庵理恵の私的書物

庵理恵の私的書物

別れ




 それは意外にも簡単にあっけなくやって来た。

 季節が夏から秋へ変わるように、彼は、顔も見たくないと言った

 会話の台詞を頭の中で反芻しながら、思慮深く言葉を選んで話したつもりであったけど、彼にはそれが解らなかった

 今更、詳細に説明する意欲はどこにもなく、彼をまざまざと見ながら彼女hは自分の身体が冷え冷えとしていくのを阻止できずに、持て余した

 敢えてイジワルな言い方をしたのは安易だったかもしれなかった

 だけども、後悔はしていなかった

 彼は彼女のイジワルな言葉にまんまと、ひかかり、憤りを顕にした

 全く構わなかった。 頭のどこかで彼の答えは彼女の思考の範囲内において準備されていたものであり、その事を予測出来なかった訳では、無かった。

 最後の会話は携帯で、それも彼女のアパートの一室だった、

 彼女は自分の部屋の中でひとり、深く息をつき、周りを見回した

 いつもの見慣れた部屋はひどく、淋しく哀れに見えた、

 カ-テンをひき、窓から見える民家の明かりは、余計なくらい、その雰囲気を増徴させ冷たい空気が頬を突き刺すようだった。彼女は二本目の煙草に火をつけた

 あたしは、なんだろうか、自問自答しつつ、、

 ふりかえる、

 ひとりきりで、彼の名前が携帯で光ることはないだろう

 彼と過ごした時を、どう捉えれば、いい?

 極限的な状態や、幾つかの偶然的な情のなかで、ただ、ひとのぬくもりが、欲しかっただけ?

 誰かに抱かれていれば、安心だった

 それで、よかった、、

もし、それだけなら、今に至ってない・・

 ただ、忘れさせてくれる誰かでよかったはず、、

 事の発端や、動機はなんだったの?

 交錯する思いの中で永延と、繰り返した


 あたしは、ただ、愛されたかっただけ・・

 ポツリと、独り言を言った


 こんな、あたしだから、

 きっと、こうなってしまう

 あたしは、何回だって、こんな事、繰り返してる・・

 馬鹿ね、、 くすりと笑って、星空をみあげた、、

 頬を一筋の涙が、流れた

 光る星々は、あまりにキレイだった・・










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