日進月歩

日進月歩

普通の裂け目・5


午前3時37分を指していた。

眠れない夜は続く。
永遠かと思うほど。
長く、永く。

どんなにため息を吐いたところで
眠りにつけるわけではない。
そんな事判っている。
しかし、静まり返った闇の中では
それしか、ため息しかすることが無かった。

何十回ため息を落とした後だろうか。
ようやく眠りにつけた頃
朝が来る。

学校のお時間だ。

帰宅したところで本をめくる事しかすることが無く
夜が来る。

またため息を何十回と落とし
朝が来る。

そんな毎日だった。
ただ虚ろに時を過ごすだけ。
何も判らず。
ただ
ただ
ただ、虚ろに。

そんな中だった。

詩夷ちゃんに出逢った。

変われないと思っていた自分が
ただ虚ろに時を過ごしていた自分が
消えていくような気がした。

些細な事だけど
詩夷ちゃんが1人ぽつんと居る隣で
寝息をたてるのを止めようと。

些細な事だけど
昼に朝の挨拶を
詩夷ちゃんと交わすのを止めようと。

些細な事だけど
朝の時間を
詩夷ちゃんと共に過ごそうと。
もっとたくさん話そうと。

些細な事だけど
「朝」の時間を夢の中ではなく
現実の世界で過ごそうと。


口に出してそれを告げたのは
夏が目の前に見え始めた少し曇った日だった。

2人の目の前では
間近に迫った体育祭の練習が繰り広げられていた。
輪の中に入れず先生の群れから少し離れ
ぽつんと2人で座っていた時だった。

今年の応援の旗はどんなのだろうとか
何組の応援はきれいだとか
中学校の頃はこんな競技があっただとか
これから始まる体育祭の話をしたり。
誰がかっこいいとか
あそこのプリクラ機はいいだとか
凄く女子高生らしい話をしたり。
そんな話をしていて、ふと会話が切れた。
口からは知らないうちに、言葉が漏れていた。

「朝からも…起きてようと思うんだ。」

言って、自分で吃驚した。
これを言って何になるのかと自分を責めた。
気まずいあの頃の雰囲気に戻らないか、心配でしょうがなかった。

しかし、そんな桧埜の考えをよそに詩夷は
「え?ホント?!そうなの?
 あのね、アタシも、桧埜ちゃんと色々話したいなって思ってたんだ。
 朝一番に朝の挨拶、したいと思ってたんだ。」
と、手を叩いて喜んでくれた。

どんなに嬉しかったか、なんて口では言い表せなかった。
些細な変化をこれほども喜んでくれるんなんて。
純粋に、詩夷ちゃんの気持ちが嬉しかった。


眠れぬ夜が続いても
眠らない朝を過ごそうと。

眠れぬ夜が寂しければ
眠らない朝を楽しもうと。

ただそう思った。
きっと 詩夷ちゃんとなら。

そう思った。



<Production by世古月 柚>

くそー…もっとまともに文が書きたい…

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