SDの猫の夕涼み

SDの猫の夕涼み

小説ひめ(仮題)1章ノ2 平常 幕間劇1


 街には必ず陰陽がある。
 例えそれが巨大な都市であっても陰はできる、否、大きな街であればあるほどそこに落ちる陰も大きくなる。
 この街も例外ではない、街一番の繁華街でもそこから1本路地をズレれば人通りの少ない闇に沈んだ街が現
れる。
 他人からは不良と思われている私も特にここに用があるわけではない、しかし今私はここにいる。
 なぜか?
 その答えは至極簡単だ、なぜなら……
「てめぇ、俺らにメンチ切るたぁいい度胸じゃねぇか」
 というわけだ、今目の前にいるこの男の他にも3人の男が私の周りを囲んでいる。
 普通なら焦る状況なのかもしれないが最早私にとっては日常茶飯事、学校でテストを受けることの方が私に
とっては珍事だ。
「それは申し訳ありません。特に貴方達を見ていたわけではなかったのですが、気に障ったのでしたら謝罪し
ます」
「てっめぇ、ナメてんのか?」
 私の言葉がよほど気に入らなかったのかリーダーらしき男が胸ぐらを掴んでくる、私としては思ったことを
言ってるだけなんですけどね。
なぜだかいつもこうなる、困ったものだ。
 周りの男達も口々に、こいつやっちまぉうぜ、生意気な年下君にはきょーいくが必要だよ、などと言い合い
出す、脳の程度が知れる言葉、最近にしてもかなりキレるのが早いやつらだ。
「お前生意気だよ、ちょっと俺らが社会ってもんを教えてやらぁ」
「それはどうも」
 相手は完全に喧嘩る気である。
 いつものこととはいえまたこうなるのか……、そう思うと頭が急激に切り替わっていくのを感じる。
 頭の底から冷えていく感覚、脳の奥底から感じられたソレはあっという間に全身に広がり体があらゆる熱か
ら解き放たれてゆく。
 目の前の4つのソレを見つめる。
「――――」
 何か言ってるが何なのか理解できない、多分私にとって不要なことなのだろう。
 ――あぁなんだ、キレやすいのは私も同じか――
 周りのソレの配置・その体躯・服装・顔立ちなどから必要な情報だけ抜き取っていく、脳内を整理し必要な
情報処理にだけ活用。
 ――あぁ、秋悟。貴方にはまた謝らないといけませんね――
 今にも殴りかからんとしてくるソレを見つめながら、私はそっと胸ぐらを掴む指に手をかけた……。



小説ひめ(仮題)1章ノ3 平常(前半)

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