TRAPNEST

教室に行かなくなったいきさつ。


クラブを引退してから、あたしのストレス解消の場所はなくなっていた。
クラスでの人間関係がそこそこうまくいっていたのが唯一の救いだったように思う。
移動教室の時や、休憩時間にどこかに行く時に一緒にいたのが サヤカ
登校・下校・昼食を共にした、 ユウキとレナ
何故か気付けば一緒にいてた ミク
わりと友達の環境は良いクラスだった。でも、クラブをやめたあたしの精神は、どこかのネジが狂ったかのようにバランスを崩していった。
中間テストも終わり、5月も下旬に差しかかったある日。
教室にいると、いつものように聞こえよがしの悪口やせせら笑いが聞こえてきた。
クラブをしていた頃のあたしなら、「なんも反応しぃひんあたしにイロイロ言って楽しいんか?アホちゃうか」とか思って聞き流せてたのに、なんか、その時はすごくしんどかった。
なんか妙に息苦しいし、手は震えるし、冷たくなって汗は止まらない。
休憩時間が終わって、授業が始まると、みんなおとなしくなるから、それと共にあたしの症状も収まったのだけど…
それ以来、休憩時間になるたびにビクビクして、またあのしんどさがくるのかなっていう不安に駆られるようになった。
あたしの最愛の友達のじぃに会うと、そんな不安はどこへやら?となったのだけど、じぃとの楽しい時間の後に訪れる闇は深いものだった。
あたしの歯車はどんどん噛み合わなくなっていってたんだと思う。
息苦しくなって、手が冷たくなって汗と震えが止まらなくなって…という症状が頻繁に出るようになったある日。
サヤカ が「今日、あたし体調悪いねん。だから、あまりにもしんどかったら、ママ(担任の奈美ちゃん)に『帰らせてもらっていいですか』って言って帰っておいでってお母さんに言われてるねん」と言ってきた。その言葉にあたしは反応した。[帰りたいって言ったら帰らせてくれるんや…]と。
実際、サヤカはその日早退したわけだけど。
あまりにもしんどければ、帰れば良いのだ、と気付いた。
毎日毎日あの症状が出て、精神的にも体力的にも限界が近づきつつあった。
なんであの症状が出るのかはだいたい予想がついていたから。
そんなこんなで、6月を迎えた。
学校に行きたくない。毎日そう思いながら、強引に学校に行っていたのだけれど、ついに教室にいれなくなった…
「教室」というこの空間が、あたしには耐えれなくなった。
呼吸は乱れ、浅く早くなり(今思えば過呼吸ですね)吐き気も出てきて、限界だと思いました。
サヤカが廊下にいるあたしの異変に気付いて、声をかけてくれました。
チャイムが鳴って「とりあえず入ろう」というサヤカの言葉にあたしはイヤイヤと頭を振ることしか出来なくて、やっと口にしたのが「職員室行きたい」でした。
その時間、偶然奈美ちゃんは授業が入ってなかったらしく、職員室にいました。
サヤカは奈美ちゃんにあたしを預け、教室に戻りました。
奈美ちゃんに「しんどいから帰りたい」と伝えました。
今でこそ奈美ちゃんは大好きな先生ですが、その時のあたしは、奈美ちゃんが大嫌いでした。第一印象が悪くて…でも、この後で奈美ちゃんの印象はガラリと変わります。
必要最低限の事以外、言葉にしませんでした。
奈美ちゃんは、明らかに様子がおかしいあたしに何も言わず、保健室に内線をして「じゃぁ、とりあえず早退させて下さいっていう紙を保健室でもらってきて」と言ってきたので、言われた通りにすると、帰らせてくれました。
その次の日も、過呼吸と吐き気に襲われ、またも職員室へ。
奈美ちゃんに「しんどいから帰りたい」というと、今度はタダで帰らせてもらえませんでした。「しんどいって、体が?それとも心が?」
核心をつかれたようなイタイ質問でした。
「………」
「とりあえず、ここ座ろうか」と、横の先生の席に座らされました。
「で、どっち?」
さすが奈美ちゃん、白黒はっきりさせないと許してくれません。
「……心が。」
「心がしんどいから教室にいれないの?」
あたしは頷いた。
「最近、少し様子がおかしいなって思ってみてたんだけど。昨日も早退したしね。なんでしんどいのかな。何があったの?」と言われました。
あたしなんかの様子を見てたのかっていう驚きが凄くて、一瞬求められたことを忘れそうになりました…
『何があったの』と言われても…と思って悩んでると、
「教室にいれないくらいしんどいんでしょ?じゃぁ解決しないといけないじゃない?」と言われ、もうどうにでもなれって気分で、最近しんどいと思ってることと、6年間のいじめについて話しました。
奈美ちゃんの次の言葉にあたしは驚きました。
「だいたい誰かくらい見当がつくね。その子たち呼び出して、そんなことしないようにさせようか?」と、言ってのけたのです。
「……(しばらく間)えぇ!?」
「それ、うちのクラスでは誰?」
と、しばらく犯人さがしです。
それは意外だ~とか、やっぱりそいつらは何もしないわよね~とか。
誰が中心で、誰が無関係かを話し終わったあと、
「んじゃぁ、呼び出してやめるように言っておくわね」と奈美ちゃん。
「…それは…ちょっとぉ…」と言うと「なんで?」と聞いてきます。
「それ言って、ひどくなったらイヤだし…いじめてくるの、うちのクラスだけじゃないし…それならこのままの方が…」
「それは大丈夫。もし、そんなことになったら、全力であなたを守るから。」
あたしはこの言葉に感動した。
いままでの担任の先生で、そこまでしてくれたのは奈美ちゃんだけだから。
奈美ちゃんは、うちの学年団にきたのが今年だったから知らないだろうけど、今まで一緒にいた担任ならあたしのいじめに気付いててもおかしくない。こっちが手を伸ばさなかったからかもしれないけど、守ってくれなかった。あたし自身、いじめにわりと平気だったからかもしれないけど。
そこまで、あたしに尽くしてくれる先生に出会ったのは初めてだった。すごく嬉しかったし、頼りたかった。でも、奈美ちゃんの申し出をあたしは丁重に断った。いくら守ってくれるとはいえ、四六時中一緒にいるわけではないのだから、ひどくなったら困ると思ったから。
教室には、少しずつ行くことにした。行かない間は教育相談室を使うことになった。
教育相談室に行けるようになったものの、あたしの学校嫌いは増すばかり。
2週間、毎日遅刻や早退や欠席をするようになっていた。実際、体調はめちゃくちゃだった。
期末テストが近づいたある日。
教育相談室での人間関係に悩んでいたあたしは、カッターという刃物に出会った。
教育相談室と言う場所は、居心地が良いように見えてそうでもなかった。昔からの知り合いがいたから。
話の輪にいれてもらえなかったり、症状が軽いから、と邪魔者扱いされたり。常にそんな態度を取られてたワケじゃないけど、みんなが不安定になった時に取られる態度だった。
辛かった。
ここにきてまで…?と思った。
しんどくてしんどくて、もぅあたしなんかいらない、死んでしまえばいいんだ、死にたいって思った。生きるのはイヤだと。
期末試験のノート提出のために、カッターでプリントを切って貼っていたのだけれど。
カッターを手にとった所まではおぼえてるけど、それ以降は覚えてない…
気が付けば、左手首には、赤い線が4、5本あって、ミミズ腫れになってた。


(あとで追加w)

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