Polymnia

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秋の坂道5 ~卒業は別れじゃない~


ほぼ寝たきりの状態で4ヶ月たった。
そんな日々のある日のこと、担任は俺にこういった。
今日を持って俺の留年が決まったとのこと。
留年といわれた生徒は大体学校を中退するが君はどうするかね?と言われて
俺は少し考えさせてくださいといった。
そりゃあそうだろう。
しかし冗談抜きで学校に4年もいたくない。

次の日瑞希が尋ねてきた。
お前の留年が決まったのか・・・でどうするんだ?
そう聞かれた。
俺はこいつにだけはウソをつきたくなかった。
だからはっきりこういった。辞めて就職すると
あいつは笑ってくれた。
そうか・・・お前が決めたならしょうがないよな。
でも俺達友達だよな?
遊びに来ても・・・いいよな?
そう涙ながら言ってくれた。
俺も泣きたくなった。
でも
泣けなかった。

あいつは何かを思いついたときの少年の顔をして俺の家から出て行った。

「はぁ・・・」
「どうしたんだよ?雪菜。ため息なんかついて」
「だって風邪なのに学校きてないから留年だなんてひどすぎるよ。」
「しょうがないだろ?高校はそんなところなんだから。」
「むぅ~」
「全く・・・でもその分夢が出来たよ。」
「なになに!?」
「それはな・・・・

[秋の坂道 ~卒業は別れじゃない~]

秘密だ」
「えぇ~!!そこまで言っておいて!!けちんぼ!!」
「いいからいいから。ほら?風邪うつるぞ?」
「そうだね~じゃあそろそろ私の勉強するよ。おやすみなさい~」
「おぅおやすみ。」

俺の風邪はやっと治ってくれた。実に5ヶ月もの間だ。
中退して、やっといろいろ落ち着いたときに叔父が訪ねてきた。
「久しぶりです、叔父さん。」
「叔父さんはやめてくれよ、蕗。俺はまだ29だぜ?」
「そうですね。楓さん。」
「まぁいいや。でだ、話によるとお前中退したらしいな。
どうするんだ?」
「ん~働き口を探そうと思うんですけど、まだ何も手をつけてない状態で。」
「そうか。ならよかった。」
「へ?」
「実は俺の自営業の企業のお前を誘おうと思ってな。どうだ?来てくれるか?」
「えっと・・・いいんですかね?こんな中退したがきを入れちゃって。」
「気にするな。だが最初は俺の信頼している人のところで見習いだがな。」
「それでもかまいませんよ。」
「そうか・・・分かった。じゃあ4ヶ月くらいたったらまた連絡しよう。
そっちもいろいろ大変だろうしな。」
「ありがとう。楓さん。」
「愛する姪と甥のためなら苦労は惜しまんよ。それが姉さんの頼みだもんな。」
楓さんは姉さんといった瞬間寂しそうに笑った。
その後彼もいろいろ仕事があるそうですぐ帰っていった。

「で、お兄ちゃんは楓叔父さんの所で働くと。」
「そうなるん・・・だよな」
「あの叔父さんって顔だけ見るとかっこいいんだけどね」
そう楓さんは極度のロリコンなのだ。
だから雪菜は楓が嫌い・・・いや苦手らしい。
「まぁ頑張ってね!!それで・・・・」
「ん?」
「・・・んーん。なんでもない。早く元気になってね♪」
「おぅ!!元気になったら何処に連れてってほしい?」
「えっとね・・・バナナの里!!」
「・・・・お前は猿か。」
「むぅ!!人を馬鹿にして~。別にバナナ好きでもいいじゃない!!」
「はいはい。俺が悪かった悪かった。ちゃんとバナナの里、連れてってやるから。」
「イェ~イ☆☆」

そして3月9日
うちの高校3年生が卒業する日だ。
俺はもう高校から見れば用なしだろうから見に行かない。
楓さんが俺の家に来ていた。
「でだ・・・・ということなんだが」
「ん~はい。大体分かります。」
「よし。でここは・・・・そして」
ピンポーン!!
「ん?来客か。よしじゃあ少し休憩するか。」
「はい。」
ふぅ疲れた・・・正直難しい。
誰だよ、フィボナッチって。
ピンポーン!!ピンポーン!!
「ちっ。はいはい。今行きますよ!!」
ガチャ
「やっほー!!蕗。元気?」
「あっその調子だと風邪治ったみたいだね~大丈夫?」
えっと・・・俺のクラスの皆様方?
「えっと・・・とりあえずどうしたの?」
「やだなー今日何の日だよ~?」
「うちの学校の卒業式だよね?」
「そう。それなんだよ!!蕗」
「が・・・どうかしたの?」
「ちょっち待ち。コホンえ~」
何こいつは意気込んでるんだろう。
「ここで並原蕗の卒業式を始めます。」
「は?まぁとりあえずここじゃ近所迷惑だから家に入ってくれ、な?」
「う。うむ。しょうがないなぁ~」
俺は素直に思う。こいつは劇とかやると映える。

