Polymnia

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たかね VS見聞北高校


私はユリの花になりたい、そう!あの高嶺の花なユリ!!
でも現実って甘くないものよね・・・。


【たかね】


「るう、学食行こうよ。」
「え?うん。いいよ。」
私の名前は藍村るう。夢は「大和撫子」。ここはゆずれない。
でも現実は正反対・・・。
身長170cm、そしてバレーボール部のエース。
仮入部の時に茶道部の茶碗を握り割った。スポーツテストで男子に圧勝した。
そしてバレーのせいで足は筋肉だらけ・・・。
ブロックをすると相手がおびえることから、ついた名称向日葵ブロック。
どこかの魔法使いさんはこんな私を奇麗なユリの花にしてくれないかなぁ!!
「それでね・・・ってるう聞いてる?」
「うん、今度の大会のことでしょ。でも自信ないなぁ・・。」
隣にいるのが横見智寧(よこみ ちねい)。
彼女もバレー部だ。だが私と全く違うのは彼女はマネージャー。
愛くるしい外見に世話焼きな性格。男子のハートを射止めないわけがない。
かく言う私も彼女はかわいいと思う。一度なんで彼氏を作らないのかと聞いたら、
私は男には興味がないと言われた。・・・・・・コホン。
「だって高梁さんいるじゃん。あの高校。」
「う・・で、でもるうならいけるよ!!」
不思議に彼女にそう言われるとホントにできそうな気になる。
「まぁ頑張ってみるよ。それより急がないと学食なくなるよ?」
「はぅぅ!!行かなきゃ!!」
       ・
       ・
       ・
「るう!!」
先輩にトスを上げてもらい、スパイクを打つ。
バンと心地よい音が体育館に響く。最高の気分だ。
「るう、ナイススパイク!!明日も期待してるよ!!」
「いえ、先輩のトスがよかったからあんないい角度でうてました。」
「あはは。またまた謙遜して。そういうところがるうはかわいいなぁ。」
頭をなでようにも、届かなく、少しむかっとしている目の前の先輩は芝崎桃子(しばさき とうこ)。
身長はそれほど高くないのだが跳躍力を買われ、今の位置にいる。
それだけが先輩のすごいところじゃなくて、先輩は手首がものすごく柔らかい。
だから球の威力を最低限まで殺してトスを上げてくれる。
これほど楽なものはない。先輩がいなければこのチームの攻撃力は半減するであろう。
「こらこら、喜ぶのは明日だよ。勝てたらだけどね。」
そう桃子先輩を制止するのはセンターの神部郁(かんべ かおる)先輩。
彼女は彼女ですごい。何がって手のリーチが。
だから守備範囲が広く、それに視野が広いのでサポートもできる。
さすが我らが部長だ。
我らが有王高校バレー部は私、桃子先輩、郁先輩で持っているとよく言われる。
でもそれだけじゃない。バレーは個人種目ではないんだ。
個人が光っているだけのチームならばいつかは崩れる。
この3本柱以外にも、サーブをほとんどミスしない香奈(かな)がいるし、フェイント上手の好美(よしみ)もいる。
副部長の紗枝(さえ)先輩の公式戦ミスショット率5%という尋常じゃない数字も欠かせない。
そんなうちのチームに誇れるものがある。それは天才がいないことだ。
「お疲れ、るう。」
部活終了のミーティング前の休憩中、智寧にタオルを渡される。
「ありがと、智寧。流石マネさん。」
「えへへ。ありがとうだよ。そうだ、今日は調子あんまりよくないみたいだったね。」
ホントよく見ているな、こいつは。
「正直言うとね。今日の体育で腰うってさ。ちょっとヒリヒリしてたり。」
しょうがないね。と智寧は救急箱から湿布をとり出し、てきぱきと背中に張ってくれる。
「よし、これでいいよ!!」
ポンポンと背中をたたくのは言わなかったことへの罰だろうか。笑顔なのがさらに怖い。
だが薬局の娘だけあって、どの症状にどの薬を使えばいいかなどは熟知している。
頼りにしている。
「そだ、智寧~。この前言ってた薬ってあった?」
桃子先輩がひょっこり顔を出す。
「はい、これですよね。『身長が大きくなる薬』」
「バッ!!声に出すなよ~!!」
身長が低いことをやはり気にしているようだ。下手に話を振るのは嫌味になるので愛想笑いをしておく。
「どうしたの、るう?」
後ろから郁先輩、もとい郁部長に話しかけられる。
「あっ郁先輩。別にどうしませんよ。」
「そう?なら私が話すけど・・・明日は頑張ろうね。」
「こっちは先輩たちが上げてくれたボールをきっちり相手に送り返すまでですよ。」
「うん、模範回答だね。明日は高梁さんが強いけど、あの人はライトへのスパイクが強いから、
紗枝に任せれば大丈夫だね。」
「ホントあの先輩すごいですよね・・・。」
「あの子の動体視力なら時速160kmの豪速球までコンマ送りで球が見えるらしいよ。」
それはすごいなんてもんじゃない。すごすぎ・・・。
先程の言葉を撤回するが、うちは天才はいないが、個々の能力はスポーツ向きだ。
紗枝先輩を羨望の眼差しで見るときょとんとされる。
無口なところが動物のように愛らしいとうちの男子生徒に人気らしい。
ん~私には無理だ。そんなことできない。
なにはともあれ、明日の大会についてのミーティングは15分くらいで終了した。
明日のスターティングメンバーは、
FL→藍村るう【2年】  
FC→芝崎桃子【3年】  
FR→金田好美【2年】  
BL→駿河香奈【2年】
BC →神部郁(チームキャプテン)【3年】
BR→葛野木紗枝【3年】
まぁいつものメンバーだ。最初からこれにしていくということから明日の相手の実力が生半可ではないことがわかる。
先程先輩にも言ったが私にできることは勝率を求めることじゃない。ボールを相手コートに落とすことなのだ。
「頑張っていこうね、るう。」
「あっ香奈ちゃん。私も香奈ちゃんのマル秘サーブ期待しているよ。」
「アハハ、あんなのまぐれでネットに当たっただけだよ。」
彼女にサーブのコントロールで勝てる人などこの学校にはいない。ホントに期待しているよ。香奈ちゃん。
さ、明日のために今日は帰ったあとランニングでもしておこうっと。
「あっるうちゃん。帰るなら一緒に帰ろう~。」
「うん。行こう、智寧」
「「お疲れ~」」
私と智寧は他愛もない話をしながら帰宅した。

「ただいま。」
「ただいま~そしておかえり。」
「智寧もアホなこと言ってないで、ほらほら。」
そう、智寧はうちの居候だ。だから帰りも一緒。
なんでもお母さんのお兄さんの娘とか。もっとも叔父さんには会ったことがないのだが。
「おかえり、るうに智寧ちゃん。ご飯出来てるよ。」
お母さんが食堂からひょっこり顔を出してそう言う。私たちは手を洗ってから食堂へ向かった。
「あっ、るう姉にちー姉。おかえり。」
弟のともの笑顔の出迎え。うん、男の子だけどかわいらしい、なんでもバレンタインのチョコくれって言われたらしい。
私なんて渡そうとするだけでおびえられるのに・・・。
ん・・・今日はトンカツか。明日も勝つってか。
モグモグ・・・・
「おいしいね、今日のとんかつ。」
「あらそう?実は一工夫したんだなぁ。」
「シソのいい香りが。」
「るう・・・私が言おうとしたのに。」
「あっごめ・・・ちょっとお母さん!!泣かないで~!!!」
        ・
        ・
        ・
「おはよう、みんな。よく寝れました?」
部長が朝一番にみんなにそう聞く。まぁみんな寝れましたしかいわないのだが。
「うちの試合は何試合目?」
桃子先輩が智寧に聞く。
「え~っと・・・3試合目です。」
「ん。わかった、ならるう。ちょっとウォーミングアップにつきあってよ。」
「は、はい。」
私たちは体育館から出た。
「ほーれ。」
「はい。」
トスし合いながら話す。
「そうだ、今日はどう行く?」
「なにがですかっと。」
少し強めに打っても威力をすべて殺される。だからこっちはいつでも打てる。
まぁ練習なので打たないが。
「ほいっと、いつものパターンで行こうかな?」
「高梁さんのスパイクが要注意ですね、うわわっ。」
先程の仕返しか、私の苦手な場所にトスを上げられる。
「紗枝ちゃんと郁がいるから大丈夫かなっと・・・えい!!」
練習だというのにスパイクを打ち込まれた。もちろん意表を突かれたため打ち返せない。
「ま、練習にはなったね。本番も頑張ろうよ、るう。」
「先輩、いつも卑怯ですよ。」
「アハハ、ああしなきゃいつまでもるうは続けそうだから。」
確かに打とうなんて気もなかったし、やめる気もなかった。
「ほら、2試合目は臥布高校と市軸高校だよ。気にならない?」
「臥布は嫌いなのがいるんで。」
「あっそうだったね~うぷぷ。」
こういうときの桃子先輩もいやらしい。何が楽しいんだか。
臥布のあいつはただの腐れ縁!!そりゃあ一時期そういう心を抱いたことも・・・って何言おうとしてるんだよ、私。

「おっちょうどやってるよ、るう。途中結果は・・やっぱり臥布が勝ってるかぁ。」
そりゃあそうだろう。臥布の実力はここらで1,2を争う。
辺りをきょろきょろ見回してみるが、どうやら奴は今日来ていなさそうだ。
男子が右コート、女子が左コートだったからいるかなと思ったのだが。
少し安心すると、背後から突然視界をさえぎられる。・・・嫌な気が。
「だーれだ?るう。」
やっぱり。
「話しかけないで。友樹」
ばれたか~と笑顔で手をどける。そして桃子さんお久しぶりですとあろうことか先輩にも話しかける。
「なにしてるの?早く試合見に行きなさいよ。」
「おま、幼馴染かつ元彼氏にそんな言い方ないだろ~。」
「あれは一時の気の迷い!!ほら、桃子先輩。行こう。」
強引に先輩をひっぱるが、先輩は怒らなかった。そこが優しいところなのかも。
全く、朝から嫌なものを見た。

