良医を選ぶこと

~良医を選ぶこと~

養生の道は、自ら病を用心するばかりでなく、
医者をよく選ぶことも大切です。
かけがえのない両親の身はもとより、自分自身の身も
凡庸な医者の手にゆだねるのは危険であります。
医者の腕の良否を知らないで、父母や子や孫が病気になった時、
へたな医者に身を任せることは、孝行と自愛の心に反するのです。

医者を選ぶには、自分自身で医術に詳しくならなくても
医術の大意さえわかれば、医者の善し悪しは判断できます。
これは、たとえば画画に巧みでなくても、
筆法を習い覚えていれば、筆画の巧拙が分るのと同じです。

学問があって医学に詳しく、医術に心をくだき、
多くの人の病気を診てその変化を知っているのは良医です。
医者になったのに医学を好まず、医の道に志がない、
また医書を多く読まない、たとえ多く読んでも、
自分でよく考えるということをせず、理に通じていない、
あるいは医書を読んでも、旧説にとらわれ、
時代の変化を知らない人は、卑しい藪医者なのです。

俗な医者は口先がうまいものです。
「医の学問と治療は別で、学問は病気の治療に役立たない」
などといって、自分の無学をごまかします。
世俗の人情や物事によく通じ、
権力者や身分の高い家にへつらって近づき、
虚名を得て、運良く世間で用いられているものが多いのです。


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