「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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Polymnia
真・秋の坂道6 ~ありがとう~
そうだ、雪菜にも話してみようかな。
あいつ、びっくりするかな?
[真・秋の坂道6 ~ありがとう~]
「・・・だってさ。」
俺は興味半分面白さ半分で雪菜の顔をチラッと見る。
するとどうだ。
ふ~んと言わんばかりの顔をした雪菜とうるうる目をした(いや、もう泣いてる)
渚がいた。
「・・・一ついいですかね?何かがおかしいと思うのは、私だけなのでしょうか?」
「うぅぅ何が?」
「だから、なんでお前が泣くんだよ!?そして雪菜がなんで泣かないんだ!?」
「だって知ってたもん。」
「「えっ!?」」
そういいながらまた一つ、口にせんべいを含む。
「まさか雪菜百八奥義の一つ超!!」NO力を使ったのか?」
「使えるわけないじゃない!!・・・楓さんにきいたの。」
「いつ?」
「お兄ちゃんが寝込んでたときだよ。見舞いついでに話してくれたの。」
「あらそう。」
「ひっく、ひっく。」
「で、渚は早く泣き止めよ。鼻水たれてるし・・・」
「ひっく、ずずずずずずずず!!ハァ・・いい両親だったのね。
もう感動して感動して。」
近所のおばさんかこいつは・・・
「そういやぁ渚ちゃんの両親ってどんな人なの?」
一瞬渚の顔が凍りつく。
「あ、あれ?もしかして聞いちゃダメ・・だった?
ハハハ・・あ!?もう9時だ。じゃあもう勉強するからあとは二人で~」
あいつ逃げやがった・・しかもこんな状況でゆっくりできるかよ・・
「両親、か。」
そう言いながら渚が鼻で笑う。
「な、なにか嫌なことであったのか?あ、もしかしてここ来る前に喧嘩したとか?」
「喧嘩のほうが良かったのになぁ・・蕗君ききたい?」
「お前が話して楽になると思うなら話せばいい。」
「ホント?」
「ただ重い話は勘弁な。」
「そこまで重くはないよ。ただ少し軽蔑するかな。」
それを重い話と言うんじゃ・・・
「まぁ話すね。」
「おぅ。」
「もちろん両親は生きてます。」
「そりゃあうらやましい。」
「確かにそうよね。でもね彼らは死んでるの。」
「・・・・は?」
「私から見たらよ?なんていったらいいかな・・まぁそんな感じ。」
そんな感じ!?どんな感じ!?
「彼らの目には私は映らないの。」
「もう少し簡単に!!」
「私を見てくれないの。」
「え?それってただ親離れできてないわがままじゃないの?」
「違うよ!!彼らの目には世間からの目しか分からないの。
ううん、それしか理解しようとしない。」
「・・・。」
「一番ショックだったのは小1のとき。授業参観があって、
私はお母さんに来てって言ったの。お母さんはきてくれるって言ったわ。
蕗君馬鹿にしてるわけじゃないのよ、授業参観って言うのはね、親が来てくれるのが
恥ずかしいけど、それと同じくらい嬉しいの。」
「大体分かる。」
「で、授業参観のひ。一番に母さんが来て、こっちをチラッと見た。
そして笑顔で手を振ってくれた。友達からはいいお母さんだなぁ~って。
うらやましがられた。
私は誇らしく思ったの。・・・でもそれはいい母親を演じてたあの人の
演技にだまされただけ。」
「演技?」
「でもそんなの7歳の少女が分かるわけないじゃない?
それで聞いたの、授業参観どうだった?って。
そしたらなんていわれたと思う?」
「想像、出来ないな。」
「でしょうね。多分信じられないもん。
・・・みてないって言われたの。」
「え!?でも来てたんだろ?」
「もちろん。でもね周りからいいように見られるためだけに来たんだって。
私を産んだのだって社会の目を気にしてなのよ。
・・・ねぇ蕗君。私の家族見下す?」
渚は自嘲気味に笑う。
「なんていえばいいかわからないからな・・・」
「でしょうね。」
「家族はあれば幸せだと思ってた。いてくれるなら、それがどんな形であれ
幸せだと・・」
「・・・・・が分かるのよ・・」
「え?」
「何が分かるのよ・・・自分のことを物としてしか見てくれないことの辛さ、
分からないでしょ!!何度も殺そうかと思った!!
そうすれば私の存在理由が分かる気がしたから・・・でもいざ殺そうとすると
体が震えて動かなくなるの!!・・・そのくらい、弱い人間なのよ・・・・。」
彼女はそう言うなり、泣き続けた。
自分の中でためてた思いが涙と変わって流れ落ちていた・・・
そんな彼女を俺には抱きしめることしか出来なかった。
「・・・・・・。」
「・・・。」
「・・・落ち着いたか?」
「ぜんぜん。どきどきする。」
「ほお、なかなか落ち着けてるじゃない。」
そういい、俺は体を離した。
「いや!まださっきの状態がいい。」
「はぁ・・?まぁそういうなら。」
やはりさっきの状態に戻った。
俺は彼女に何が出来るだろう?
守ってやりたいとは思っていた。守れてると思ってた。
でも守れていたのは「殻の彼女」で、「本来の彼女」は見せてすらくれてなかった。
今日見た「本来の彼女」・・・弱いと言った彼女の姿。
俺は・・俺は・・・
「そうだな・・・お前が弱い人間なら、守ってやれなかった俺はもっと弱いかもな。」
「どうして?」
「お前に言われて気づかされたよ。
俺が憧れてた家族。それが両親の死からいまだに逃げてる、認めようとしていない
からなのかなって。
正直、雪菜が生まれてなかったら、それこそ自分を見失ってたよ。
・・・そんな俺がだぞ?人のために頑張りたいと思えたんだ。」
口にしてやっと気付けた。
俺は・・・好きなんだ。
こんな彼女が。
2年前同じ学校、クラスになって、劇の主役、準主役に選ばれていて。
あのときからなのかな?気付かないうちに好きになってたんだ。
「渚。笑わず聞いてくれ。俺はお前のことが好きだ・・・と思う。」
「思うって何よ!!」
「なんていうんだろ・・・お前の話を聞いて、お前と一緒に歩きたい
と思ったんだ。変かな?」
「渚の顔を見ることが出来ない。見るのが怖くて・・
怒っているのだろうか?泣いているのだろうか・・・
それとも瞳の奥は軽蔑なのだろうか。
「そうね・・・」
ふと渚の口が動く。
「じゃあ結婚しよっか。」
「そうだな・・・お前が23歳になったらな。」
「じゃあデートは?」
「センター試験終了後。寿司でいいだろ。」
「じゃあ君の告白に対する答えは?」
「今に決まってるだろ?」
「あっ、だまされなかった?」
「何にだまされるんだよ・・・」
「えへへ。じゃあ後ろ向いて?」
よく分からないがとりあえず後ろを向く。
すると渚が抱きついてきた。
「私ね、夢だったの。こうやってお父さんに甘えるのが。
ふざけたこと言って、でもそんな馬鹿なことにも真剣で考えてくれる。
そんな日々が、ね。」
「分かる気がする。遊んでくれた父さんを見て自分もこうなりたいと思ったもん。」
「蕗君ならなれるよ。」
「ありがと。」
「でも私の夢はかなわなかったなぁ・・・
私生まれて来なかったらよかったのかも・・・。」
「!?」
「だってこんなに辛いんだもん!!なんで私ばっかりこんな目に
あわなきゃいけないの!?どうして人並みの幸せすらろくにもらえないの!?
ねぇ!!どうして!?どうして・・・なのよ。」
「そんなこと言わないでくれよ!!頼むから・・・
お前がそんなこと言ったら、俺は生まれて来なかったらいいなんてそんな
馬鹿なこと考えるアホをすきになったのかよ!!。
お前は生まれてきてくれてよかったんだよ。少なくとも俺から見たらな。
お前は俺達兄妹に楽しい日々をくれた。
自分勝手な言い分になるけど・・・お前と雪菜の存在が今の俺の全てなんだ。」
「蕗君・・・。」
「ここにあなたを連れてくるとき言いましたよね。拉致するって。
でも今度は違う。
渚さん。恋人としてあなたを家に招きたい。」
「!?・・・・はい。喜んで。」
正式に恋・・・人?
「渚。お前って俺の・・」
「居候だね。」
ガクッ
「そこは恋人って回答を期待したよ。」
「冗談だよ。ただ実感なくて・・」
カサカサッ!!
「そうだな。俺もそれ。じゃあマジで考えよう。
デート行かないか?どこがいい?」
カサカサ!!
「そうだなぁ・・・・バナナの里!!」
カサカサ!
「バナナの里ねぇ・・・そういやぁ昔行きたいって言ってた奴がいたなぁ?
雪菜。」
そう言うと扉の陰から雪菜が顔をひょっこり出す。
「あはは~ばれてた?」
「バレバレ。かさかさ音立てすぎ。
で、どこから聞いてた?」
「そんなこと言わないでくれよ!!・・・ってとこ。」
ぐはっ聞かれたくないところバッチリ聞いてる。
渚の顔もすこし赤くなってる。
「ねぇねぇ!!お兄ちゃん達恋人なんだよね?」
「えっ!?あ、うん。まぁ・・その、なんだ?そうだよな。」
「じゃあさ、渚ちゃんのこと渚姉ちゃんって呼んでいい?
私の夢だったんだ~♪」
気が早いだろ・・・雪菜。
「えぇいいわよ。」
いいんかい!!
「やった~!!」
「じゃあ一緒に寝ちゃう?」
「うんうん♪じゃあ先行くね~♪」
笑顔で雪菜を見送ると渚はこっちを見た。
「ねぇ、蕗君。私ね。両親のこともあったから素直に人に心許せなかったの。
だから泊まればって言われたとき、ここで本当の自分を見せちゃダメなんだって
決心してた。・・・・でもね、蕗君がこの2ヶ月の間に何倍も何十倍も大きくなって
いってたのかな?今日勢いで話しちゃった。」
「俺が成長したのは・・・みんながいてくれたからかな。」
そう、渚と出会えて、源さんから卒業して、友人の溜めてた思い、
自分の自身の過去との訣別、両親の暖かさ・・・数え切れないほどの思いに出会えた。
俺のこの2ヶ月はそういう意味では充実してたんだな。
「ふっつかものですがよろしくお願いします。」
「・・・あぁこちらこそ。」
そして
これからも・・・・・
[真・秋の坂道]
~~~~~~~~~裏話~~~~~~~~~
真・秋の坂道、これで完結です。
いかがでしょうか?この真は自分なりに社会のニュースを取り上げて、
ネタもとい題材にすることをしました。
いじめ、親子の深い溝などですね。
そこにも注目していただければ嬉しいです。
一回「秋の坂道」を作るときに考えてたのはどれだけ主人公の幸せを奪えるか
というのでした。
酷い話ですが・・・そこから何かを学べれば自分の力になると思ってたので。
でも、やっぱりいい方向にまとめたがりやですね。
今回ハッピーですね。終わりが。
こんなはずでは・・・
秋は三部作といいましたね。
でもここで思ってしまいました。
自分の考える小説は似すぎてないか?
確かに思い返してみると春坂からまるで変わってないような気がしてたまりません。
そんな自分がぐだぐだ続けていいのか?
いまはそんな気持ちで一杯です。
この小説を書き終えることでもう一度自分自身を見直していきたいです。
ではではありがとうございました。
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