Polymnia

Polymnia

スコール 第2話


他文化交流クラスというクラスがある。
偶然にも、悲劇的にも、そのクラスの一員になってしまった俺、
当然学校には体育の授業がある訳で、外国人が多い訳で。
「さすが、サントス。ブラジル出身だけはある。」
そこの体育は人種の違いをまざまざと感じさせられる訳で。
「おい、サントスがまた行くぜ!!」
サントスはまた何度目かのドリブル突破をはかっていく。
1、2、3、4、5人と抜いて、これまた凄いシュートが飛んだが、
相手も相手、ドイツの少年サッカーチームでゴールキーパーをしているだけはある、
サントスと互角に勝負していたりする。
「なんていうか、サントス君もオーリン君もすごいですねぇ。」
「お前みたいなのは無駄にテンション高いだけだもんな。」
「あっ!幸孝、ひどいなぁ…
そういやぁ珍しく幸孝がクラスになじんでるね。
いやぁ。よかったよかった。」
「…別に。話しかけられときくらいは返事する。
…それだけだ。」
「それでも立派になったほうだよ。」
隣でうれしそうに笑っている。
(…なにがうれしいんだか。)
しゃべっているうちにサントスVSオーリンは終わったらしい。
言語の壁を越えて彼らはがっちり握手をしている。
…むさ苦しい図だが。
結局授業終了までみんなの注目の的はオーリンとサントスだった。
話によると一進一退の攻防だったらしい。
「あっ、宇佐美。」
俺らと同じ目立たなかった宇佐美が一人歩いている。
「ん。あぁ幸孝か。珍しいな。お前から話しかけてくるなんて。」
「一人歩いてたからちょっと…な。」
「いつも一人の奴にそう見られているなんて俺も落ちたな。」
(かぁ~そんなんだからあんなお気楽集団に入れないんだろうに)
「ま、そんだけ元気あれば十分だな。ほら早く着替えなきゃ女子が入ってくるぞ。」
「あぁ。」
教室に帰ってみると男女の笑い声が聞こえて来た。
「あ~あ。間に合わなかったか。」
そう言って俺はドアを開けた。
「あ、やべ。ゴメン、クラス間違えた。」
そういったのは見知らぬ女子だった。
「いやぁ、悪いねえ。3年生は2度目だからね。
去年のクラスに入ろうとしてた。じゃね。」
そういうとその女子は走り去って行った。
「誰だ今の?」
一人取り残されて、何だか馬鹿を見た。
しかし、この高校にもダブリはいたんだなぁなどと考えていると。
「ちょっと。邪魔よ。つっ立たっていたいなら、家でやってよね。」
「誰が家でそんなことやるか!」
思わず突っ込みをいれてしまったが、
これまた見知らぬ女子だった。同じクラスらしいが、
覚える気がないから覚えていないのだ。
「なぁ、裕章。あいつ誰だ?」
「おや、君が他人に興味を示すとは、明日は地球最後の日でしょうか。」
まぁ、確に珍しいかもしれないがそこまで大事か?
「あの人は、出席番号27番 羽山 志之眼さんですね。」
「よく知ってるな。」
今、窓際の方で一人外を眺めているのはそういう名前の奴か。
確に、裕章の言う通り、珍しいことだと自分でも思う。
が、どうして、名前が気になったのかは、恐らく自分と同じ臭いがしたのだろう。
自分からは人と関係を望まない、そんな臭いがしたのだ。
(まぁ関わることはないだろうな。)
それよりはやく着替えないと。宇佐美の野郎、早々に逃げやがって。
そして二限、三限、四限と終わり、昼食だ。
「ふぅ…さぁ飯だ。えっと裕章は…」
もうジョナサン、サントス、オーリン、
あとマーキュリーとかいうのとわいわい食べてる。
(しゃあない。一人で食うか。)
「あれ~幸孝。誰とも食べないの?」
「瑠璃か。あぁ、でもお前も彼氏と食うだろ。
俺に構ってる暇ないだろ。」
「ん~それが。彼がクラスの子と食べるから。
私も一人だったりして。」
「そっか。・・・・なら食うか?」
「うん!」
なんでそんなウキウキなんだか。
「瑠~璃ちゃん!」
(どっかで聞いたような声だな。)
「あっ!サマサ!どうしたの?」
「エヘヘ~一緒に食べない?」
「あ~でも…」
瑠璃が申し訳なさそうにこっちをちらっとみる。
「いいよいいよ。サマサ?さんと食べてきな。」
「もしかして瑠璃ちゃんそこの彼と食べる予定だったの?
ん~じゃあ彼も一緒に食べよ?」
「は、はぃ!?」
「あっそうだね!そうしようよ!!ねっ幸孝?」
「えっ!?あ…あぁ。」
勢いに乗せられてそう言ったがよくよく考えるとすごい状況じゃないか…?
「誰か他には誘ったの?」
瑠璃がサマサに聞く。
「えっとね。アメリアちゃんとナナちゃん、あと志乃眼ちゃん!」
志乃眼…どっかで聞いたような…

………昼食は、何故か安心できなかった
。全てはこの志之眼から発せられるオーラのせい
だ。あいにく、それを感じているのは俺だけらしい。
俺と志之眼の間に、重苦しい空気がながれた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
志之眼は食べ終り、そうそうと席を立ってしまった。
「あっ、志之眼ちゃん、どこ行くの?」
瑠璃がきいた。
「トイレ。」
それだけを言って、教室から出ていってしまった。
「・・・志之眼ちゃん何も喋らなかったけど、
そんなにトイレ行きたかったのかな。」
…瑠璃よ、それは違うと思うぞ。

結局、志之眼は始業前まで帰ってこなかった。
結局人にきをつかって飯を食べてた気のする食事だった。
五限目は集会で体育館だ。
どうやら新しく作られたこのクラスの紹介らしい。
まったく…校長はなにを考えて作ったのだろう。
「幸孝~待ってくれよ。」
後ろから裕章がついてくる。
「ふぅ…そういやぁ知ってる?さっきトイレで女子がもめたらしいよ。」
「へぇ…」
トイレ。まさかな。
「噂によるとうちのくらすの志乃眼ちゃんが関係してるらしいよ。」
志乃眼と聞き、反射的に裕章の方をむいた。
「おわっ!にらまないでよ。俺じゃないんだから。」
「あぁすまん。そのトイレってどこ?」
「確か一階の北トイレだった…っておい!どこ行くんだよ!」
「ゴメン!トイレ!でかいほうだから長引く!」
そう言って俺は裕章を振り切った。
…関わりたくないと思っていた。それは事実だ。
だけどそんな気持ちとおなじくらい接したいって思ってるのかもしれない。

「ハァハァ…ここか。」
問題のトイレに来てみるとそこにはもう一人しかいなかった。
「…なにしてるんだよ。」
俺は志乃眼に話しかけた。
「………別に。あなたには関係ないじゃない。ってか誰?」
「一緒に飯食べただろうが。」
「あぁ…そうだったわね。で、なんのよう?」
「帰ってこなかったら心配するだろ。瑠璃もサマサも心配してたぞ。」
「あぁ。彼女たちには悪いことしちゃったかな。」
そう言って彼女は苦笑した。
「…喧嘩したんだって?」
「あなたには関係ないのに…別に。喧嘩じゃないわよ。
そのつっかかってきた子が根暗な子いじめてたから注意しただけ。」
「そっか。悪いな。」
「なんであなたが謝るのよ。」
「俺、てっきりお前が悪いと思ってたんだよ。」
「思われてもしょうがないのかもね。」
「でもカッコイイよ。少なくとも俺は尊敬するよ。
あっ!もう時間だ。ほら!志乃眼!体育館行くぞ。」
そういって俺は彼女の腕を握って走った。
「痛っ、ちょっと!名前で呼ばないでよ!」
…なんとか必死に走ったら遅刻しなかった。
「あっ、志乃眼ちゃん。どこ行ってたの?トイレ…には長いし。」
「ゴメンね、ちょっと道に迷っちゃってたの。」
「そっかぁ。ならしょうがないね。」
納得したらダメだろ。瑠璃。

話してるうちに校長が前に立った。
校長の長い話の時、隣にダブリがいたので、
なんとなく例の喧嘩について聞いてみると。
すると彼女は衝撃的な事を言った。
「えっ。違うわよ、その子が絡まれてたのよ。
それで、アタシが割って入って止めたの。」
志之眼が絡まれてただって?どうしてあいつそんなことに・・・
「絡んでた奴らは、町の不良グループの幹部連中で、
さすがのあたしでも少し怖かったわね。」
「どうしてか分かるか?」
「さぁ~、あたしは別にアイツらの仲間じゃないからなぁ。」
「そうか・・・」
こいつと志之眼、どっちが本当なのだろうか。
俺に聞く権利なんてないだろう…彼女とそこまで親しい訳じゃないしな。
ただわかるのは彼女は俺とは違う、逃げている訳じゃないことだ。
一瞬でも同類だと思ったがどうやら違うみたいだな。
「ねぇねぇ…名前なんていうの?」
ダブリ先輩に話し掛けられて現実にもどる。
「あっ鈴村幸孝です。」
「ふ~ん。私は…。」
「あっ、もう時間みたいなんで。また今度で。」
「あらそう。知って損にないのに…。」
得もないだろうが…
結局聞くことなく体育館をあとにした。
今日はもぅ授業はない。明日は部活紹介・仮入部期間だ。
まだ新学期開始から二日なのにやる気まんまんだな。
まぁ関係ないな。


………まさか部活勧誘が俺の穏やかな生活を波乱に導くとは予想していなかった…


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