シングル母のアメリカ暮らし

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入学式と卒業式



プリスクールプログラムができたのは2年前、うちの息子たちはキンダーからの入学である。

小さな校舎によちよち歩きの2歳児から、おっさんとも見まがうごとく背の高い8年生までがウロウロしているさまは、なかなか興味深いものがある。

この学校では、いわゆる入学式、卒業式といったセレモニーが年2回おこなわれる。

レイバーデイ明けの9月、新1年生から8年生までの全生徒が一同に会場に集まる。
正確には2~8年生が、最初に集まっているのだが。1年生はお部屋で待機。
最初に教師、ボードメンバーなどが紹介され、次に生徒が1学年ずつ挨拶をする。
8年生から順番に、それぞれの教師から名前を呼ばれ、もしくは自ら名乗って一人ずつ前に出て挨拶する。最後に2年生の紹介が終わると、教室から、新1年生が一列に並んでやってくる。

この時が彼らの「学校正式デビュー」である。

新しい先生がひとりずつ名前を呼び、握手をしていく。
生徒たちの顔が嬉しさと恥ずかしさで紅潮している。
そして先生が全員の紹介をすませた時点で、8年生の生徒たちが赤いパラの花を1本ずつ、1年生に手渡していくのだ。

ようこそ、新1年生。

時は過ぎ、8年生が学校を巣立っていく最後の日。
1年生から7年生までが大きな円を描いて校庭に座っている。
円の中央で、先生の挨拶が始まる。
まずは今年度で学校を去っていく先生方に、花束が贈られ、励ましの言葉が語られる。
そして8年生が登場するのだ。

担任の先生が8年生に花向けの言葉を贈る。
彼らが1年生として彼女の前に現れた時の初々しさ、
子供から、ティーンに成長していくさま。
8年間、同じ教師が同じ子供たちを見守ってきたのだ。
そして今日、その子供たちが旅立っていく。

入学式の時のおかえしに、1年生が赤いバラを持って、8年生に手渡していく。
そしてその生徒のひとりひとりに、白い鳩が手渡される。
最後の一人に手渡された時点で、担任の「私の鳥たちが今、飛んでいこうとしています。」という言葉とともに、鳩が一斉に解き放される。
鳩は空を大きく旋回し、やがて視界から消えていった。

卒業式というのはいつも切なく感動的だが、私はこの鳩のセレモニーが好きである。

こうした区切りの意味を持つ「式」というものは、数ある学校行事の中でも最も大切なものだという気がするのだ。

1年生、こんにちは。
そして8年生、また会う日まで。

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