庵理恵の私的書物

庵理恵の私的書物

無題 1



重厚なメタリックのドアを開けると、、薄暗く間接照明が壁を照らしていた。名前を呼んでも、ケイの返事はない。ただならぬ様子を感じて、靴のまま、フローリングへ上がり見回した。身体を震わせ、幼虫のように身を固くしたケイがいた。彼は泣いていた、、か細い身体には、おびただしい傷痕があり、致命傷に近い、、手首からは、、赤い液体がしたたっている、、、

ケイ。どうしたのよぉ、ケイ。。抱き寄せて肩を抱いた、、
ケイは頭を、あたしの肩にもたせかけ、泣いていた、、かれの呼吸を確認しながら、、ケイ。 大丈夫だから、、
あたしは、自分に言い聞かせながら、、ケイの手首にタオルを巻いた。

上着を肩からかけ、ケイと階段を一段一段下りた。今にも飛び降りそうな恐怖におそわれながら、急いだ。彼を助手席に乗せ、車のキーをまわした。

久しぶりに来た隣町はすっかり変わっていた。
緊急専門外来は、尋常じゃない事態を察知して、、彼を治療室へ運んだ。
看護婦や医者の顔を見た途端、景色が回った、、意識がとんだ。

目覚めると、ベットに寝かされていた、、起き上がると、心配そうに看護婦が声。お連れの方、落ち着いてますから、ご安心ください。あなたも、少し休まれてくださいね。 コトバが出ず、頷いた。
渇いた喉をどうにかしたくて、待合室の自販コーナーに向かう、非常口と示した緑色のランプが床に映って、、変な感じだ。缶コーヒーを飲みながら、煙草に火をつけた・・煙とため息が同時に、吐き出された。
血まみれのケイの震えた姿が脳裏に焼きついていた。
少しばかり、心配していたことが現実という形になって具体化した。
無力さと、重圧感と、虚無感の狭間で、なにも、考えられなかった。
ただ、ねむかった。






© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: