Polymnia

Polymnia

マグナカルタ-NOVELS





【マグナカルタ-NOVELS】





世は18世紀末…リヴァプールの町は大騒ぎ。
なんとパーティーの途中で次期女王候補と言われるエストレール王女が
行方不明になったのです。それが二人の少年の未来をそしてイギリスを変えることになるのです・・・。


リヴァプールの市場は賑わっていた。なぜなら昨晩王女がこの町でいなくなったというのだから。
全く迷惑な話だよなぁ。」とガトー・フロルはため息交じりに呟いた。
ガトーはここらへんで果物を売っている。
息子のキャメル・フロルも今年で18歳になり店の手伝いを十二分にこなせるようになった。
店は繁盛しているとは言えなかったが今のままで無難に静かにがいいと思っていた矢先のこの事件だ。
ため息もつきたくなる。
それをなだめるのが古くからの知り合いであり、唯一無二の親友であるハリス・シャロットだ。
家も近く職業柄が同じだったことが彼らの信頼関係を深めていった要因かもしれない。
「まぁガトー。これで店が賑わうかもしれないぞ。その証拠にマンチェスターからどんどん人が来ている。」
「そうなんだがなぁ…。」
「うちのクライヴも喜んで町の方に走って行ったよ。全く…店の手伝いもしないで。」
「でもクライヴは立派さ、自分のやりたいことをしている。
俺は息子のやりたいことをやらせないで、店を継ぐっていう将来を決め付けてしまったんじゃないかってこの頃思い始めてな…。」
「父さん!」
ガトーの後ろから声がする。声からはなかなかの好青年な印象を受ける。
声の主の名前はキャメル・フロル。ガトー・フロルの息子である。
キャメルは周りから常に幼なじみクライヴ・シャロットと比べられてきた。なにをやるにもクライヴと違って…という言葉がついてきた。
しかしキャメルはそんな比較の対象であるクライヴのことが大好きなのだ。自分とは違う魅力があるのを知っている。だからこそ認めている。
そんな活発な幼なじみのおかげか、利発な少年に成長して今に至る。
「あっいたいた。なんだおじさんと話してたのか…。早く来て店の用意してくれよ。」
「おっ悪いな。じゃあハリス、またな。」
そう言って早足でガトーは店に戻って行った。
キャメルも戻ろうとしたとき、ハリスはなにかを思い出したかのようにキャメルを呼び止めた。
「キャメル!」
「うん?どうしたの、おじさん。」
「クライヴと仲良くしてやってくれよ。あんなんでもいいところがあるんだ。」
「もちろんだよ、俺はクライヴのことを親友だと思っているよ。この関係がいつまでも続けばいいなんて夢物語さえ見てしまうほどにね。」
「そうか、ありがとうな。じゃあ俺も仕事するかな。」
ハリスの顔はなにかすっきりしたような気がキャメルはした。
ハリスも一人の親なのであって、口では恨み言を言いながらもクライヴのことが心配なのだろう。そんな活発な暴れ馬を見捨てないでほしい。
そんな風にハリスの先程の言葉はくみとれた。

ハリスが店に戻ったのを確認した後、キャメルは自分の店に戻った。なにやら店の前がうるさい。
近づいてみるとその声が二つの声によるものだとわかる。
さらに近づいてみたら、その声がガトーと見知らぬ少女のものだと分かった。
これはあまりよくない状況だとキャメルは察知し、そのもとに駆け寄った。
「父さん!どうしたんだよ。」
「おぉ、キャメルか。どうしたもこうしたもこのガキがうちの果物をタダ食いしやがったから今から警察に連れていこうとしているんだよ。」
キャメルは怯えた様子の少女に近付きそっと話しかけた。
「なんでそんなことをしたの?」
少女はびくびくしながらもキャメルの物腰の柔らかさに安心したのか、話し始めた。
「あ、あのね…お金落としちゃって…ごめんなさい!」
「ふぅ…そっか。反省してる?」
キャメルがそう聞くと彼女は首を大きく縦にふった。
「じゃあ父さん。代わりに俺が代金払うよ。」
「な…!なにもおまえがそこまでしなくても!」
「いいんだよ。この子も反省してるみたいだし、今回は大目に見ようよ。」
ガトーはあまり快く思わなかったが、キャメルの誠実かつ寛容な対応を見て少女のことを許そうと思った。
やはり息子がやさしい息子になってくれたことを嬉しく思っているのだろう。
「分かった、そこまで言うなら今回は許してやろう。もうすんじゃないぞ。」
ガトーは財布を出そうとするキャメルを手で制止し、店の奥に入って行った。
取り残されたキャメルは同じく取り残された少女に声をかけることにした。しかしキャメルの体はその状態で固まったままなのだ。
少女…いや見た目的にキャメルと同年齢くらいであろう、その少女は美しかった。
キャメルは性格もよく、容姿も整っているので異性からはほっておかれてはいなかった。
そんなキャメルが初めてと言っても過言ではない、見惚れたのだ。
この沈黙を破ったのは少女だった。
「あ、その・・・ありがとうございました!!」
少女はキャメルに近づき頭をぺこりと下げた。
キャメルは照れながらも、コホンと軽く咳払いをし、冷静さを取り戻した。
「いいよ、それより家まで送って行こうか?」
そう言うと、少女は焦っていた。
「あ、いやぁ、それは少し、そのぉ・・・。」
「え?」
彼女はもじもじしていたがやがてなにかをひらめいたようにキャメルの方を見た。
「じ、じゃあ今日一日付き合ってくれない?ここにはじめてきて何も知らないの。」
「なっ・・・・!?」
「お・ね・が・い。」
「はぁ・・・まぁいいよ。どうせ今日はなにも用事ないしね。」
そう観念したかのようにキャメルが言うと、少女は喜びの余り飛び跳ねた。
そして行こうと行こうとキャメルの服の裾をひっぱった。
それをキャメルは振り払い、少し待てと静止した。
「お互い自己紹介しないか?名前を知らないと呼びにくいし・・・。」
「あっ忘れてた・・・。エヘヘ、私はクイナ。クイナ・エストレール。」
キャメルは少女、いやクイナの名前を聞いてどこかで聞いたことがあるような気がした。
しかし、この時は深く考えなかった、
そしてキャメル・フロルと簡単に自己紹介した。
「へぇ・・・キャメルって言うんだ?よろしくね!!キャメル。」
クイナは嬉しそうにキャメル、キャメルと復唱した。
クイナの様子にキャメルはプッと軽く笑ってしまった、。
「じ、じゃあここにいてもしょうがないし、今日一日で周れる範囲リヴァプールのいいところを教えてやる。」
「うん、よろしくね。キャメル!!」

キャメルとクイナはこうして時の螺旋に飲み込まれていく・・・・。




☆あとがき・・・。★
大幅加筆の小説版『マグナカルタ』です。
やはりかきやすいなあと授業中にこつこつやってました。
なるべく戯曲版と異ならないように、そうであって小説版の魅力が出るように。
そんな思いでかきました。
そしてペースも戯曲と同じタイミングで切ります。
ではまた次回!!
あぁ~元から骨組み出来てるから楽だわ。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: