さしの部屋

さしの部屋

初めての素材探し


私は美術制作をする人間です。
普通の人はそこで、画家?彫刻家?と疑問を投げかける所だと思いますが、
何々家というのではなく、色んな材料を使って物を作ります。

当たり前だけど、色んな材料を使うという事は
色んな材料を探してこなくてはならないのですが、
今でこそ色々慣れたけれど、イタリアに来て最初の頃は
いちいち大冒険でした。

今でも材料によっては何週間もかけて探し回ることもあるのに
最初の頃はもう。。。。

さて、こちらに来てからはじめて作った作品は
基本的なベースが木でした。
木をどこで買うか。はっきり言ってさっぱり分かりませんでした。
普通に考えれば材木屋さんでしょ。でも、これは
日本でも、普通の材木屋さんに行って、
突然小売で買えるかどうかは大変あやしい所。
それにどこに材木屋さんがあるのかも、
見当がつかなかったのです。
地元には、家具とかを作っているようなお店はあるけれど、
なんかちょっと違いそう(その後、そういうところでも
ある程度は買えるという事が分かったが。)。

電話帳を見ても、規模とか小売なのかの判別は
私にはつかないし、友人に聞いて教えてもらった所に行くと、
ホームセンターで、棚板なんかの加工木材しか売っていない。

この日は、仕方ない、誰かに聞くぞ。と思い立った一日です。
誰に聞こう。先生はちょっとそういう事が分かりそうなタイプではないし。

地元を歩く。そうだ、あの材料も買わなきゃ。と、
立ち寄った画材屋(ちょっとペンキ屋っぽい)で、
買い物を済ませ(イタリアの商店は、
お店に入ってから何々が欲しいんですが、と、
訴えてから商品を出してもらうパターンが多いので
普通の買い物でもへまをする事がある。)
そうだ、このおっちゃんに聞いてみよう。

「おっちゃん、木の板を捜してるんだけど、
どこで買うことができるかな?」
シンプルに質問すると、
「板ってどのくらいの板だ。」
あらあら、結構細かいのね。
もちろん、当時の私が、圧縮板だとか、ベニヤだとかの
区別を表現できるわけもなく、大きさを言うと、
「おお、そりゃあ、本当に板だな、それならば~~に行け。」
~~とはどうやら道の名前(イタリアの住所は
何々通り何番ってなってる)らしいが、どこの事かは分からない。
「それってバスとかトラムとかで行ける?」
「行ける行ける。」
「で、~~通りの何番?」
って、そのおじさんがそこまで記憶しているわけもなく、
そんな訳で、とりあえず店を立ち去る。

良いじゃん、場所が分かったんだから、
行けば分かるよ、って皆さんは思うかもしれません。が、
イタリアのお店はピンポン押して中に入ってやっと
分かるというタイプも多いし。。。

帰って地図を広げる。結構郊外だ。
でも、家の近所を通ってるトラムにひたすら乗っていれば
着くぞ。でもなに?この道、無茶苦茶長い。

仕方ない。行ってみるか。
とりあえず、仕方ないから、終点の一番遠い側から
ひたすらに歩きつづける。
道路も郊外だから大きくって、ろくすっぽ横断歩道もないから
車がビュンビュンぶっ飛ばしているような場所。
そう言えばお昼も食べてないし、今行ってもお昼休みの時間だから
どこかでご飯を食べたかったんだけど、
何にもない。それでもイタリアだからBARは
たまにあるけど、のぞくと、ムチャガラの悪そうな
地元おっさんの集い場。昼間っから、飲んだくれてらっしゃる。
さすがの私もひるみ、おなかすかしながら、
歩きつづけると、さすが大通り沿い。
マック発見。いやあ、普段はマックなんて
あまり入りたくないけど、頂きました。。。

さてと、客の居ない寒いマックでの昼食を終え、
ひたすら歩き始める。なんか倉庫みたいな建物とか、
寂れきったお店とかしか出てこない。
第一、人ともすれ違わない。聞くような人も居ない。

大分都会側に歩いた頃であろうか、
いやん。。あるじゃん。その名も木のマーケット。素敵。
かなりの大型店である。こんな所だったら、
トラム中盤で降りておけばよかった、、なんて言っても
後の祭り。
店内は要するに大型の大工道具&家具センターで
お店のさらに奥には、あるある、
大きい(幅5mくらい)の切断マシーンまで。
待てよ、でも、私が欲しい分量の木は金額的に考えて
配送してもらうと倍額?

そんな訳で、その日はただの下見と言う事にして、
後日キャスターを持って1mX1mの
板を数枚買い、長いトラムの旅をしたのでありました。

さて、余談ですが、その後、
私はミラノの素材収集については、かなりすごいやつになりました。
工場に飛び入りで小売を頼んだり、
電話帳見てはしごしたり、人に聞いて、たらいまわしにされたり、
そんな訳で、鉄工所、アクリル板加工工場、大理石屋、
研磨剤屋、真鍮工場、樹脂屋、磁石屋、そういう、プロタイプのお店から、
電気屋、画材屋、家庭用品屋まで、
用途に合わせて各種何件も知っている。。。

今でも、どこに行くときもちょっとした冒険心があるものだけど、
しかも、今となっては、いろんな事が分かってきたから
比較的簡単になったけれど、でもやっぱり、
最初のスタートが、あの、長い道をひたすら歩いた事から
始まったものだからか、やっぱりちょっと紆余曲折。

ちなみに、あの、最初にお店を教えてくれたおっさんは、
今でも、いつ行っても、親切対応で元気に働いていますです。はい。



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