ファレノプシス~幸福をあなたへ~

ファレノプシス~幸福をあなたへ~

結婚秘話1


目の前に、ウエディングドレスを着たフィリエルを見て、ルーンはつぶやいた。

   ~2ヶ月前~
ハイラグリオンの宮廷の廊下を歩いていたフィリエルは、ふと庭園に目を向けた。
いつもの様に、レアンドラの周りに人が集まっている。いつもなら、このまま通り過ぎるところだが、ふとレアンドラと目があった。
「やぁ子猫ちゃん。今日はお連れはいないのかい?」
「私なんかにかまっていいんですか?」
声を掛けてくるレアンドラに、フィリエルは皮肉った返事を返した。
「いや、君のおかげで助かったよ。そろそろうっとうしくなってきたところだったんだ。」
見ると、ほとんどの人が男だった。
「いいんですか?ほっといて・・・。」
遠慮がちに言うフィリエルに、レアンドラは顔をしかめて見せた。
「どうせほとんど全員が、王位を狙って近づいてくるヤツなんだから・・・。」
(それはそうだけど・・・。)
そう言うのなら、フィリエルにも経験がある。
ハイラグリオンに来た当初は、物珍しさからか、フィリエルに近づいてくる男がたくさんいた。
最も、すぐにルーンに追い払われたが・・・。
「君はいいなぁ。さっさと一人に決めてしまって・・・。こんな苦労しなくていいんだから。」
「何ですか?それ・・・。」
フィリエルがムッとした声で返すと、レアンドラは意地悪く微笑んで言った。
「君はどうしてそう奥手なんだ?そんなだと、彼に逃げられてしまうぞ。」
「あなたには関係ありません!」
フィリエルが怒って言うと、レアンドラは、さらに楽しそうに言った。
「なんなら、結婚でもしてしまえばいいんだ。そうすれば、彼の不安もなくなるだろう?まぁ、君に限ってそんなことはないと思うが・・・。」
「・・・なんでそんなことが言えるんですか?」
「おや、じゃあ君に結婚する覚悟があるか?ないだろう?」
「あります!!」
「ほぅ。じゃあしたらいいじゃないか。式を挙げる時は、私もぜひ呼んでくれ。挙げるんならね・・・。」
フィリエルが反論しようとする前に、レアンドラは、横道にそれてしまっていた。
一人残されたフィリエルは、怒りに震えながら一言つぶやいた。
「やってやろうじゃないの!!」

                      〈2へ続く〉


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