「えぇ~少し気がまぎれましたがここに並原蕗君が我が2年3組の課程を無事終了し
卒業することを認める。 2年3組一同。はいおめでとう。」
そういって色紙が渡された。
そこには蕗君少ししか一緒じゃなかったけど楽しかったよ、とかお前の信長は最高だったぜ
とか色々である。その中でも特に目立ったのは
あまり喋らなかった不衝先生の「君が今するべきことをやりなさい」であった。
「お前がいなくなると聞いてみんな本当に寂しかったんだぞ?ほらお前は少しシスコン
入ってたかもしれないけどさ、いつも自分のことよりも妹のことで・・・・
俺らみたいに今を楽しもうとしてるやつらから見たら憧れだったんだ。
目標だったんだ。そんな奴が中退しちゃって・・・せめて皆で卒業させてやろうって・・」
「・・・・馬鹿だよ。お前らだってもう自分のことしか構える時間は少ないのに
こんな俺みたいな奴のために時間を割いてくれて・・・」
「じゃあそんな馬鹿な俺達が今から歌歌いまーす。」

♪君の前に広がる謎
解決しに行きましょう
それこそが浪漫の旅

人々が馬鹿にするだろう
非現実な旅ですもの
おこられることもあったりするだろう
でもいいじゃないですか
浪漫を感じた瞬間
あなたは幸せになれるだろう

そうさ 
手を広げて
足で大地を蹴り上げて
浪漫にいきましょう
君がそう望む限り
浪漫への階段あり続ける

幸せの意味が分からないかもしれない
そんな日々が続いても
誰かに八つ当たりしてやるせない日になっても
でもいいじゃないですか
浪漫を見れた瞬間
あなたの悩みは消えるだろう

やっぱ
足を止めて
もう一度大地を見て
浪漫へ旅立とう
君が悩み続ける限り
浪漫への階段現れない

浪漫を追いかけていても
自分の望む姿になれるはずない
そりゃあそうさ
頼るなよ
浪漫なんかに
未来を望んだら駄目さ
今を楽しむために
行こう

手を広げて
大地を蹴り上げて
大地を見下ろして
明日を感じて
今を楽しんで
準備が整えば
そこが僕らの浪漫なんだろう♪

「なにこれ?」
「えっ?うちのクラスで一番文才のある宗像に作詞してもらい、
うちのクラスで一番ピアノがうまい宇高君に作曲してもらった。
完全オリジナルソングさ☆題名は浪漫の旅。」
「ありがとう・・・ありがとう」
クラスの奴らの半分くらいは泣いていた。
そんだけクラスに入れていたのかは分からないけど
素直に嬉しい。
でもやっぱり・・・
「いいんじゃないか?」
「!?」
楓さんだった。
「お前は今まで頑張ってきた。泣かないで・・・
でももう1人で頑張らないでいいんだ。お前の母さん・父さん
に泣かないって誓ったかもしれない。
でも男には泣いていい場所があるんだ。」
「泣いていい・・場所?」
「一つはトイレ。もう一つは・・・両親と友達の輪の中だ。」
「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「本当に。」

「本当に俺は泣くことを許されてるんですか?」

「母さんと父さんは許してくれるかな?・・・・」
「あぁ許すさ。だから今は・・」
「う・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

俺は泣いた。泣き続けていた。
15年間ため続けていた涙がいままで俺を苦しめてきた何かと一緒に流れ落ちた。

「別れたくない。別れたくない!!俺はお前達とまだ馬鹿をやりたかったよ!!
なんで俺はこんな風にたかが風邪で・・・」
「蕗。運命をうらむな。前を見ろ。」
「え?」
「俺達は同じ道に立っているんだ。でもある事情でお前がフライングしちまった。
審判はいない。じゃあ俺達は何が出来る?」
「・・・・」
「お前を追いかけて一緒に歩くよ。それが友達だろ?
いいか?卒業は別れじゃないんだ、旅立ちなんだ。」
「じゃあ、先にお前らの見本になるようにしてるから、また会ったときには話しかけてくれよ?」
「・・・・・・ぷっ。ははははは。」
「?」
「そんなこと断らなくてもいいよ!!なんたって俺達・・・」
「「友達だから!!」」
あぁ青春ドラマみたいでくさいけど・・・
俺はこんな未来を迎えたかったんだろうな。
そして・・・・
今日の素敵な一日が終わった・・・・

ん?そういやぁ夢で言ってたかなしい運命ってこれなのかな?


                        [秋の坂道~完]

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