Polymnia

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住所不定年齢不詳 その1


カーテンのシュシュッと音と同時に心地よい日の光が入る。
「ん・・・ん。あっおはよう。テトラ。」
「はい。おはようございます。」
俺たちの出会いは衝撃的な夢物語だった・・・。


「住所不定年齢不詳」


俺の名前は加藤秀汰。24歳。
今は専門学校に行きながらアパート(一人暮らしをしているのだ)の近くの飲食店でバイトをしている。
そこの飲食店の店長にはよくしてもらっている。バイトの日はバイト終了後晩御飯を食わせてくれているし、
なかなかの無理も聞いてくれる。
で・も!!それが目的じゃないんじゃないんだなぁ、これが。
ここで同じバイトの女の子、須藤梅ちゃんのことが気になってるんだよなぁ!!
向こうは俺がそうやって思ってるなんてこれ~っぽっちもわかってないだろうなぁ。
はぁ・・・虚しくなってきた。
そんな俺にひゅーっと風が吹く。
そうだ、貯めたお金でヒーターを買おうと思った。
性格上突然思いつくことが多い俺。まぁ苦労してないんからいいけどね。
そう思ったらさっそく行動する。現在地から約5分の距離だった。
店に入るとぱぁーん!!と何かが破裂する音がした。
「「おめでとーございまーず!!」」
店員に囲まれてそう言われる。
「へ?なんのことですかねぇ?」
店員はニコニコ笑顔でこちらに近づいてくる。名札を見る限り店長だ。
「ここの店も今日で一億人来場しましてね。」
数えてたんかいと心の中でツッこむ。
「そこで、あなた様が数えで一億人です!!」
数えて、じゃなくて数えで?おいおい一文字違いが大きなブレを生じているじゃないかね。
「ってなわけで。」
どういうわけで!?
「ここの紙に住所と名前を記入してください。豪華な賞品が贈られます。
ち・な・み・に。ここだけの話一億円、いや一兆円は下らない代物ですよ。」
「一兆・・・。」
その言葉が耳の中で何度もエコーする。そうして何も考えずに住所を書いてしまった。
そして目的を果たさずぼーっとしながら家に帰宅した。
当初の目的なぞ忘れていた俺がいた。

家に帰宅してまずは挨拶。これは習慣みたいなもの。
もちろん誰もいないのだが。
そしていつも思うのだ。いつか迎えに行くよと。
誰をと言うのはまた別の時のお話。
ピンポーン・・・・などという便利なものはこの部屋にはない。
コンコンというちょっぴりレトロな音がする。
はーいと扉を開けると宅配業者の人らしき人がいた。
「あっ加藤秀汰様でいらっしゃいますか?」
「は、はい。」
「これを届けに参りました。こちらにサインをお願いできますか。」
言われた通りにサインをすると宅配業者は手際よく宅配物を家の中に入れて帰っていった。
ドクンドクン
心臓の高鳴りを俺は確認する。ここに一兆円がいるのだ。
ハァハァと少しヤバイ息遣いをしながらペリペリと段ボールのガムテープをはがす。
剥がし終えばっと段ボールを開くとそこには一糸まとわぬ女性の姿があった。
「・・・・・なんだ、これ?」
とりあえず説明書がないか探してみる。すると案外簡単な場所にあった。
よくわからない女性のへそのあたりにあった。
説明書を手に取り目次の次のページをめくる。
すると起動方法があった。
「なになに・・・GT-1974テトラの起動方法は耳元でおはようテトラと言うだけです。
なお起動者は本体を受け取ったご本人以外には起動できないようにしてあるので大丈夫です。
さぁ、あなただけのロボットGT-1974テトラを起動してあげてください!!・・・・だってさ。
耳元で・・・。」
想像しただけで少し恥ずかしくなるがこのままここに置いておくわけにもいかない。
起動するならその方が邪魔にはならないはずだ。
ドクンドクン・・・。
こんなにも緊張するものなのだろうか、それとも俺が根性無しなだけ?
いや・・・この子の顔が綺麗すぎるからだ。
「はぁ・・・お、おはよう、テトラ。」
少し言い淀んだ感もあるが言いきる。するとよく聞く電子音のあとテトラと呼ばれる少女の目が徐々にあいていく。
そして上体を起こした。
「~~~~~~!!」
男として見たいが見てはいけないものが見えて俺は眼をそらす。
彼女は何も反応しない。ただただピピピと音を立てながらぶつぶつよくわからない言葉を言っているのだ。
そうしてて1分くらいたったか。彼女は立ちあがった。(俺がさらに赤面して顔を隠したのは言うまでもない。)
「こんばんは。初めまして。みんなのアイドルテトラちゃんです。」
「・・・・はい?」
あまりに素っ頓狂な発言に俺は首をかしげてしまった。
彼女は俺のリアクションに違和感を感じたようだ。
「違います・・・か。」
「えっ、そりゃあ・・。」
冷静を装うために先程入れておいたコーヒーを口に含む。
「ならこれかな・・・。コホン、はじめまして!!お兄ちゃん!!」
「ブホッ!!」
冷静を装うためが逆にあだとなった。口から盛大に噴き出す。
「ゴホッゴホッ!!」
「大丈夫?お兄ちゃん。」
彼女は純真な顔つきで覗き込むテトラ。うっ、かわいい。
「とりあえずお兄ちゃんって呼ぶのはやめて、服を着ろ~!!!」
これが彼女との奇妙な夢物語の始まりだった・・・。

彼女(?)には俺の服を着させた。そこでやっと俺は落ち着け、彼女と向き合った。
「俺の名前は・・・。」
言いきる前に彼女は嬉しそうな顔で話しだす。
「加藤秀汰様です♪」
「・・・・。じゃあ君は何?」
「GT-1974テトラです。テトラとお呼びください。秀汰様のお役にたてるように作られました。
秀汰様の命令には喜んで従います。何なりと命令を。」
「はい先生質問。」
ピッと手を挙げるとはい、秀汰君と指さした。
(ううむ。なかなか空気が読めるな。)
「それは君が嫌な命令でも聞けるの?」
「そうですね。ただ秀汰様を殺せだのそういう起動者自体を傷つけることはできなくなっております。」
「なるほど・・・つまりなんでも言うことを。」
また言いかけのところでテトラは話しだす。
「聞きます。」
「・・・・。よーしテトラ。最初の命令だ。1番、俺のことは適当に読んでもらって構わない。」
「はい。なら秀汰様とお呼びします。」
「2番、俺がこれをやってと言って大変なようなら呼ぶこと。」
「私は一応通常の人間の3倍の速度で動けます。」
「3番、お互い笑顔でいること。」
「はい。」
「最後にこれが重要だ。人が話している途中に口をはさまない。わかった?」
「あんまりわかりません。」
彼女の即答に肩を落とした。
「でも・・・秀汰様がしゃべり終わったと判断してからしゃべり始めます。それでいいですか?」
これが彼女なりの俺の話したことの理解のしかただったのだろう。
「ん。まぁいまはそれでいいさ。」

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