庵理恵の私的書物

庵理恵の私的書物

存在価値


 存在価値


 「すきだよ。」 「あいしてる。。」 と いって



 「大丈夫?」  「無理しないで、泣いていいよ。」 と いって



 いまの あたしには 他のコトバはきこえない



 傷みと 消せない過去が 肩に積もる



 孤独の闇に身を潜め ひとすじの光を 待ってる



 固く瞼を 閉じたまま



 よろこびに 声をあげて 泣きたい



 午前四時の 暗い闇を 自転車で凍え 走った



 いてつく風を 頬に受け 萎縮していく ココロを抱えて



 涙が とまらない



 信号機は赤色に 滲んだ  何台もの大型トラックが 脇を走り抜けた



 帰り道 差し掛かった 遮断機は 赤の点滅を繰り返し 降りてきた



 止まろうと 思えば 止まれたのに



 無意識のうちに ペダルを踏む足に ちからを こめた



 止まろうと 思えば 止まれたはずなのに



 怖いものなんて ないのに



 まだ 抱しめられたくて



 まだ あいされたくて



 こんな あたしの 存在を 



 知って欲しい それだけで



 でも こんなとき 生まれてきたことを



 かなしく おもう あたしがいて



 うれしく おもえない あたしがいて



 生かされてることを 恨めしくおもう



 遮断機の 真ん中で 止まらせなかったのが 神様だとしたら



 たずねてみたい



 あたしの 価値は なんですか?



 生まれてきて よかったのですか?



 辿り着いた 家の明かりが まぶしかった



 あたしの 居場所が 見つからないことに 



 いまさらに 泣けてきた・・・


















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