―ではただいまより、第3試合、有王高校と見聞北高校との試合を始めます。互いに礼!―
「「おねがいします!!」」
礼をした後、チームで円陣を組む。郁先輩が掛け声係。
「がんばっていきましょう。せーの!」
「「おー!!」」
そして各自のポジションにつく。
審判の笛の音で試合が開始される。
ピー!!
最初は香奈ちゃんのサーブ。最初は安全に攻める気なのか、安全サーブことアンダーハンドサーブだ。
嫌らしいことに無回転だ、少し揺れるので打ちにくい。
香奈ちゃんの打ったサーブはきっちりラインぎりぎりに突き刺さる。
アウトかセーフか迷った選手は対外最初はアウトととる。
もちろん入っているけど。
パスン!!
まずは手堅く1ポイントだね。
次は・・・おっ香奈ちゃんが少し強気に来た。フローターサーブ。
速い、コントロールが利く、モーションが早くてタイミングがつかめない。
うちのチーム内でも嫌われているサーブだ。
これがバシバシ決まり1セット目は18対12と善戦していた。
このセットはもらったなと思ったその時!
バスン!!
向こうのスパイクに対処できなかった。
「ちょ、るう。どうしたの!?」
後ろから郁先輩に言われる。自分でもわからない。
ただ高梁さんのスパイクが読めなかった。
結局ブロックできないでこのセットは逆転されてしまった。
「はい、スポドリ。」
「ハァハァ・・・ありがと智寧。」
監督がポンポン手をた叩く。
「はい、メンバー交代するよ。るうの代わりに桜入りな。」
「!?」
「は、はい・・・。」
まぁしょうがない結果か。だってとれなかったし。
少しショックを受けているとピーと審判の笛の音が聞こえる。
よし、いってきなと監督がメンバーに声をかける。
そのあとだ、私の横に来た。
「なんで下げられたかわかるか?」
「・・・私が取れないから、ですか?」
バーカと頭を小突かれる。
「違うよ、あのコートにいるより高梁のスパイクの種を知るにはいいだろ?」
あっなるほどと思い、その監督の期待に答えれるように私は彼女の足を見た。
・・・・・・。
バスン!!
13-6
・・・・・・。
ポスン・・・
14-6
「・・・わかった!!」
「そうか。やっとか。よし行ってこい!!」
ここで私はコートに戻る。おかえりと言われ少し嬉しかった。
あちらのサーブ、紗枝先輩がきっちりレシーブ。桃子先輩のトス。
そして私のスパイク、この試合の中で自分自身一番良い出来だったと思う。
ここで気を抜いたらいけない。今度は向こうの攻撃が来る。攻略できない限りこちらは勝てない。
だが・・・種をみんなが知れば勝てる!!
サーブを入れて私はBLのポジションにつく。
高梁さんの方にトスが上がった!!足は・・・あがっていない!!
「フェイント!!」
高梁さんはびっくりしたのか球を打てなかった。よし、あの反応からして私の判断はあってる。
ここでタイムアウト。
「るう、なんでフェイントってわかったの?」
紗枝先輩に聞かれる。
種はこうだ。
なぜスパイクを見切れなかったかと言うと、『速すぎる動作』のためだ。
クイックともいうのだが、高梁さんのは一味違う。
フェイントもクイックで行えるのだ。これは普通にかまえていては反応できない。
だが監督の指示で彼女の動きを見ていると、癖があったのだ。
それは、フェイントの時は『腰を曲げる』のだ。なぜかは知らないが。
それさえわかれば怖くない。
「・・・なるほど。」
先輩と監督がふむふむと感心する。
「じゃあ反撃だ!!いってこい!」
「「はい!!」」

種がわかれば怖いものなどなく、この試合は3-1で勝った。

「お疲れ~るう。」
帰り道で智寧に言われる。
「いやいや、マネージャーこそお疲れ様。
「ううん、私なんて見守ることしかできないからね。」
それで充分だよ。
「るう、今日かっこよかったじゃん、明日も頑張れよ。」
後ろから自転車で走ってきた友樹に言われる、もちろん無視。
すると彼は一時停止し、まじめな顔でこちらを向く
「・・・お前まだ足完治していないのか?」
「別に。もう完治してるから心配しないで。」
「そっか・・・少しかばってるように見えたから。」
「その気遣いはありがとう。じゃあね。あんたも頑張りなさいよ。」
任せろと友樹は去って行った。
明日はまぁ行ってはいけないが格下高校だから楽勝だろう。
今日は疲れたぁ。明日も頑張っていこうっと!!

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