桜工房(だったところ)

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#9


#9 友の激励


 一体どこをどう間違えてしまったのか、突如スポーツ祭典のライバルが出来てしまったダイス。

 様々な不安要素とその出来事のショックで、彼はその日の授業をまともに受けることが出来なかった。
 ただ時間だけがゆっくりと過ぎていくのを待つだけ――そんな有様だった。

 帰りのホームルーム終了後。
 ダイスの席へ、オペルがやって来た。
 今朝のアオイを口説いていたときの顔とは、まるで別人のような真剣な面持ちで彼は言う。

「おい、ダイス。お前、今日は具合が悪いんじゃないのか?」
「オペルか・・・。いや、ちょっと悩み事を抱えすぎてな」
「お前は何でも抱え込みすぎる傾向があるからなぁ。んで、今回の悩み事っていうのは何だ? オレにできることがあれば、手を貸してやらんこともないが・・・?」
「そうは言われても何から話せば良いのやら――」

 ダイスは散々悩んだ挙句、ソージンからの挑戦状の話だけをすることにした。

「――というわけで、有無を言わさず。オレの事をライバルと決め付けて去っていったんだよ」
「Hクラスのアフロンか・・・。確かに一方的なところがある奴だからなぁ」オペルは苦笑した。
「まったくだ」ダイスはため息を吐いた。
「で、お前はどうするんだ? 挑戦状に応じるのか?」
「まさか、しないよ。ただでさえ、生徒会の仕事が忙しいというのに・・・」
「そうか・・・」

 オペルは呟き、何となく窓の外を見る。
 外では、屋外で特訓をする部活生徒が徐々に増えてきていた。

「オレが思うに――そいつの挑戦受けてみるのも面白いと思うのだが?」
「は? 冗談だろ!?」ダイスは驚いた顔をする。
「冗談じゃないさ。お前、前々からアオイちゃんのことが好きだったんだろ?」
「んな・・・!? バカ、こんな教室のど真ん中で!!」 

 ダイスがとっさいにオペルの口をふさいだので、オペルは「モガモガ」と呻った。

「何をするんだ!」
「うるさい! おしゃべりめ!」
「わーった。わーった・・・」オペルはかたをすくめた。「だけどな、お前。前々から、告白するといいながら、もう一年経ったんだぞ?」
「まだ一年は経ってないよ。あれは・・・秋の学園祭のことだったからな」
「あ、そうそう。何か切っ掛けがあればそのときに告白といっておきながら、彼女が格闘技大会で優勝したもんで気後れしたんだろ?」
 オペルはそう言って、アオイが優勝した瞬間ダイスが見せた絶望にも似た顔を思い出し笑った。
「ま・・・そんところだ」ダイスは遠い目をする。
「だからさ、お前も少し自信をつけるという目的で、スポーツ祭典頑張ってみたらどうだ? そう思えば挑戦状を受けることにも少しは意味が出てくるんじゃないだろうか?」

「・・・なるほど」
 しばらく考え込んでから、ダイスは頷いた。
「良い案かもしれないな」
「だろ? 後、三週間はあるんだからもう特訓しようぜ? オレも協力するよ」
「あ、ああ・・・!」

 友の激励に少し心が軽くなったような気がしたダイスだった。



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