴力は相手の関心を引きたいという手段である事もわかってきました。

それから、先生は、毎朝、T君と相談しながら決めた約束を紙に書いて帰りにははなまるをつけて返すようにしました。

当たり前の約束。
  友達と話をするときにキックや手で乱暴をしない
  他のクラスに入らない
その一つ一つを評価する事により、日々行動が落ち着いてきたといいます。

約束も、禁止だけでなく積極的なものへと発展して行きました。

T君が病気で休みのときに先生はクラスの子どもに、T君の障害について話をしました。

友達に見守られ、学校行事にも多く参加できるようになりました。
運動会の全種目に参加できたことにお母さんはとても喜びました。

卒業式はT君にとって大きなハードルでした。
一人で証書を取りに行ったり、卒業生の呼びかけで、一人で台詞を言うなどです。

1日通しての練習は耐えられませんでした。

しかしクラスの子どもたちは、そんな、T君に付き合ってくれ再度の練習に臨みます。
見事にやり上げました。
T君が席に着けたことに皆から自然に大きな拍手が沸いたのです。

先生は『試行錯誤しながらもT君との信頼関係が作れたのは、学級の人数がスタート時で21人。卒業時には18人と少なかったこと。一人一人の子を大事にした学級作りが出来、T君を仲間が支えてくれました。
これが、30人40人という学級では、個別の対応が出来ないだけでなく、事態が過剰な刺激になって、T君が自分自身をコントロールする事が難しかったのではないでしょうか』と述べておられます。

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