私の名前は「喜多町衛里《きたまちえり》」つい一週間前にこの「高沢小学校」に引っ越してきた。
『・・・私は、自分が嫌い。』
 そうやって毎日過ごしてきている。
衛里には、友達も両親もいない。いるのは衛里を預かっている叔母とペットの猫だけであった。性格も性格だけあってかなりの引っ込み思案。小学六年生と言うこともあって、なかなか友達をつくるために話しかけることがしづらいらしい。あと一ヶ月もしないうちに卒業式があると言うのに、衛里は毎日一人だ。クラスの人はと言うと、衛里に興味は示したものの、衛里の性格から、あまり声を発しないため、気味悪がって近寄らなくなったのだ。

「今から卒業文集を書いて貰います。誤字脱字があれば即書き直しだから気をつけること~!」
 学級委員の新井卯月《あらいうづき》がいった。衛里には、書くことが無かった。しかし、書かないとみんなに迷惑がかかる。そう思った衛里は、自分の記憶の中の事を思い出せる限り思い出した。衛里は、他の誰よりも優しい心を持っていたのである。ただ、それを表面に出さないだけで・・・。
           キーンコーンカーンコーン・・・
「はい。後ろから集めてきて~。先生に提出してチェックするから~。」
 休み時間中、初めて衛里に話しかけてきた人がいた。新井卯月だった。
「なんでみんなと一緒にいないんだ?」
 普通に話しかけてきたので、一瞬とまどったが、
「私・・・。友達いないから・・。それに、友達がいなくなるより、最初からいないほうが良いから・・。」
 初めて衛里が口を開いた。
「なーにいってんだよ。そんなことおそれてたらいつまでたってもおまえ、一人だぞっ!最初からできないって決めつけてたら、出来るもんもできないって。」
「あんたなんかに何が分かるのっ!あんたは学級委員だから、みんなに慕われて、あたしの何がわかるって言うのよ!人の気持ちも知らないで調子の良い言葉ばっか並べないで!」
 衛里が怒鳴った。言い返すように卯月も怒鳴った。
「学級委員がなんだよ!そんなに差がついちまうものなのかよ!そう言う目線で物見てるからそんなに腐った性格になっちまうんだ!おまえの思っていることをすべてみんなにブチまいてみろ!きっと分かってくれる!」
 そのとたん、衛里は学校を飛び出していった。
「新井君。あんな子にムキになる事ないよ。どうせ怒ったって何も変わることないんだから。」
「イヤ・・。全員これを見てくれ!」
 卯月はすぐに衛里の書いた卒業文集をクラス全員に見せた。
《私にはお父さんも、お母さんもいません。そのせいで、色々な人にお世話になるたびに引っ越しが続きました。そのため、友達もろくにできず、いつも一人でした。でも、ある小学校で、唯一私の事を分かってくれる友達ができました。しかし、なったと思ったら、その子は、交通事故で亡くなってしまいました。だから、私と友達になった人は、きっと不幸になると思いました。【これから、友達を作らないで生きよう】そう心に決めました。友達は欲しい。でもそのともだちが不幸になるのなら、いないほうが良い。ずっと思っています。すべてはお父さんとお母さんが死んでしまったところにあると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそうに思いません。お父さんもお母さんも、好きで死んでしまったわけでじゃない。私も、たったそれだけのハンデが有るだけだと思います。これから中学校、高校へ行きます。その中で、私の本当の生きる道をつかめれば良いと思います。                   六年一組 喜多町衛里》
「・・たった一人の友達を亡くしたから・・・」
「だから友達を作らなかったのか・・」
「・・・喜多町さんってとっても優しい子だったのね。」
 クラスのみんなが口をそろえて言う。
「喜多町を、仲間に入れよう!そして、全員で仲良く卒業しよう!」
 卯月が言った。
「もちろん!」
「今日喜多町さんの家に行こう!」

{ピーンポーン}
「はい・・・どちら様ですか?」
「高沢小学校六年一組ですけど・・」
「・・・帰って!なんでウチにまで来るの!?余計なお節介は辞めて!」
 とっさに衛里は拒絶した。
「落ち着いて聞いて!喜多町さん!」
「はなしだけでも聞いてくれよ!喜多町!」
 クラスメイトが口々にいった。
「・・・なぁ喜多町。〝スマイルアゲイン〟って曲、知ってるか?」
「・・・・・?」
[♪優しい言葉なんて役に立たないことがあるよね自分だけで戦わなくちゃいけないときも有るよね 辛いことのりこえていつか見えてくる物があるよ そしたらあなたは今よりきっと素敵になってる・・・♪]
 六年一組のクラスメート全員で歌った。
「なぁ。喜多町。この歌。今のおまえにぴったりだと思わないか?自分で戦わなくちゃいけないんだよ。いつも一人で逃げてたら、おまえの望む、本当の生きる道なんか、つかめないと思うよ。」
「・・・うっ・・・ヒック・・・・ごめん・・ごめんね。みんな・・・。」
 扉越しだったが、声を聞いただけで、衛里の表情や感情は良く伝わってきた。
「喜多町。おまえは一人じゃない。俺達がいる。ましてや中学校に行ったら何もしらない友達が沢山いるよ。その中で、自分の本当の友達をみつけないか?」
 すると、衛里が家から出てきた。
「うん。そうするよ。みんな。迷惑かけて御免なさい!私が間違ってたこと、今気がついた。こんな馬鹿な周りのことなんか気にしないあたしでも・・友達として一緒に卒業してくれる?」

「もちろんっっ!」


 こうして、衛里は友達もでき、幸せそうに仲間と共に卒業をしていった。中学校は、ほとんどの友達が、別の中学校へ行ってしまう。あの〝新井卯月〟も・・・・。
 衛里は中学校へ入学してからも、卯月の事を毎日考え、卯月の言葉通り友達を増やして行った。

【     これが、私、喜多町衛里の本当の生きる道        】

***********************************


           スマイルアゲイン

自分がとてつもなく ちっぽけに見えることがあるよね

自分だけが悪者みたいに 思えるときがあるよね

もう二度と心から 笑えなくなるんじゃないかと

怖くなるくらい悲しく なる事があるよね

あしたになって(あしたになって) 空が晴れたら(空が晴れたら)

自分を好きになってまた歩き始めようよ

Smile Again Smile Again うつむかないで

Smile Again Smila Again 笑って見せて

Smile Again Smile Again どんなあなたも 

みんな好きだから

Smile Again Smile Again うつむかないで

Smile Again Smila Again 笑って見せて

Smile Again Smile Again どんなあなたも 

みんな好きだから

優しい言葉なんて 役に立たない時があるよね

自分だけで戦わなくちゃ いけないときがあるよね

つらいこと乗り越えて いつか見えてくる物があるよ

そしたらあなたは今より きっと素敵になってる

あしたになって(あしたになって) 空が晴れたら(空が晴れたら)

自分を好きになってまた歩き始めようよ

Smile Again Smile Again うつむかないで

Smile Again Smila Again 笑って見せて

Smile Again Smile Again どんなあなたも 

みんな好きだから

Smile Again Smile Again うつむかないで

Smile Again Smila Again 笑って見せて

Smile Again Smile Again どんなあなたも 

みんな好きだから



© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: