Polymnia

Polymnia

なはなは 7月


「そうやなぁ!!」
今日三重は30℃を超える真夏日だ。
お金があればプールにでも行きたいが、
プールに行ったと両親に伝えた日には・・・いや、語るもおぞましい。
ってことで今おれは豪汰と二人、俺に部屋で扇風機にあたっている。
正直むさくるしい絵図だが。
「ん?これは?」
豪汰が近くにあった紙の束に気づいた。
「・・・ん?あっ、分かった。
あのアホのだ。」
アホとは君春のことだ。
あの野郎、自分が作った作品を俺に預けたまんまにしやがった。
とりあえず学校が始まったら殴る、うん。決定。
「そういやぁ俺は結局見てなかったな。」
「おぅ、読んでみ。ぶっちゃけつまらないだろうけど・・
ん?そういやぁ俺もサラッとしか見てないな。
豪汰、俺も読ませて!!」
暑いのに俺たちは寄り添いあってその文章を読むことにした。
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     ・

『私と高校と出会いと』

「改めて見て思ったけど
・・・どっかでこんな題名見なかったか?」
「ん?そうか?」
「おぉ、絶対見た。私と小鳥とす・・・」
「そんなことより早くめくらせてくれよ、
なかなか面白いぞ。これ。」
「ふぅ・・。はいはい。」
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ヂリリリリリリ!!
目覚ましが鳴る。目覚めの良い朝ではない。
昨日夜中までドラゴンファンタジー175をやりすぎたせいだ。
(よし、ちょっと寝よう。)
5分だけなら・・・という甘さに勝てず、俺は2度寝してしまった。

「起きろー!!!」
誰かに叩き起こされる。
そう・・・幼馴染ではない。母だ。
面倒なことに高校生になったからと言って変わりなく、
こうやっておこしに来るのだ。
しかも7時20分になると必ず。
そこから俺はトイレで出すもの出して、服を着替え、
朝食を食べる。
そして8時になると学校へ行く。
8時5分に俺は友達と待ち合わせ場所で落ち合う。
今度こそ学校に向かっていくのだ。
自転車で通っているのだが、走行中友達と話す。
何気ない会話である。今日は部活だ、とか、
昨日学校であれをした、とか。
よく話の話題が尽きないなと思う。
学校に到着するのは8時38分、始業のチャイムは45分。
・・・・余裕なのだ。
ちなみに学校までの道で知り合いにはあまりあわない。
あうのは先輩か、後輩だ。それか知らない同級生。
1限目が始まる。授業は現代社会。
今やっているのは宗教だ。
正直眠たい。無神論者の俺にはまるで興味のない思想である。
2限目が始まる、授業は数学。
それがわかると急にやる気がみなぎる。あだ名、「パズル男」からわかるように
そのくらい数学が好きなのだ。
この世のすべては「数」である。
・・・・ピタゴラスの言ったことだ。その通りだと思う。
何事にも数があるから成り立つ。
この世界も、ヒトの体も、この机だって。
目に見えない「思考」だって数だ。
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「なんだ、これ?」
「そう思うだろ?駄作以外の何でもない。ちなみにあと10ページ、
こんなことばっかり続くけど、読むか?」
「も、もういい!!勘弁!!」
「まぁとりあえず捨てとくか。」
そう言って立ち上がるとピンポーンとチャイムが鳴った。
「ん、誰だよ、全く・・・。」
玄関に向かうとチャイムを鳴らしたであろう張本人が中に入っていた。
「芙美華ちゃんかわいいね~。」
「・・・おい君春。」
「いやいや俺は外で待ってたよ。待ってたけど、
彼女が「まってるの?なら入りなよ」って。」
「えへへっ、暑そうだったから。」
「ま、いいけど。」
「ってそんなことより!!今日は何の日!?」
「ん?今日は・・・8月12日だよな。」
「そうそう。」
「・・・芙美華ちゃんの誕生日?」
「ブッブー。」
「ほかは・・・このアホの誕生日?」
「へ?俺は違うよ?」
「なら・・・」
「むぅ・・・。」
そろそろ真面目に答えるか。
正直最初からわかっているのだ。
彼女がここに浴衣で来ているのだから。
「提凧祭だろ?」
「おっ当ったり~☆」
今まで曇っていたぱあっと明るくなる。
「なら行こうか。そうだ、君春も来るか?
家にきてすぐ追い返すのも失礼だし。」
「え!?いいよいいよ、仲睦まじい夫婦の中に一人でいるのは・・・。」
「バカ、豪汰も誘うにきまってるだろうが。」
「あらそう・・・なら行くかな!!」
「いいよね?芙美華ちゃん?」
「もっち!!OKさぁ。」
「よっしゃ、おーい、豪汰!!お祭り行こうぜ!!」
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「わぁ~お、人が多いね、春君。」
「ホントだな。ん?あそこにいるのは千里じゃないか?」
「いっ!?」
「あっ、本当やな~。ん?どうした、君春。隠れて。」
ニヤニヤしながら君春の顔を見るおれと豪汰。
訳もわからず?を頭に浮かべる芙美華ちゃん。
まぁその話はまた今度しよう。
今はこの状況を楽しまなきゃ!!

15分くらい歩いたところで君春が
なにかを思い出したかのように立ち止まった。
「ん?どうした?トイレか?」
食事中の方はすいません。
「いやさ~俺行きたい場所あるんだけど、
豪汰と二人でいってきていいかな?」
豪汰はふふんと笑ってから、
「そうやな、じゃあ行ってくるわ。」
「二人で仲良くねぇ~。」
あっそういうことか。
豪汰たちは足早に去って行った。
ただでさえ人の多い通り、彼らの姿はすぐに見えなくなった。
「じゃあ俺らも行く?」
「うん!!」
「にしても芙美華ちゃん浴衣にあってるよ。」
「ホントに!?」
「うんうん、芙美華ちゃんが小5だなんていまだに信じられないよ。」
「えぇ~ホントだもん!!」
「そういうことにしておくよ。
じゃあ行こうか。」
そう行って俺は彼女の手を握って歩く。
彼女は少し恥ずかしいのか、暑いのか顔が赤くなっていた。
その状態で5分くらいか、芙美華ちゃんが「ある屋台」に気づいた。
「あっ!!金魚すくいだ!!」
「やりたい?」
「うん!!」
「じゃあおごっちゃろ、お~いおじさん1回!!」
「はいよ~・・・・ん?お前まさか。」
「あっ!!春樹さん!!お久しぶりです。」
「お~やっぱ春坊か、大きくなったなぁ・・・ん?隣の子は。」
「わ、私芙美華って言います。」
「大丈夫だよ、芙美華ちゃん、
春樹さんは見た目と違ってやさしい人だから。
春樹さんも許してあげて、彼女まだ小学生なんだ。」
「・・・・まさか。」
「そう、そのまさか。
まさかおれもそうなるとは思わなかったよ
。」
「お互い苦労するな、そうだ、金魚すくいお前らひとり
一回分ずつおまけしてやろう。」
「わぁ~い♪」
「よし、じゃあどっちが多く取れるか勝負だ。」

「負けないよ、お兄ちゃん。」
結果・・・。
芙美華・・4匹
春河・・・5匹
正直ギリギリだった。
芙美華ちゃんは悔しそうな顔をするが、上機嫌だ。
よかったよかった。
「じゃあ、春樹さん、ゴチになりました。」
「おぅ、またな!!」
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。」
屋台から出たあと、芙美華ちゃんに話しかけられる。
「ん?」
「春樹さんやさしいね。」
「だろ?俺の尊敬する人だよ。」
「そうなの!?どんな人なのか気になるなぁ。」
「また今度ゆっくりあの人のすごさ教えてあげるよ。
それよりもう8時、おなかすいてるでしょ。
なんか食べたいものある?」
「ん~焼きそばかな。」
「了解、買ってきてあげるよ。ここで待ってて。」
「うん。」
俺は目の前にある屋台に駆け込み、焼きそばを4つ注文した。
そのころ芙美華は・・・。
「なぁ、姉ちゃん。俺らと一緒に花火しようよ。」
そう・・・絡まれていたのだ。
小学生である芙美華は怖くて声が出せなかった。
(助けて、お兄ちゃん・・・。)
「お前、なにしとんのや。」
ふと芙美華は声が聞こえるほうに顔を向けた。
すると春河の友達の豪汰、君春がいた。
さすがに巨体の豪汰には二人組も勝てないとふんだのか、
何も言わず、チッと舌打ちをして去って行った。
「さすが豪汰!!」
「ふぅ・・・大丈夫か?芙美華ちゃん。」
「う、うん、ありがとう。」
「なにもなくてよかった。
なんかあったら春河に顔向けできないからな。」
「お待たせっ。・・・ん?なんだ、豪汰たちいたのか。」
「ちょうどいま着たとこやな。」
「よかったよかった。今呼ぼうとしてたんだ。ほれ、人数分の焼きそば。」
「お、春君気が利くなぁ、ありがと。」
「おぅサンキュ。」
「おいしそう。いただきまー・・・。」
「ちょっと待って。
・・・そうだな。」
3人は?顏をしている。
俺はそんな彼らには何も話しかけず、ある思いを神様に願った。
「・・・よし、おいで。」
「へ?」
3人はなんのことやらさっぱりわかっていないようだがきちんとついてきてくれる。
「・・・ついた。」
「高台・・だよね?こんなところに連れてきたかったの?春君。」
「まぁまぁ、・・・ほら聞こえてきた。」
― えぇ~え~!!!では春樹会からの催しで打ち上げ花火をやりたいと思います!! ―
「!?うっそ。去年まではこんなことなかったのに。」
「今年は俺がいる。だろ?」
「あっ、やっとわかった。春君も隅に置けないなぁ。」
「へ?どういうこと?」
う~ん・・・芙美華ちゃんのためなのに芙美華ちゃんは全く気付かないか。
「春君が花火を春樹さんがやってくれるようにってお願いしたんだよね。」
「あたり、そういうところは君春は鋭いな。」
「え?でもなんで?」
「これがおれの祝福。
どういう形であれ俺たちは結婚したんだ。
・・・今までそれっぽいことしてあげなくてゴメン。
・・・・・これからヨロシクってのはだめかな?」
おそるおそる彼女の顔を見る。
すると彼女は笑っていた。
「ううん!!お兄ちゃん大好き!!」
「おわっ、抱きついたら焼きそばが・・・あぁ~!!!!!!!!!!!!!
こぼれたぁ!!あっつ~!!!!!!!!!!!!」
「えへへ、大好き、大好き・・。」
今年の夏は忘れられないものになった。




8月12日(水) 天気 晴れ

今日はお兄ちゃんと提凧祭に行きました。
お兄ちゃんのほかにも、お兄ちゃんの友達の豪汰君、君春君がいました。
正直最初はふたりがこわかったけど、変なおじさんから守ってくれました。
だからふたりも大好きです。
でももちろんお兄ちゃんのほうが好きです。
世界でいちばん大好きです。
最後にみんなで打ち上げ花火を見ました。
とてもきれいだったです。
今日はわくわくして寝れません。
明日が楽しみです  おしまい
~芙美華、夏休みの宿題の絵日記より~

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