桜工房(だったところ)

桜工房(だったところ)

#2



 天上の楽園の下に広がる、地上で最も大きな大陸のほぼ真ん中にその学園は存在する。

 聖エルダー学園。
 世界で最も古い歴史を持つ学校である。

 千年ほど昔、この広大な大陸の全土を征服した王国があった。
 その時、偉大なる王が建造を命じたという巨大な城は、城壁に囲まれたその内部に、いくつもの町や田園、森や湖があったというほどの大きさを誇り。一説には、その広さは城壁の上を一周するのに二日間掛かるとか、掛からないとか。

 しかし、栄えるものはいつかは滅びるもの。偉大なる王の没後、王国の影響力は次第に衰退し。建国四百年目にして王国は歴史上から消滅した。
 やがて大陸には、大小合わせて、千以上もの国が存在するようになり。大陸全土を巻き込む戦乱が二百年間続いた。
 その間、戦火から逃れる人に打ち捨てられた巨大な城は廃墟となり。遺跡とまで言われるようになる。

 それから百年後。その廃城の跡に、渡り付いた人々がこの地に新たな都市を築き、未来ある若者のために学校を都市の象徴として作り上げた。

 それが今から三百年前のこと、聖エルダー学園の誕生の瞬間であった。

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